獄寺くんが好きだと気付いて、早くも一ヵ月。
未だ、この思いは変わらなくて。でも、どうしようもなくて。

告白して、付き合いたいと思う反面、
友達でいたい、と思ったりもする。



はぁ〜…どうするかなあ…


最近、夜遅くに布団に入って、こう考えることが多くなった。
勿論、リボーンが寝てから。


今日も、また一人考えようとしていた時だった。
ランボが部屋に騒々しく入って来た。


「ガハハー!ランボさんとおじょー!!!!ツナァ!遊べよー!」

「うるさいぞ、ランボ!もう遅いんだから寝ろよ!!」

「あららのら〜?そんなこと言っていいのかあ〜?」

「なんだよ…」

「俺っちの必殺技、十年バズーカだもんねー!」

「だから何なんだよ。いつ「ちねえ!!」

いつも自分で使ってるだろ、と言おうとしたが、その言葉はランボの声でかき消された。

そして、そのランボの言葉と共に十年バズーカが俺に発射された。

ボフッ!



ーーー…

「っ、…」

目を覚ますと、そこは暗い何かの箱の中だった。
その中から出ると、辺りは一面森に囲まれていた。


「ここ、十年後…だよな……。ってか、この箱なんだよ…」

一人、疑問に思っていると突然、後ろからガサッという音がした。

「十、代目・・・・・・?」

振り向くと、そこにいたのは

「獄寺くん!?」

…に、似てる人?
すごく似てるけど、なんか…大人っぽいし……。
背、大きいし……。



「十代目っ!!」

俺を見た瞬間、思いっきり抱き着いてきた。

「っ!?///あのっ、」

「っ、っく、ッ、十っ代目っ…」

泣い…てる?
どうして?

「…どうしたんですか?」

「……っ、すみま、せん。十代目…困らせてしまって…」


悲しそうに微笑んだ顔が獄寺くんにそっくりだったから
俺は、この人が十年後の獄寺くんだと気付いた。

「何が、あったの…?」

「…っ」

あ…

今、気付いたら
獄寺くんが花束を持っているのに気が付いた。
それから、俺が入っていた箱は棺だということも。

「……俺、死んだの?」

「!」

獄寺くんがはっとした顔したのを見て、確信した。

十年後の俺は…
死んでいる……。



「だから獄寺くん、泣いてるの?」

「っ…すみませんっ、情けないですよねっ」

涙を拭いながら言う獄寺くんに胸が痛くなった。

「情けなくなんてないよ…。それほど、俺を思ってくれてたってことでしょ?ありがとう」

「そんなこと言われる義理じゃないんですっ…俺が、ちゃんと護衛してたら……」

「そんなに、自分を責めないで?どうして俺、死んだの?」

「…」



獄寺くんの話によると2、3日前にある任務で十年後の俺と獄寺くんは敵地に乗り込むことになったらしい。
相手は、そこまで勢力のない、中小マフィアだったそうだ。


そして、敵地に踏み込んだ瞬間、十年後の俺は撃たれた。

実は、そのマフィアはボンゴレが乗り込んで来るのを、あるマフィアからの情報で知っていた。


撃たれた十年後の俺は、それでも尚、闘ったらしい。

そして、そのマフィアを全滅させたあと

死んだ。



呆気ないなあ…
つか、何で気付かなかったんだろう。

獄寺くんを悲しませて、
泣かせて、
最低だなあ…俺。




「ゴメンね。獄寺くん」

そっと、獄寺くんのおでこにキスを落とすと、
獄寺くんは、涙をボロボロと零した。

「十代目…っ…」

「俺が未来を変えるから。絶対に君を悲しませないから。だから…泣かないで?」

「っ、……やっぱ、十代目はすごいお方です…」

「えっ!?」

驚いて、獄寺くんを見ると、彼は笑って、

「   」

ボンッ


獄寺くんが言葉を放つと、同時に俺は元の世界に戻った。

でも、あの口の形は…


『好』

『き』

『で』

『す』




そう、言ってた気がした。



ーーーーー…

パチ…

「十代目っ!!」

目を開けて、一番最初に目に飛び込んできたのは獄寺くんだった。

「獄…寺くん……?」

「大丈夫ですか!?」

「うん…」


獄寺くん…
獄寺くんだ……

なんか、ホッとした。

「獄寺くん、何でこんな夜遅くにっ」

「リボーンさんから連絡がありまして…十代目が十年バズーカであっちに行ってしまったけど、5分経っても帰って来ないって……」

「そうなんだ。心配かけてゴメンね?」

「いいえ!何もなくてよかったです!!」


にかっと笑う獄寺くんに、十年後の獄寺くんが重なった。

さっきの獄寺くんは悲しさでいっぱいだったけど、今の獄寺くんは幸せそうで…。

あの後、十年後の獄寺くんはどうなるんだろう…。


…………俺が、変えるんだ。
絶対に、未来を変える。

あんな悲しみで溢れている獄寺くんは、見たくない。
彼を、一人にはしない。



「獄寺くん…」

「はい?」

「好きなんだ、獄寺くんのこと」

「……え」


獄寺くんは一瞬、驚いた顔をしたけど、その後、顔を赤らめて『俺もです…』と言った。





ーーーー…十年後


「十代目ー!」

今日も元気な声が、俺の自室に響く。

「隼人…どうしたの?」

「今日、一緒に何処か行きませんか?」

「うん、仕事も休みだしね!行こっか!!」

「はいっ!」

にかっと幸せそうに笑う獄寺くん。
この笑顔は、十年前と変わらない。

この笑顔が、俺の宝物。
もう、あんな悲しい顔は見たくないから。


これからも、絶対に君と
この道を進んで行こう。

そう、心に決めて
今日も君と二人、幸せな日々を。


〜END〜


2010.06.26...加筆修正
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