(夫婦)
篤×郁←オリキャラ







「笠原さん!こんにちは!」


元気な声が、図書館の前のロータリーに響き、見廻りをしていた郁はその声に振り返った。


「あ、こんにちは!

今日は随分早いね!」


見知った顔を見て、郁は嬉しそうに微笑んで見せた。


「今日は午前の部活だけなんですよ。」


そこには最近よく来るようになった、制服姿の高校生の男の子が3人。



以前、良化法賛同者による図書の持ち出しを発見し、確保に一役買ったのだ。


最後は郁によって取り押さえられたのだが、この3人も身を呈して図書を守ってくれたのである。



「アツシ君もう怪我は大丈夫?」


心配そうな表情の郁に、アツシと呼ばれた少年は「はい、もう痛みはないです。」とにこやかに答えながら、犯人確保の際、犯人が所持していたナイフで傷を負った腕を見せた。

今はもう包帯もとれ、大きな絆創膏が貼られているだけである。


「よかった。
でももうあんな無茶しちゃいけないよ?」


柔和な笑みを浮かべつつ釘を刺すのは、堂上班の笑う正論様その人である。



「はい、でも俺本が好きだから…
将来も図書隊員になりたいんです!」


照れくさそうに笑うアツシに、郁と小牧の二人は顔を見合わせた。



「そうなんだ、なんか嬉しいな。
そう思ってもらえると。」


今度照れたように笑ったのは郁の方だ。


「おいアツシ、中行こうぜ。」


横でソワソワしたように会話を聞いていたアツシの友人が、声をかけた。


彼は確か…

「あそこに柴崎さんいるんだよ!」

熱烈な麻子ファンであった。


彼が来ると確実に郁の同僚が不機嫌になるのだが、とうの本人は「ガキんちょに興味あるわけないでしょ!」と一蹴。

二週間後に結婚を控えていることを教えてやれば、彼もこのように胸を踊らせることもないのだろう…が、麻子はどうも手塚の反応を楽しんでいる節があった。

せっかく素直になったというのに、まだまだ手塚は苦労しそうだ。



(頑張れ、手塚;)



連れだって去って行く三人組を見送りつつ、郁は内心で激励を送るのだった。

「俺たちもそろそろ時間だし中入ろっか。」
「あ、はい。」

時計を見ると昼近い。
確か午後はレファレンスだったな、と思いつつ中へと入ると、先程の三人組が柴崎に絡んでいた。


麻子の顔には、百点満点の営業スマイルが張り付いている。

と、突然横で小牧の上戸が入り、郁はへ?と自分が何かしたかと思い回りを見ると、不機嫌な顔をした手塚と、同じように不機嫌な表情の篤がこちらへと歩み寄ってきた。


「え?」


手塚の不機嫌の理由はわかるが、篤まで不機嫌な理由がわからない。


「何かあったんですか;?」


首を傾げる郁に対し、篤は何でもない。と目を反らした。
ますますもって意味がわからないが、横に立つ小牧の上戸が収まることはなかった。











「笠原さん!」

「ん?」

一応大きさを抑えてはいるが元気な声で名前を呼ばれ、郁は返却図書の山を抱えながら振り返った。

「アツシ君!あれ?他の二人は?」

「あっちの席で勉強中。
月末にテストがあるんですよ。」


ニコッと笑った顔に、僅かなあどけなさを感じ、郁もつられるように笑った。

よくよく見ると、アツシの身長は手塚まではいかないが、郁よりも高く、体つきは体育会系なのかガッシリとしていた。
そこに乗った顔が大人びている分、幼く見える笑顔は可愛く思えた。


(きっと学校ではモテるタイプだな。)


