ねえ
知ってる?


今日はね、すごくすごく大切な日なんだよ?






Love to dear you!






「十代目、なにか欲しいものありませんかっ?」


そう君に聞かれたのは、今日から1ヶ月前のことだった。

そのときは、あまり深く考えてなかったから今度言うね、と言っておいた。







そして、今日。
10月14日。
俺の誕生日。

俺は一昨日、獄寺くんに誕生日プレゼントを要求した。



『え、十代目。今何と?』

『だぁかぁらぁ…一日、オレの我が儘聞いて?』

『そんなことでよろしいんですか?』

『うん!』


俺にとってソレは普通の誕生日プレゼントよりも特別だった。
凄く、凄く。


遂に俺の誕生日。
ちょうど秋休みで学校は休み。だから1日中獄寺と居られる。
秋休みの存在は嬉しいけど、その分の宿題が大変。でも、今回の秋休みはそんなことどうでもいい。


ピンポーン


そんなことを考えていると家のインターホンが鳴り響いた。母さんの声に混じって獄寺くんの声が聞こえる。
話によれば母さんはこの後、チビたちを連れて買い物に行くらしい。

内心そのことに喜びながら獄寺くんを待っていると階段を少し急ぎ足で登ってくる音が聞こえた。
あ、獄寺くんだ。そう思ったときには獄寺くんは俺の部屋の扉をノックしていた。


扉を開けると少し照れくさそうに笑う獄寺くん。


「お邪魔します」

「どうぞ」


にっこりと笑いながら言うと獄寺くんもつられて笑った。

部屋に入ると同時に母さん達は買い物に行った。


「十代目、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとう」


律儀に正座をして言う獄寺くんを可愛いなあと思いながらお礼をする。
その言葉にはにかむような笑みを見せる獄寺くんの顔は見たことがなくて堪らなくキスしたくなった。
唾を飲み込み獄寺くんの頬へと手を伸ばす。するとピクンと獄寺くんが震えて、更に欲望が増えていった。
チュ、と軽くキスするだけでやめるつもりだったけど離れようとした俺のシャツの裾を獄寺くんが掴んだから、もう歯止めが効かなくなった。

獄寺くんの紅く染まった唇を舌でなぞって、軽く開いた口の中に舌を入れる。
歯をなぞり、舌を絡め、唾液を獄寺くんに流す。


「んぁ…んん、ふ」


苦しそうな、でも気持ち良さそうな声を漏らす獄寺くん。結構、長い間してるから息が保たないんだと思う。


「はぁ、ッ、はぁ…」

「大丈夫?」

「ッ、はい…」


息が絶え絶えで紅くなった顔が物凄く可愛い。
愛しくて、愛しくて、堪らない。


「どうしたんですか、急に…」

「好き、なんだ」


急に、なんだって感じだよね。自分でも意味不明だと思う。
案の定、獄寺くんもクエスチョンマークを浮かべている。


「君が、好きで…好きで仕方ないんだ…」


獄寺くんに擦り寄り、抱き締める。そっと両頬を包み、おでこに、鼻に、唇に優しく口付けをする。
唇から口を離すと、今度は獄寺くんからキスをされた。


「俺も…貴方が好きです。凄く、凄く…」


面と向かって言われると、恥ずかしいな…。
照れくさいけど愛しさが胸に溢れて幸せな気持ちになる。


「十代目、誕生日プレゼントはどうすれば…」


あ、すっかり忘れてた。


「じゃあ…歳の数だけ、キスして?」




――『歳の数だけ、キスして?』



こんなことを言われるとは思っていなかった。

でも内心、十代目と沢山キスができる、と喜んでいる自分がいる。


「そんなことでいいんですか?」

「んー始めからハードなことはしないほうがいいかなぁって思って…」


ってことは、これからそういうことをしていくってことで…。
考えたら顔が熱くなってしまった。


「あ、想像しちゃった?」

「ッ!十代目!!」


やめてくださいよぉ、と熱くなった心の中で呟く。


「クスクス、ほら…早く…」


15回もしなくちゃいけないんだから…と不敵に笑う十代目を俺は見たことがあっただろうか?
十代目ってこんなに格好よかったか?や、いつも、いつまでも十代目は格好いい。


俺の…

「目、閉じてください…」

永遠の

「はい」

愛しい人。



チュ…

口付けは軽いリップ音を残し、俺に甘い疼きも共に残して…。


「あと14回だよ?」

「ぅー…」


ぽす、と十代目の胸元へ頭を寄せる。
恥ずかしさや、愛しさやら色んな感情が溢れて頭を上げられなくなってしまった。


「どうしたの?」

「十代目ばっか余裕たっぷりで…ズルいっす…」


こんなことを言ってしまったら余計に顔を上げられなくなってしまうのに…。


「…そんなこと無いよ。いつも、余裕なんてない」

「嘘つかないで下さい」

「嘘じゃない。ホラ、ここ」


スッと、俺の片手をとり十代目の右胸へと移動させた。


「じゅ、」

あ…


ドキ、ドキ、ドキ


十代目の心臓、凄いドキドキしてる…。



「ね?凄いでしょ?」


言葉の変わりに縦に頷くと十代目は言葉を繋ぐ。


「ホントは余裕なんてないんだ。」


――君が、好きすぎて。
そう言葉を繋げる十代目。

これ以上、俺を貴方に溺れさせてどうするつもりだろう。

好きすぎて、好きなんて言葉じゃ言い表わせない。



そう想いながら俺は二度目のキスをした。


「不意打ちは反則でしょ…」

あ、十代目の顔、赤くなってる。
自分がそうさせた、ということが嬉しくて顔がにやけるのが分かる。


「すみません」

「嬉しかったからいいよ」





こんなふうにして、俺達は十数回ほどのキスをした。
最後のほうは深いキスばかりで、息が絶え絶えだった。


「ねぇ、知ってる?」

「え?何をです?」

「今日、俺達が初めてキスした日なんだよ」

「え!?マジですか!?」

「うん。だから今日は俺の誕生日より大切な日なんだよ」

「十代目…」




貴方が、こうして生まれて。
俺と出会い、お互いに恋をして、今日という日を迎えられて…。

ああ、なんて幸せ。


「十代目、来年もこうしてたいですね」

「…来年と言わず、毎日ね」

「クス…そうっすね」


そう言って俺等は微笑み合った。



来年も、明日も今日も…
貴方と一緒に。


〜Happy end And Happy birthday!〜
2009.10.14

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