17話
「なんで…………ぎん、さん?」
「裏切る気か!ギン!!」
「申し訳ありません、ドン・クリーク、やはり我々の……命の恩人だけは……俺の手で葬らせてください」
「アァッ?」
ギンの言葉にサンジ兄は反応する。
どうやらサンジ兄がパールによるフルボッコ編はなくなったらしい、良かった。
「サンジさん、あんたには傷付く事なくこの船を降りてほしかったんだが、そうもいかねぇようだな」
「ああ、いかねぇな」
「だったらせめて俺の手であんたを殺す事が…………おれのケジメだ」
「…………ハッ…………ありがとうよ、クソくらえ」
そして、はじまった戦闘。
サンジ兄とギンの強さは互角…………いや、そんなにケガをおってない分サンジ兄の方が上に見える。
けれど攻撃を腹に食らうたびに肋骨が折れていっているのがわかる。
ぎりっ
俺は血が滲むほど手に力を込めた。
今すぐ飛び出し、サンジ兄の援護に入りたい。だけど、この戦いはサンジ兄とギンの戦いだ、手なんて出してはいけない。
そう思い俺は助けたくても助けられない歯がゆさに唇を噛んだ。
「……アクリ、おめぇもこの戦いをよく見ておけ」
「え?」
そして、唐突にじーちゃんは言い出した。
「おめぇも聞いたんだろぅ、俺とサンジの経緯を…………くだらねぇ昔の事でいつまでもこの店にこだわりやがる理由を」
「!?オーナー!経緯ってのは…………?」
「一つ言えることは…………あいつがこの船にこだわってるのは俺への恩返しの為だって事だ」
「お、恩返し!?」
じーちゃんの口から漏れた恩返しの言葉にパティ達がざわつく。
そりゃぁそうだろう、料理長の座を狙っていると思っていたサンジ兄が恩返しの為に店にいるなんて言われたらな…………
「あのバカは、その下らねえ恩返しの為に自分の夢を押さえ込んでいやがる、馬鹿な野郎だ」
「…………それで、騒動が終わればサンジ兄をこの船から出す…………そう思ってるんだろ?じーちゃん」
「…………ふん」
俺の言葉に鼻をならしたじーちゃんも俺に向かっておめぇもその方がいいと思ってるんだろぅと言ってきた。
「そんなの当たり前だろ?けど、最終判断はサンジ兄だから、サンジ兄が残るなら、俺はそれに従う」
そう言うとじーちゃんはギンと満身創痍になりながら戦っているサンジ兄へと目を向けた。
17話