クスッと笑ったところで抱えていた本を落としそうになった。

「っとと…;」

「大丈夫ですか?
俺、半分持ちますよ。」


そう言って、持っていた本の山から半分以上持っていくアツシに、郁は慌ててそれを止めようとする。


「あ、いいよアツシ君!
これ私の仕事だし!
利用者にこんなことさせられないわよ;!」

ヒソヒソ声でなんとか訴えるが、アツシは気に止めない。


「俺、将来図書隊員になりたいって言ったじゃないですか。
だから今から勉強っす。」


そんな風に笑顔で言われてしまったため、郁は荷物持ちだけという条件でアツシには書棚へ戻させることはしなかった。



「笠原さんって足早いですよね、羨ましいな。」
「足の早さだけは自慢できるけどそれ以外はまだまだなのよね;」


走ったところを見せただろうか?と思ったが、最初の時に走って犯人確保に向かったことを思い出した。


「笠原さんって下の名前何て言うんですか?」
「へ?
あ、郁…だけど。」


持っていた本の上を指で『郁』となぞって横に立つアツシに見せる。


「郁…さんですか、かわいい名前なんですね。」

「え?あ、ありがとう。」


突然の質問に疑問を持ちつつ、『かわいい』と、人からはあまり言われ馴れてない言葉に、郁はかなり照れてしまった。


「アツシ君もいい名前だよね。
あ、そういえばどんな字書くの?」


勿論このとき頭に浮かんだのは、いつもは"さん"づけして呼ぶ夫の顔。


(篤さんの高校時代ってどんな感じだったんだろ?)

ついそんなことを考えて顔を綻ばせつつ、アツシが先程郁がしたように文字を書くのを見て、郁は目を見瞠った。


「わかりました?
画数多いからわかりづらいかも知れないですけど…。」


わからないはずがない。その漢字は今まさに考えていたものなんだから。


「うん、わかったよ!
いい名前だよね。」


ついつい夫の顔が浮かび、嬉しくなってニコッと笑った郁に、僅かに頬を赤らめたアツシだったが、何故かもう一度指を本の上に走らせる。


「ん?」
「"し"はこう書きます。」


そう言って書いたのは『史』の文字。

(二文字かっ…;)

勝手に"アツシ"=一文字と思い込んでいた郁は、少しの恥ずかしさを覚えた。

「あ、篤史君か!
そっかー。」

アハハ…と相手はなんのことかもわからないだろうに内心でつい謝ってしまった。
「笠原さん、この本ってあっちの棚ですか?」

不意に問われて見た本は、彼が示した通りの書籍の並ぶ棚。


「あ、そうそう!
さすが図書隊員目指してるだけあるね。」

コードなど知らなくても本の内容を理解していればどのコーナーにあるべきかぐらいは解るものだが、そこは単細胞な郁なため、頭から抜け落ちている。
褒められたアツシ…改め、篤史も、複雑な顔で笑って見せた。


「あの、笠原さん。」
「んー?」


さっき篤史の示した奥まった方の書棚で本を戻していた郁は、先程より真剣な声で呼びかけられて振り返った。


「どうかした?」


横に立つ篤史を見れば、恥ずかしそうに若干モジモジとしている。
どうかしたのだろうか?と首を傾げる郁に、篤史は抱えていた本をギュッと抱き締めて真剣な顔で向き合った。



