骸と付き合って何年経っただろう…


5年位かな…


もうそろそろ…


………いい時期だよね?




engagement ring
“婚約指輪”
















「ん…」


「恭弥、起きましたか?」


「ん、骸…」


「おはようございます、恭弥」


「うん、…いつから起きてたの」


「ついさっきですよ」


「そう」


「それにしても恭弥の寝顔は可愛いですね」


「な…///」


「クフフ…その顔も可愛いですよ、恭弥…」


「…///……!ちょっと…骸、…んっ///」


「クフフ…2回戦といきましょうか…」


そういえば、シてる最中に気絶しちゃったんだっけ…


「や…やだっ…」


「何故ですか?」


「腰…痛いし…朝だし」


「そうですか、恭弥がそう言うなら我慢しましょう」


「ごめんね、骸」


ギュッ


「恭弥、誘ってるんですか?」


「え?」


「まず服を着てください」


「あ…」


「何か飲みますか?」


「コーヒー飲みたい」


「分かりました、少し待っててください」


僕はコーヒーを作っている骸に後ろから抱き付いた。


「恭弥?どうしたんですか」


「骸、大好きだよ」


「クフフ…今日の恭弥は甘えん坊ですね……できましたよ」


「ん…ありがとう」


コーヒーを作り終えるなり、どこかへ行く準備をし始めた。


「どこ行くの」


「………秘密です」


「僕に隠し事?」


「クフフ…それでは行ってきますね」


「…………」


「すぐ帰ってきますよ」


骸は僕の額にキスを落とすと、どこかへ出掛けて行った。


「怪しい…」


今まで僕に秘密で出掛ける事なんて無かったのに…


「まぁ、たまにはそんな事もあるよね…」


でも骸はその日だけでなく、翌日も出掛けて行った。


「ねぇ、今日も行くの?」


「はい」


「どこに行ってるの?」


「それは秘密です」


「………骸、」


恭弥が寂しそうに僕の名を読んだと思ったら、今度は抱き付いてきた。


「寂しいよ…骸…僕も連れてって?」


恭弥は上目遣いで僕を見つめてくる。



「…ッ///」



「ねぇ…」


抑えろっ…ここは抑えるんです!!!


「だっ…だめです!」


「………骸のばか」


「すみません、もう少し待っててください」


「しょうがないね…」


「では、行ってきます」


「うん」


僕はこの時、まさか骸が女の人と会っているなんて、思いもしなかった。



「ただいま帰りました」


「骸っ…」


「おやおや、甘えん坊ですね、恭弥は」


「おかえり」


「はい」


「…………?」


「どうかしましたか?」


「ううん…何でも、ない…よ…」


「そうですか、では僕はお風呂に入ってきます」


「………」


「恭弥、一緒に入りますか?」


妖笑しながら聞いてくる骸。


「ぼ…僕はもう入ったよ///」


「クフフ、そうですか…それは残念です…」


骸は浴室に向かって行った。


「………骸…」


さっき骸に抱き付いた時、骸の服から香水の匂いがした。


「骸、香水なんてつけないのに…」


もしかして…、


「女…?」


暫く待っていると、骸がお風呂からあがってきた。


「まだ起きていたんですか?」


「うん…」


「もう寝ましょう」


「うん…」


「恭弥?」


「うん…」


(恭弥が変です…)



―翌日―


「では、行ってきますね…恭弥」


骸はいつもの様に出掛けて行った。


「骸…明日は何の日か、覚えてるのかな…」


明日は初めて付き合った記念日なのに…


僕もいつもの様に骸を待とうと思った………けど、やっぱり気になって、追いかける事にした。


「はぁっ…はぁ…骸…どこにいるの…」


……!…いた…


「むく…」


「骸さん!こっちです!」


「こんにちは」


………骸!?


誰…その女の人…


「こんにちは!じゃあ行きましょうか」


「はい」


骸と女の人は仲良さそうに談笑しながら歩いていた。


「…ッ」


僕はそれを見るのが嫌で、自分の屋敷に戻った。


「骸…ッく…ぅ…ぐす…」


ただ、ショックだった。

僕はとても悲しくて、辛くて、泣いた。



「恭弥、ただいま帰りました」


「ッ…」


「恭弥!?どうしたんですか?」


僕が屋敷に帰ると、恭弥が泣いていた。


「骸なんてっ…嫌いっ…」


僕が恭弥に触れようとすると、恭弥は僕を拒絶した。


「恭弥?」


僕は恭弥に何かしたんでしょうか?


「恭弥、僕…何かしましたか?」


「最近っ…いつも出掛けてた…」


「それは…」


「でも僕っ…見たんだよ…今日、骸が女の人と歩いてるの…」


「見てたんですか…?」


「何…してたの…あの女の人と…」


「…………」


どうして黙るの…

答えられないの?

言えないような事でもしてたの?


「クフフ…恭弥、」


「何っ…何で笑ってるのっ…」


「違うんです」


「何が」


「しょうがないですねぇ…本当は明日渡そうと思ってたんですが…」


「…?」


「あの女の人はお店の店員です」


「…店員…?」


「恭弥、これを…」


「?何…これ」


「開けてみてください」


渡された小さな小包を開けると、綺麗に輝く指輪があった。


「恭弥、僕と結婚してください」


「!」


「受け取ってくれますか…?」


「当たり前だろ…」


「ありがとうございます」


骸は僕の左手の薬指に指輪をはめた。


「ありがとう、骸…疑ってごめんね…」


「いえ、何も言わなかった僕も悪かったんです」


「覚えててくれたんだね…明日の事」


「クフフ、当たり前じゃないですか…忘れる訳ありませんよ」


「僕はてっきり忘れてるんだと思ってたよ」


「…恭弥、」


「ん?」


「幸せにします」


「うん///」


―そう、世界で1番幸せな花嫁に―



一生に1度の、婚約指輪。



(骸と結婚できる時点で、僕は世界で1番幸せだよ)

(恭弥…ッ///)

(ちょっと…苦しいよ…)

(大好きです、恭弥!)


〜END〜



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