山雲+ツナ獄文

いろいろややこしくなってます。
雲雀さんがチョイ病んでます。

雲雀さん、ひどい人かもしれません。



なんでもこい!な広い心を持ってお読み下さい(笑)























『俺、もう雲雀さんのこと…信じられませんっ……』

『別れましょう…?』


「っ!」

毎日、毎日…
繰り返し、同じ夢を見る。

子供のころの…悪夢を。


「雲雀…?大丈夫か?」
「山、本……大丈夫だよ…」


今、隣りに居るのは
愛する君じゃなくて

僕を愛してくれる人。


「そうか…なら俺、もう少し寝るなー。」
「ああ…」


今日から山本は、獄寺隼人と長期任務へ行く。
一ヶ月ほど。

別段、寂しくはない。


それは、僕がコイツを愛してないから。





百粒以上の涙と、たった一つの言葉





「じゃあ、隼人、山本。これから一ヶ月、頑張ってね」
「はい」
「分かったぜ」


あれから時間は経ち、もう山本と獄寺は任務へ行く時間になった。

僕は見送りとして、沢田の執務室に山本と一緒に来た。
いや、連れて来られたんだ。山本に。


「いってらっしゃい。気をつけてね」
「任せてください!十代目!!」
「隼人、」
「は……んっ、ふ…」


沢田は僕と山本が居るにも関わらず獄寺に濃厚なキスをしている。

別れの挨拶…みたいなものだろう。


チクン


胸の奥が酷く痛んだ。


「俺らもするか?雲雀」
「したいんだろう、君は」
「ああ…」
「ん…」


僕らは、沢田達みたいなキスはしない。
唇と唇を合わせるだけ。

いつの間にか、それが当たり前になっていた。


「もう、いいかな?山本、雲雀さん」


長いキスをしていると、沢田から中断の声。
まあ、長いことしていたら、そうなるか。


「おぉ!悪ィ悪ィ」
「じゃあ、いってらっしゃい」
「じゃーなー」


山本が、こっちに手を振ってきたから振替えした。
獄寺は、何で俺がコイツと…などと、ほざいていた。




二人がいなくなると、部屋は一気に静かになった。


「雲雀さんのとこは、まだフレンチキスですか」
「あっちがそれしかしてこないからね」
「山本が、ねぇ…」


ここまでくると分かるかもしれないけど、沢田と獄寺は付き合っている。
あんな濃厚なキスをするほどのラブラブっぷりだ。


「…君、不安じゃないの?」
「何がですか?」
「獄寺隼人と山本を二人っきりにさせて。」


今回、この長期任務に二人を推薦したのは沢田だ。
よく、この二人にしたと思う。


「ああ……昔の恋人だから?」


沢田の言うとおり、獄寺と山本は中学のときに付き合っていた。

あのころは二人共、本気で愛し合っていたと思う。
二人で将来を築き上げていこうとしていたと思う。


でも、高校を卒業するころ別れてしまった。

理由は、山本が僕を好きになったこと。

それから、5年後…今から1年前に僕と山本は付き合いだした。




僕も、中学のころ沢田と付き合っていた。

本気で彼が大好きだった。
だから、彼が本当に僕を好きなのか不安になって六道骸をそそのかし、嫉妬させたりしようとした。

嫉妬があって、初めて僕は愛されているんだと自覚した。

それから何度も、何度も六道と浮気紛いのことをした。


そして…今日の夢のように、別れた。


そして沢田は、獄寺と互いの傷を舐め合うように僕らと同じ頃、付き合いだした。


「大丈夫ですよ」
「何故、そう言える?」


問うと、沢田はにっこり微笑んで、


「信じてますから」


と、言った。

この時、こんなこと聞かなければよかったと後悔した。


「雲雀さんは、不安ですか?」
「…いや。僕も…」

「信じてるからね…山本のこと」


僕を一人にしないって。
信じてるから。


「そうですか」
「……じゃあ、もう戻るから」
「はい。今日は休みですよね?」
「うん」
「じゃあ、よい休日を」




バタン…

僕は、部屋から出ると、その扉にもたれかかった。


「信じてる…ね」


獄寺のことを信じるなら、どうしてあの時、僕のことも信じてくれなかったの…?

『どうして、そんなことするんですか?』って、どうして言ってくれなかったの?


「っ……」


ポタポタ…

涙が頬を伝った。
何粒も、何粒も。


沢田っ……。

今でも、君が好きな僕は馬鹿かい?



山本とは、この事を理解した上で付き合っている。
それでもいい、と言ってくれた。

僕を一人にして置いて行かないと、約束してくれた。

だから、キスは唇を重ねるだけ。
山本が、そうしている。


でも、そんな優しくされるより無理矢理やってくれる方がいい。

僕は、そんな優しくされるような奴じゃないから。


今でも、沢田が好きで。
獄寺を邪魔だと思っている、こんな醜い僕に優しくしなくていい。

もっと酷くして、
何がなんだか分からなくなるほうが楽だ。


こんなに、こんなに…
苦しいなら……。


「好きだよ…っ綱吉………」


僕は、小さく呟いた。


〜END〜


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