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神威→→→神楽
(3z)
※すこぶるギャグ







早朝。
いつもよりは早い時間に目が覚めた。
天気はいいようでカーテンから伸びる陽の光はキラキラしていて鳥の囀ずりも穏やかに響いている。

だがしかし…神楽は自室のベッドの上で、穏やかに目覚めた訳ではない。














「…何してるアルか。」
「起こしに来てやったんだヨ。」


ニッコリ笑った顔に、苛立ちが募る。

何が不愉快かといえば、何でか自分の寝ているベッドに入り込み、何でか横になった自分を抱き締めて当たり前のような顔をして一緒に寝転び下さっている兄が不愉快極まりない。
因みに回された腕はビクともしやしない。
おまけに枕が何やら固いと思えば腕枕で、神楽のお気に入りのウサギの枕はヤツの頭の下で潰れている。


「どこが寝てるヤツを起こしに来た人間の態度アルか!?
テメーいっつもいっつも勝手に人のベッドに入ってくるなヨ!!!
添い寝とかマジキモいアル!(怒)」

「え?朝だけじゃ足りなかった?
じゃあ今夜からは一緒に寝てあげるネ。」
「死んでも断るアル!!!!」

ブンッと振り回した拳は虚しく宙をかき、この愚兄を黙らすことはできない。
ヒュッとさらに続いた拳を軽くかわすと、神威は体を少し浮かして神楽を見下ろす形となる。


「危ないなぁ。」


小首を傾げて胡散臭さ満載の笑みを浮かべた男を神楽のイラついた瞳が見上げる。

その瞳に一層ニコリと口角を上げた男の顔がゆっくりと仰向けの神楽のもとへと降りてきて、神楽はピシリと固まった。

(は!?何する気アルか…;?)

ハラハラと重力のままに降ってくる前髪は、神楽と同じ淡い李(すもも)色。

薄い瞼に隠されつつある瞳だっておんなじ空の色。

こんな珍しい色合いが全て揃っているのは、まさに血を分けた兄妹だからこそ。

そんな血を分けた兄が今何をしようとしているのか、先を早合点した神楽の頭の中がパニックを起こす。

(こ、ここここここれってまさか…昨日姉御が読んでた雑誌に載ってた、キキキキキキキキスアルか;!?)

朝っぱらから兄妹で同じベッドの中で(一方的に)抱き合ってる時点でおかしいのだが、既にそれは日常になってしまっていたため神楽の頭の中ではスルーされていた。

「ち、ちょっ…お前なんのつもりアルか;!?」

のし掛かる胸板を押し返そうとするが、悔しいかなこの兄に力で敵うはずもなく。

ゆっくりと神威の顔は下へと降りてゆき、なす術を無くした神楽はギュッと目を瞑った。

(ぐ…こんな変態兄貴と初チューなんて…
死んでもごめんアル!!)


神威の頬が神楽の頬を掠めた。
耳に吐息を感じ、もうダメだ!と思ったが、

(ん?)

神楽はハタとあることに気づく。

(…耳?口じゃ、ないアルか?)


目を開くとやはりドアップの神威の整った顔。
だがその顔は自分の左側にあった。

「…;?」

「神楽」


いつもの憎たらしい飄々とした声はどこかへと消え、いつもより低い艶を含んだ声で呼ばれた神楽は、身体を硬直させて再び目を固く閉じた。

何故か顔まで赤くなり、胸の鼓動まで激しくなり始めた頃、神威の口が先に続く言葉を紡ぐ。






「お腹空いた。」






「…………は?」


パチリと目を開いて神威の方を見ながら、神楽は身体からふにゃふにゃと力が抜けてゆくのを感じた。
何を言うのか。何をする気なのか。と考えて身構えていた自分がものすごくバカみたいだ。

力が抜けたと同時に、今度はふつふつと怒りが込み上げてくる。

(こ…コイツは…っ)

何を考えているかわからないこの男は、飄々とした顔で天然を装ってこちらをかき乱しているのではないだろうかと思うことがよくある。

最近は何故か違う学校に通うくせに、此方の学校に来ては友人たちに何かとちょっかいを出しているのだ。
ライバルと認めるサドヤローとケンカをしていると、そのケンカごと横取りするし、
お昼の時間に新八から貰った(もとい奪った)オカズを勝手に食べられたり、
銀ちゃんとじゃれあってると邪魔してくるし。
イライラした気持ちを込めて無防備そうな腹にパンチを繰り出すが、パシりとその拳は神威の手に収まった。


