Garden


羽化師の庭


参加者


GM.ソヨゴ
PL.夕紀乃/ユメト・クラウニー
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ユメト:陣営スキル[大樹の星]、対象を「虚無」にします! 宣言おしまい。
GM:了解です! 
GM:それでは、『羽化師の庭』セッションを始めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!
ユメト:よろしくお願いします!
GM:……
GM:……
GM:……
GM:あなたは、夢を見ている。
GM:はっきり夢だと分かっている。見知らぬ草原のただ中に、あなたは立ち尽くしている。
足元の翡翠は柔らかく靡き、視線の先に小さな邸がある。草原をとりまくように森がある。遠くまで続いている。
GM:ふと、あなたの耳許に、涼やかな春の風とは違う、けれどもよく似た柔らかい感触がして、目で追うとそれは一羽の蝶だ。
青い、蝶。 黒く縁取られた翅の。
GM:蝶はひらひらと邸へ飛んでいく。あなたは誘われるように、その後を追っていく。
そうして、邸の、扉まで来た。
ユメト:「ちょーうーちょーちょーうーちょー……♪」ゆるく童謡を口ずさんで、扉の前へ。「……」建物の扉と言えばやることはひとつだな、と思う。
ユメト:こんこんとノックします。誰かいませんかー
GM:返事はない。
ユメト:「?」うーん。まさかドアベルとかがあるのか(?)と周囲をきょろきょろ幻視してみようかな。
GM:扉に目を凝らすと、傍らに金属製のプレートが掛けられているのが分かる。
そこには几帳面な字体で『羽化師の庭』と刻まれていた。
ユメト:「……羽化師?」きょとん。
ユメト:しばし悩んでから、扉に手をかけてみる。まさか開いてしまうのだろうか。
GM:あなたが開こうと手を掛けると、扉はいとも簡単に動いた。
何処からか、ピアノの旋律が聞こえてくる。
GM:これといって変わったところのない邸の内装が目に入る。
真っすぐ通った廊下の向こうは白々と明るく、また廊下を挟むようにして幾つかの部屋が並んでいる。
ユメト:「(不用心だなあ……)」いいのかこれで。いや夢だからいいのか。うん?(困惑)
ユメト:中に入って周囲に幻視を。どんな部屋があるんだろう。
GM:扉は全部で三つ。それぞれに、邸の表にあったのと同じ真鍮のプレートがかけられており、こんな文字が並んでいる。
GM:『Room for butterfly』
『Room for leaving』
『Room for ???』
ユメト:「…………」英語にやや弱いユメトさんは真顔になった。
ユメト:「(この???はなんだろう)」うーん。しかし音の出所も気になる様子。
ユメト:周囲に聞き耳を。音は廊下の先からなのかな。
GM:聞き耳をすると、ピアノの音は廊下の先の、白くぼやけた空間から聞こえてくることが分かる。
そこも何かしらの部屋ではあるようだが、光が強すぎてこの位置からでは詳しいことは分からない。
ユメト:ではそちらに向かおう。廊下の先に進みます。
GM:あなたは廊下を進んでいく。その先は酷く眩しく、近付いても一向に輪郭がはっきりとしない。どうやらそこも、部屋ではあるようだが、……
近付いていく。朝日を思い出す。夜を裂いて陽が目を射るような、……
GM:とうとうあなたは部屋の入り口に立つ。そこは、温室だった。
グランドピアノのそばに、一人の青年がいる。
ユメト:「(温室?)」まぶしかったのか目をゆるくこすっている。
ユメト:「……あの、こんにちは……?」声をかけつつ青年に幻視を。
GM:彼はピアノの前の椅子に腰掛け、軽やかな手つきで鍵盤を弾いていた。
つややかな黒髪に、真っ白な肌、青い瞳、……どうやら西欧人のようだ。
