メロウ 





ああ、柔らかそうだ。
赤くて小さくて、とびきり甘そう。
それに、触れてみたいと思った。

「お、沖田さん…!?」

彼女の小さな顎を片手で持ち上げて、もう一方の手で無防備なその唇をふにふにと弄くる。
突然の僕の行動に、大きな瞳を更に大きくして彼女は僕を見つめる。

「……柔い」
「え?」

どうして彼女の唇はこんなにも柔らかいのだろう。
色だって、男装をしているから紅なんて付けれないはずなのに、どうしてこんなに赤いのだろう。

顎を持ち上げていた手をそのまま華奢な肩へ滑らせると、ぴくりとその肩が跳ねる。
痩せた子供のように骨ばかりかと思いきや、その薄い肩は緩やかな曲線を描いて、女性特有の柔らかさを帯びていた。

ああ、触れたい。もっと、触れたい。

「…ねえ、口付けしてもいい?」
「……え?」

唇を触っていた手を、白い頬に添えて、それから微かに震えた赤い唇にそっと口付けを落とした。

「……おきた、さん、」
「…………甘いなあ」

花林糖よりも有平糖よりも金平糖よりもどんなお菓子よりも甘ったるい。
ぺろりと自分の上唇を舐めてみる。

「…もう一回」

華奢な肩を抱き寄せて、もう一度唇を寄せる。

ああ、癖になりそうなくらい甘い。



(だから、もっと頂戴)







沖田はある日ふと千鶴が女の子だっていうことを意識しそう。
今まで、色気のないただの子供って思っていたのが、ふとした瞬間に女の子だって意識しちゃってどきどきしてほしい。

 
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