「笠原さんって、年下の男ってどう思いますか?」

「へ?んーかわいいと思うけど…ってあ!もしかして…」


何となく答えていた郁だったが、ふとあることに思い至り声を上げた。
あくまでも押さえ気味ではあるが。

その反応に篤史は一瞬ギクリと動揺する。
しかしそれはすぐに杞憂ですんだ。



「なに、好きな人いるの?恋愛相談ならまかして!」


喜色満面の顔で笑う郁だったが、間を置いてそれは苦笑に変わった。


「…と言いたいとこだけど、あたしも経験豊富って訳じゃないから上手いことは言えないんだけど…;」


話を聞くぐらいなら出来るから!と言う郁は、もう協力者の顔だ。

この鈍さが時に篤や麻子を悩ませたりもする。



「あの、年下の男って恋愛対象になりますか?
結構離れてても?」
「え?そんな離れてるの?
たしか篤史君高2でしょ?
もしかして社会人とか?」
「…はい。」


モテそうな印象があるこではあるが、本当に好青年らしい。一途に一人の女性を思っているのだと感じて、郁はますます応援したくなった。


「うーん。
それは多分人それぞれと言うか…好きになっちゃえば年の差とか関係ないんじゃないかな?」

「ほ、ホントですか!?」


自分の言った言葉にかなり恥ずかしくなったが、キラキラとこちらを見下ろす目が本当に嬉しそうで、妙に期待を持たせてしまったような気もして若干後ろめたくもなった。

(ピ、ピュアだ…;)


自分もこんな風に篤に目を向けていたのだろうかと思うと目に痛い。

「あ、あの…じゃあ。」

更に言葉を続けようとする篤史に対し、手元の本が無くなった郁は篤史から残りの本をを受け取ろうとしてあることに気づいた。




(…ん?)


妙に近いのだ。
自分が近くに立ちすぎたのか、彼が話に熱くなって近寄って来たのかはわからない。

話すときやけに近寄って話をするタイプなのかもしれないが、あまりに近くて郁は少し妙な胸騒ぎがする。

これを柴崎や図書特殊部隊の面々に言わせれば、『野生の勘』というのだが、この時ばかりは相手が知り合いで年下と言うこともあってその勘は少し鈍っていた。


「笠原さん!」

「え;?」


篤史から本を受け取ろうとした手を掴まれ、郁はどうしたのかと目を丸くする。


段々と迫ってくる篤史に後退りするが、運悪くそこは図書館の一番角であり、コーナーにもなっていて人気もない。
あれ?っと思った頃には、背中に書架が当たる固い感触が伝わってきた。

それに気づいてようやく何かおかしいということに気づいた郁だが、やはり自分に向けられる好意に鈍かった。

「あ、篤史君;?」

目の前の少年は、見るからに顔を赤くしてテンパっている。

「笠原さん、俺!//」

「え?ちょっ…;」


腕を引かれ、抱き締めようとその腕が背中へと伸びる。


バサバサと数冊の本が床に散らばる音が静かな図書館の中に響いた。







抱き締められると思った瞬間、少年を投げ飛ばすこともできず、郁はどうすることもできなくて咄嗟に目を瞑っしまった。

しかし一向に抱き締められることはなく、気づけば掴まれた腕の感触さえも消えていた。




「図書館員への個人的接触は、業務時間外にしていただいてもよろしいでしょうか?」

「あ、」


目を見開いて見上げた先にいたのは、午前の見回りを一緒に行なった小牧であった。

顔にはいつもの穏やかな笑みが浮かんではいるが、小牧を知る郁の目には、小牧が怒っているようにも困っているようにも見える。


郁と篤史の間に割って入った小牧は、郁を庇うように背にして立っていた。


「小牧教官!」
「小牧さん…;」


「まったく鈍すぎにも困り者だよ?」


チラリと身をちぢこませていた郁を見てそう言った小牧は、今度は篤史に向き直る。

「ごめんね、邪魔しちゃって。
でももし今君がしようとしていたことを目撃した場合、君のような未成年でも施設内猥褻行為の現行犯で捕まえなきゃいけなくなっちゃうんだ。」


人当たりの良い笑みで言うが、言っている内容は高校生の男の子に告げるには少々ショッキングなものだ。


「それに…」


と続ける小牧の容赦の無さに、小牧の背で篤史の表情の見えないはずの郁にも、少年の今の表情は予想がついた。

「業務時間外にこのこを口説いても、俺的にはそれはそれで面白いからいいんだけど…」


そんな他人事の小牧の発言には、(君じゃ無理だろうけどさ)という裏が読め、郁は内心で
「あんたってお人は;!」
と抗議するが、届くはずもない。

さらに言えば、その後に続いた小牧の言葉に、郁はそれどころではなくなった。


「多分どっちにしろ、あそこで睨み付けてるお兄さんが許してくれなそうだけどね。」


何とはなしに言われたことに、先に瞠目したのは郁の方。

示された方へ振り返った篤史は、そこに立つ男の形相に、一気に血の気が失せたようだった。



「あれ?高校生からしたら俺らってオジサンかな?」
と冗談混じりの言葉は、最早篤史には届いていない。


小牧の肩越しにそちらを見た郁もその表情を見て思わず固まった。


(こ…こわいよ;)