GM:あなたの動きに気付いたのか、彼がふと、こちらを見やる。鍵盤が止まった。
羽化師の青年:「……おや、……お客様ですか」
ユメト:「……」ハッ。しまったいくら開いていたからってこれは不法侵入なのでは。これGNSTでもやってたな。
ユメト:「わ、悪い、返事がなかったのと開いていたのとで……その……」どう見ても不法侵入だわ。「……お邪魔してますごめんなさい」ぺこりと反省の礼。
GM:青年は貴方の言葉に、そっと微笑みを返す。
席を立って、背後の丸テーブルへとあなたを促した。自らもまたそこへ腰かけ、テーブルに置いてあった白磁のティーカップを手に取る。
GM:その中身は、透明だった。やがてどこからか青い蝶が舞い、彼が口付けるティーカップの縁へ、二羽、三羽と留まる。
ユメト:促されるままに椅子に腰かけようかな。
羽化師の青年:「やあ。……ここは、僕の、邸です。僕の庭」と青年は告げた。
羽化師の青年:「侵入だなんて、気にしないで。……鍵を掛けていないのは、招くためでも、ありますから」
ユメト:「そ、そうか……」ちょっと安心した。「……君の庭……それなら、君が羽化師?」首をかしげる。
羽化師の青年:「ええ、……僕の仕事は、“羽化師”です。繭から、蝶が飛び立つ、……あの羽化」
羽化師の青年:「人の痛みは、繭になるんです。身体の中に、心の奥に、……糸を吐き、渦巻いて」
羽化師の青年:「痛みはやがてその人の中で、育ち、蝶になり、翅を伸ばす。宿主を食い荒らして飛び立つ」
羽化師の青年:「そうなる前に、……穏やかに羽化させて、解き放つのが、僕の仕事だ」
ユメト:「……せらぴすとみたいなものか?」うーむ。
羽化師の青年:「似たようなものかも、しれないね」
羽化師の青年:青年は、はぐらかすように笑った。
羽化師の青年:「……僕の役目は、痛みを羽化させること。痛みを管理すること。痛みを、人が乗り越える、その手段になること」
羽化師の青年:「……人が痛みを飲み込むために、何をするのか、知っていますか?」
ユメト:はぐらかされた気がするぞ。
ユメト:「? いや……あまり自信のある答えは持っていないな」きょとん、としている。
羽化師の青年:「物語を、作るんですよ」
羽化師の青年:「理由を、道筋を、終わりを設ければ、人は痛みに納得できる。悲しみを受容できる。苦しみに耐えることができる。言葉が生まれて以来、人はずっとそうしてきました」
羽化師の青年:「……無意識にしろ、……意識的にしろ、ね。……僕にはその手助けができるから。必要なければ、それでもいい」
GM:青年はそう語り、ティーカップを傾けた。……中身はどうやら砂糖水らしい。縁に留まる蝶たちも、またそれを飲んでいる。
羽化師の青年:「だから、……あなたは、《終わりたい》ですか? それとも、《終わらせたい》ですか?」
羽化師の青年:青年は、唐突にそう尋ねた。
ユメト:砂糖水だと気付いてほんのり驚いてるかもしれない。透明なのはそれでか。
ユメト:「……、」僅かに固まった。「……それは、痛みを、ということかな」
羽化師の青年:「」
羽化師の青年:「お好きに。それは、僕が決めることではないから」
羽化師の青年:「ただ、物語を作る手段として、僕がいる。好きな方を選んでください。……僕はその選択の、手伝いをしましょう」
ユメト:「そうか」一言返して、ふと目を伏せる。「その2択であるなら、僕は《終わらせたい》な」
羽化師の青年:「そう、……どのように?」
GM:言って、青年は席を立つ。小さなテーブル越しに、そっと、あなたに顔を近付け、頬に手を伸ばす。
羽化師の青年:「思い、浮かべてください。貴方の望む《終わり》を、……どんな終焉を、齎したいのかを」
ユメト:拒まず、その手を受け入れる。「僕の望む終わり……」