「ぐっ…。」「オ・ナ・カ・ス・イ・タ」

一言一句ハッキリ言って、言外に早く朝御飯を作れと催促しながら笑顔を作る神威に、神楽は顔をしかめて起き上がる。
どうやらもう邪魔はしないらしく抵抗もなくベッドから出ることができた。

余程腹が減っているのか?と思いながら着替えに手を伸ばして着替えに取りかかる。



「…」

「…」

「…オイ。」

「ん?」


後ろを向くと、ゆったりと人のベッドで寛ぎながら此方を見続ける兄の姿。

「ん?じゃないネ!
アホすぎて見てもわからないアルか!?
今から私、着替えるアル!とっとと出ていくヨロシ!(怒)」

ズビシッ!
と怒りの剣幕で廊下へと通じるドアを指差す神楽に対し、未だにベッドに横たわる神威はキョトンとした顔で首を傾げた。


「あれ、見てわからない?着替えを温かく見守ってようと思ってるんだけド。」

「…。」




ここで、神楽の怒りは限界点を大きく超えた。






ガシャーン!



「出ていけこの変態兄貴ー!!!!!!!」




暴れまわる神楽にしかたない…と諦めた神威は、神楽の猛攻もものともせず、部屋の外へと難なく出て扉にもたれ掛かった。

「神楽ー。」

返事はない。
どうやら無視を決め込んだらしい。

(ふふ…可愛いくないなぁ。)

なんて思いつつ、神威は毎日こうやって妹を構っていた。
それはたぶん…思った言葉とは反対で、可愛くて仕方ないから。

「朝御飯、早くしてよねー。」

やはり返事はない。
そもそも今朝の食事当番は神楽でなく神威だったのだが、神楽の興奮した頭はいつもよりもネジが緩んでしまっているらしい。

(返事しないつもりか…、生意気だなぁ。)

ピコッと頭の上のアンテナが揺れる。
扉に背を預けながら、ドアの向こうから聞こえる僅かな音を耳に入れた。

「神楽、早くご飯作ってくれないと…神楽のこと食べちゃうよ?」

ガチャリと音がして、扉が開いた。
振り返ると冷たい目をした妹。

(実に生意気だな。)

自分が誰のものかわからせてやろうか?


「お前、人間まで食べるようになったアルか?
マジでキモいアル。」

あぁ、バカだ。
純真なおバカさんだ。

含みを持たせて言ったつもりだったが、お子ちゃまな神楽にはわかっていなかったらしい。

「うん、まぁ…食べるって言っても違う意味なんだよネ。」

怪訝な顔をして見上げてくる神楽に、極上の(黒い)微笑をあげて、さっきみたいに耳元に口を近づけた。




「さっき、キスされると思った?」

ビクッと神楽の肩が揺れる。
視界に入る白い肌は薄く色づいていた。
それににやける口元を隠すつもりなど毛頭ない。

(わかりやすいこだよネ。)

「『食べる』ってそれより先のことだけど、
…神楽にはわかんなかったかな?」

「!?////」


見開いた目から覗く蒼い瞳がこちらを真っ直ぐに見ている。
もう目は瞑らなくていいのかい?

なんて思いながら、固まったまま動かなくなってしまった神楽の唇をなぞってみた。

うん、柔らかい。


いただいちゃってもいいだろうか?



神楽の顔が、…とゆうか露出している肌という肌が、真っ赤に染まっていた。





シスコンも愛ってことです。



「朝食にデザートはもちろんついてるよね?」


返事はない。


でも無視ではないみたい。











遅くなりました!20000打文でした。
あまりにもグダグダと長くなってしまって本当に申し訳ないです(汗)

神楽激ラブで変態な神威だけどなぜかカッコイイ愛情表現←リクエスト

…うん、違うね、これ。なんだろね、ふへ。


とにもかくにもリクエスト&アンケートご協力下さった皆様、本当にありがとうございました!
毎度のことながら更新遅くてすいません(汗)
これに懲りずにまた遊びに来てくださいませ

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