死ネタ注意
サスケ×サクラ
*
君は忘れたの?
甘い匂いのこの華を
好きだと言わせたくせに君は、
求めたハズのこの香りを手放した。
目の前の君の手に、殺意。
抵抗しなきゃいけないのに、私は目を閉じた。
君を止めることも、あのこの横に立つこともできない私は、君の消えない足枷になるくらいしかできないから。
閃く鉄の輝きは刹那に私の胸へと吸い込まれる。
散ったのは、飛沫か花弁か。
この甘い匂いは、華の芳香か。
あるいは…。
でもどこか、懐かしくて切ない香り。
地面に伏した私を、貴方は涙も流さず見下ろした。
その瞳は依然とは比べ物にならないほどに暗くなってしまったけど、
アノ時と同じくらいの切なさがあった。
ゆらりと降りてきた匂いは、アノ時一瞬触れあったときに感じた君の匂い。
君はまだ…そこにいたんだね。伸ばしたのに、その手は直ぐにだらりと花びらの散った地面へ落ちた。
ぼやけ始めた視界の向こうで、花を見上げた君が涙を落としたように見えた。
まるでそれは、花びらが散るようにも思えたのだけど…。
瞼を閉じた私には、もう何も見れなかった。
花散る里
君はまた、ヒトリになった