羽化師の青年:「そう。……あなたが願ったのは、《終わること》じゃなく、《終わらせること》」
羽化師の青年:「貴方は自分ではない別の、何かの、幕引きを、……願うのですね」
羽化師の青年:「聞かせてください。貴方は何を、どのように、……終わらせたいのか」
ユメト:「……」目を伏せる。「そうだ」「僕が望むのは、僕が消えないことだから」ぽつり、ぽつりとこぼす。
ユメト:「……消えたいなら消えてしまえばいい」
ユメト:「そう望んでいるのなら、消えてしまえばいいのに」
ユメト:はは、と乾いた笑いとともに目を開く。
ユメト:「"ユメト"が消えれば、僕は消えずに済むのか?」望むのは、元の世界の"ユメト"の終わり。
ユメト:「存在ごと、消えたいと、望むなら、」「僕がそこに入ったっていいじゃないか」瞳の緑は暗い色を映しているかもしれない。
羽化師の青年:「貴方が望むのは、……貴方の存在を、脅かす者の《終わり》、……」
GM:首を軽く傾げた彼の耳許へ、一羽の蝶が飛んでくる。
GM:何か、囁くように傍で羽搏く。彼もまた耳を傾けるように視線を流す。内緒話をしているみたいだ。
GM:……やがて、青年は貴方に目を向けた。
羽化師の青年:「……おや。蝶が言うには、貴方は、……貴方自身を、終わらせたいのですね」
ユメト:「……」素直に頷くかな。「……どれだけ記憶が戻っても、違和が残る。どれだけ元の自分を知っても、僕は元の自分になれない」
ユメト:「いっそ、元の自分になれたなら、どれだけ楽だろうな」はは、と笑う。
羽化師の青年:「僕から見れば、それは自身を《終わりたい》という願望だ。けれど、……そう、仰らなかったということは、貴方にとっては、……きっと違うことなのでしょうね」
ユメト:「……同じになれないからな」「ごめん、ややこしいものを出したな」目を伏せて笑う。
羽化師の青年:「いいえ、……それなら、……そう、少し、……いつもと違うやり方に、なるけれど……」
GM:青年はそう呟くと、すっと身を乗り出して、……次の瞬間。
GM:貴方に、口付ける。
ユメト:「!?」驚くけど抵抗はしない。
GM:彼の唇から、あなたの唇へ、何かが蠢く、……それは、蝶だ。黒い縁取りに、青い鱗粉を輝かせる、蝶。
蝶の翅が咥内で割れる。鱗粉がざらりと、舌を撫ぜる、あなたの脳裏に、とある情景が浮かび、それはあなたの全ての感覚を支配した。
GM:(二枚の合わせ鏡。)
GM:(そこには、貴方と、もう一人の貴方、……かつてそうであったはずの自分、記憶の中にいる自分、……)
GM:(打ち拉がれ、存在の《終わり》を、心から願っている自分。)
GM:(貴方は叫ぶ。)
GM:(違う、お前は、俺じゃない、)
GM:(俺は、お前じゃない、違う、)
GM:(俺は、消えたくなんか、……)
GM:(貴方の声に応じる様に、向かいの鏡にヒビが入る。)
GM:(ぱきり、ぱきり、……少しずつ、……ヒビは広がり、全身を覆う)
GM:(やがて、最期の音がしたとき、)
GM:(鏡は粉々の破片となって飛び散った。)
GM:(無数のきらめきが、どこからか光を連れてくる。銀に舞う欠片、朝日の様な、清しい光が頭上から差し、貴方の世界の暗闇を払う。)
GM:(貴方は、知る。これで《一人》だと)
GM:(消えたかった自分は、違う自分は、同じになれなかった自分は、自分は、)
GM:(……《自分》、は……)
GM:……
GM:……
GM:……
GM:幻覚は、ゆっくり、覚めていく。
GM:あなたが瞬くと青年は、その手に小瓶を持っている。
底の方は黒く、上澄みにつれて赤色に変化する、透きとおった液体の揺れるその小瓶をあなたの手に握らせ、彼はそっと呟く。
羽化師の青年:「これは、夢です。あなたが見たものは、まだ、あなたの望みでしかない」
羽化師の青年:「けれど、……あなたがいつか、終わりに相応しい瞬間を、得た時は。この小瓶の中身を飲んでください」