玄田の強面には及ばないまでも、目で人を殺せそうな勢いである。


ツカツカと静かに歩み寄ってくる堂上に、篤史は足がすくんでしまい動けずにいた。

ゲンコツか何かを食らわしはしないかとヒヤヒヤした郁は、何時でも間に入れるように構えている。

この期に及んでまた庇うつもりか!!?と怒鳴られそうな気がするが、今回は酔っ払いでもなければ現行犯でもない。…未遂ではあるが。
ただ告白をしただけの少年が、また警察どうこう言われてしまうのは少し忍びなかった。

が、近寄ってきた堂上は、歩み寄りながら何度か息をつくと、篤史の前に立って静かに話を始めた。


「今回は未遂だから不問にする。」


その表情とは裏腹に温情ある措置に、郁はほっと息をついた。
「しかし次回は…無いとは思うが、容赦はないぞ。

図書館は公共の場であり他にも利用者がいることを忘れるな。」

しかめられた眉がピクピクしており、怒鳴り付けたいのを必死に抑えているのがわかる。

(俺は図書館内でもイチャついてる夫婦を知ってるけどね。)


ニコニコした顔の下で小牧が何を考えているのかわかったらしい眉をしかめた堂上が、ちらりと小牧の方を見やった。
しかし流石と言うべきか、小牧からはなんの反応も返してはやらない。


「はい、すいません…。」


堂上よりも身体の大きな篤史が声を掠れさせながら謝ったのを聞き取った途端、篤は頷いて郁へと手を伸ばす。

腕を掴まれた郁は、為すすべもなく小牧の後ろからよろめきながら躍り出た。


そしていきなり腰を掴まれる。



「…ひとつ言っておく。

俺の妻に手を出したら業務時間外に殴り飛ばしに行くから頭に入れとけ。」



それに目を見張ったのは篤史だけではない。
感じたことはそれぞれ違うが、篤の言葉に小牧も少し驚いたようだった。

そのまま目を見張る三人を、篤は気にもとめずに落ちていた本を拾い、郁とは比べ物にならないスピードで本を書架へと戻していった。


「郁、こい。」

「あ、ま、待って篤さん;!」


篤に腕を引かれる郁の言葉に反応した少年が、何に引っかかり、どこにショックを受けているのか…後ろでその背を見ていた小牧はよくわかった。



(わかるけど…


堂上、それは公私混同じゃない…?)


いつもだったら口にする正論ではあるが、もし今回襲われかけたのが鞠江であったとしたら…

自分が堂上以上に大人気なく、子供相手であろうと言葉の暴力で痛めつけるだろうことが容易に想像できたので、黙って二人を見送った。



(公私混同はお互い様かな。)


苦笑と共に、未だ呆然としている少年の肩を叩いてやる。
ビクリと肩を震わせた少年が、気の毒に思わないでもない。


「ま、いい名前ではあるんだけどね。」


運がなかった。と言うのもどうなのかわからない。
篤がいなかったら成就するわけでもないし、いなければそもそも彼女もここにはいないのだ。

青春真っ只中の少年の恋は確かに悲しい結果にはなった。
でも恋愛はひとそれぞれで、失恋事態は苦いものであったとしても、その恋愛事態が苦いものであったかは本人次第である。


後先考えずに職場放棄した班長に代わり、フォローに回った小牧は後でこの少年と同じ名前の同僚にどうやって例をさせようかな…と考えながら、彼を連れて利用者用の食堂へと向かった。










