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3年目の始業式が始まる30分程前。講堂への道を歩いていたら私の肩に乗っていた相棒、もといデュエルモンスターズの精霊ゴブリンゾンビがキィキィと声を上げた。
「どうしたんです?」と声を掛けたがゴブリンゾンビはジッと廊下の曲がり角を見つめ、私の肩から降りてそちらへ駆けていってしまった。慌てて追えば案外廊下を曲がってすぐの所にいたのだが。

「……誰ですその子」

ゴブリンゾンビの前には青紫色の身体と赤い瞳、尻尾に瞳と同じ色の丸い宝石を持った精霊がいた。
キィキィ、ルビルビとなにやら2体の精霊は話しているようだが如何せん何を話しているかは分からない。どうしたものかと悩んでいると前方から「ルビー!!」と声がした。
顔を上げると空色の髪の青年が膝に手を当て息を切らしていた。

「急に走りだしたから心配し……ってうおっ!ゴブリンゾンビ?!」

息が整って余裕が出来たらしい彼はどうやらゴブリンゾンビや私の存在に気付いたらしく、顔を上げた彼と目が合った。一瞬キョトンとした顔をした後ニカッと笑い「こんにちは」と言ってきた。外国の人に見えるが日本語上手いな。

「このゴブリンソンビ、アンタの友達?」
「え、あぁ、そうですけど……」
「そうか!……あっ!というかじゃあアンタにも精霊が見えるのか!!さっきも精霊が見える奴がいたし、流石デュエルアカデミア本校だぜ…!!」
「は、はぁ……」

あまりの勢いに気圧され思わず一歩引いてしまった。青年は気付いたようだが「あぁ、ゴメンゴメン!精霊が見える奴に会うの珍しいから」と特に気にしていない様子だ。
しかし、こちらが気圧されているのは事実なのでこの状況をどうするべきかと考えているといつの間にかゴブリンゾンビが青紫色の精霊と話すのをやめていて私の方を向いてキィキィとなにやら言っている。
私が首を傾げると同時に青年が「うわっ!もうこんな時間だ!!」と声を上げた。


「じゃあまた後で!」と精霊と共に颯爽と去っていった空色の青年の背中を無言で見送り、一体何だったのだろうかという疑問を胸に秘めつつ気を取り直して再びゴブリンゾンビと講堂へ向かうべく青年の向かった方とは反対方向に歩き出した。




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