羽化師の青年:「きっと同じ、……《終わり方》ができる。……僕が、そのように、しましょう」
ユメト:「同じ、終わり方……」「僕が、」「……僕は、僕が、あの場所に、」
ユメト:「……」ぐる、と複雑な思いがないまぜになったような様子で「ありがとう」と小さく呟いた。
羽化師の青年:青年は、貴方の表情を無言で見詰めると、
羽化師の青年:少し、意地悪な笑みを浮かべた。
羽化師の青年:「ねえユメト、……でも、気を付けて」
羽化師の青年:「誰が自分で、誰が違うか、……誰が同じで、誰が違うか、」
羽化師の青年:「……本当に、自分が、見分けられているのか」
羽化師の青年:「……飲むのなら、よく、……考えて」
GM:言い終えると彼は、貴方に席を立つよう促した。
羽化師の青年:「さあ、……もう、夢も覚める頃だから」
ユメト:「……」素直に席を立つ。「ここは、夢だもんな」そうだ、夢だから、言葉を吐いて、吐きだした。「(こんなの、言うつもりなかったのに)」夢でよかったのかもしれない。
ユメト:「(僕は知っているのにな)」元の自分が本当に望んだことを、知っていて、吐いた。
ユメト:「……いろいろ、ありがとうな。誰にも言うつもりなかったから……少し、すっきりしたかもしれない」
ユメト:お礼を述べる。
羽化師の青年:「ううん。それが、……僕の役目だから」
ユメト:「それでも嬉しかったよ」「……キスは驚いたけどな」ああいう形じゃないと駄目なのか?と肩をすくめている。
羽化師の青年:首を傾げている。質問の意図がよく分からないらしい。
羽化師の青年:あるいは、そのフリをしているか、だ。
羽化師の青年:「僕が必要になったら、……また、おいで。じゃあそのときまで、」
羽化師の青年:「……気を付けて、帰って」」
ユメト:そういうものなのかなと納得したようだ。
ユメト:ひとつ頷いて手を振ろうかな。
GM:青年がそう告げた刹那、あなたの意識はふっと遠のく。
GM:倒れていくあなたの背をまた、無数の蝶が抱きかかえ、柔らかく床に降ろしていく。
その心地よい浮遊感に、まどろむように、あなたは瞼を閉じた。
GM:……
GM:……
GM:……
GM:朝日が眩しい。
GM:目覚めたあなたの手には、見慣れぬ小瓶がある。黒と赤の透きとおった液体が瓶の内側で揺れていた。
ユメト:まぶしさに目を強く閉じて、開く。ふと目にとまった絵画から、なぜか目を離せない。
ユメト:白い蝶とともにいる青年。「……」立ち上がり、絵画のそばへ。
ユメト:そうっと絵画に触れる。「消えたいくせに、生きたいんだっけ?」嘲笑うような声音が口からこぼれる。「自分勝手。お前なんか大嫌いだ」
ユメト:「……消えたくない」ずっと黙っていた言葉が、口からこぼれる。「消えたくないんだよ、僕は」忘れたくないんだ。
ユメト:いつも見て見ぬふりをしていた漠然とした不安が、その朝は嫌に膨らんで、溢れた。
GM:誰かに、何処かで、出会ったような、……そんな感慨も、夢が消えていくと同時に自然と霧散していった。
窓を見る。日の明るさは、夢の中で見た白と、同じ色をしている気がした。
GM:おめでとうございます、シナリオクリアです!
GM:【ED】
ユメト:お疲れ様でしたあああああああああ!!!!
ユメト:ひえええいろいろありがとう……ありがとう……(平伏)
GM:いや〜〜たのしかった
GM:報酬は『Poison for Y』となります! 最後に渡した小瓶ですね!
GM:GM報酬は受け取り済みのため無し。
ユメト:わあい!
ユメト:ユメトさん初めてこの弱音吐いたなあ……ってしてる。だいぶ前からずっと抱えてたからなんか感慨深い(?)
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