「あ、篤さん;!」
郁の腕を引っ張る篤は図書館内を抜けて裏の特殊部隊庁舎の方へと足を向けた。

訓練速度だが、郁には慣れた速さのため遅れることはない。しかし篤が掴んだ腕が引っ張る強さはあまり弱くはない。


「あつしさ…」
「静かにしてろ。」


制止の声を上げようとする郁に、それだけ言った篤は庁舎内のとある一室に入って漸く歩みを止めた。


閉められたドアは、篤により鍵も一緒に閉められた。


「堂上教官…業務をこなす堂上班が小牧教官と手塚だけになっちゃいますよ?」


気になっていたことを、一応仕事ということで「教官」と差して諭してみる。

「後で穴埋めする。」


一蹴されたそれに、そんな無茶な…と思うが、不機嫌な顔をした篤は顔を背けて聞かない体勢だ。


(子供ですか、あなたは;!!)


「堂上教か…;」
「今だけプライベート。
俺が腹を立てているのは思いっきり私情だ。」


前置きを足してから眉をしかめて口を引き結んだ顔をした篤に、怒りの理由を想像してみる。


「…篤史君のことは何とも思ってないです。」
「当たり前だろ、アホウ。
大体郁は利用者と仲良くし過ぎる。」


不満げな声に、少し怒りとは違う雰囲気が滲み始める。
いや、先程から篤は怒っているのではない。
怒りは先程かわいそうなまでに少年に向けられた。



「でもほら、篤史君未遂だし!
小牧教官が間に入ってくれたし…。」
「俺のいた場所からじゃ間に合わなかったからな。」
「あはは、そうだけど。
あ、でもあの時の篤さん…」

そこまで言って、郁はハタと篤の顔を見て何かに思い至る。


「篤さん

…自分が助けられなくて拗ねてるの?」

「…悪いか。」


眉をしかめて照れ隠しをする篤が、不機嫌そうに口を引き結んで郁の身体を引き寄せた。
それがついカワイイだなんて言えば、今日帰ってから、手酷いお仕置きが待っていかねないので黙っておく。
投げっぱなしジャーマン+大人の罰あたりだ。


「郁を守るのはいつだって俺でいたいんだよ。」

「うわぁっ、それ殺し文句!///」


不意打ちの反撃に赤くなる頬が熱くて仕方ない。
しかめられる眉を見ながら、自分の幸せが膨らんでゆくのは不謹慎だろうか。

ここは多分、いつもの『守るとかズルい!』の反駁はいらない。
自分を何から守ってくれるのかは、多分篤しかわかんないだろうから。


「篤さん。」

「なん…」


胸一杯の幸せを示したくて、恥ずかしかったけど自分から口づけをした。

触れるだけのそれに、篤は少し驚いたように目を見張ってから漸く笑って見せた。

「ちゃんと篤さんは私を守ってくれてるよ。」

少なくとも、自分の今の幸せは十二分に守られている。「…たく、お前は。」


苦笑した篤の腕がすっと郁に伸びてきたが、その手が腰に回る前にこちらから掴んだ。

少し驚いた風の篤に、イタズラっぽく片目をつぶって笑って見せる。


「ほら、仕事戻りますよ?」


そう言ってそのまま個室から出るよう手を引っ張る郁に、一瞬思案したあと口の端を上げた篤が、その意外に見た目が華奢な腕を引っ張った。


「うあっ」


ガッシリと郁の前に太い片腕が回され、耳元に息がかかった。




「…今夜、覚悟しておけ。」

「;!!?」


(なんで!???)


耳元で囁かれたそれに、動揺を示した郁を見て満足げに笑うと、篤はさっさと職場へと歩き出した。

(可愛いのが悪い。)


固まった郁もなんとか溶解すると慌ててその背中を追いかけるのだった。








王子様も聖人君子ではないのだと。





戻った二人(特に堂上)が後々小牧にからかわれるのはしかたのないことである。


押しは強いが押されるのは弱い郁に萌。
そしてヤキモチ妬く篤さん萌。


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