Garden


羽化師の庭


参加者


GM.ソヨゴ
PL.たなか/柾 千年
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GM:それでは、『羽化師の庭』セッションを始めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!
柾:よろしくお願いいたします!
GM:……
GM:……
GM:……
GM:あなたは、夢を見ている。
GM:はっきり夢だと分かっている。見知らぬ草原のただ中に、あなたは立ち尽くしている。
足元の翡翠は柔らかく靡き、視線の先に小さな邸がある。草原をとりまくように森がある。遠くまで続いている。
GM:ふと、あなたの耳許に、涼やかな春の風とは違う、けれどもよく似た柔らかい感触がして、目で追うとそれは一羽の蝶だ。
青い、蝶。 黒く縁取られた翅の。
GM:蝶はひらひらと邸へ飛んでいく。あなたは誘われるように、その後を追っていく。
そうして、邸の、扉まで来た。
柾:眠たげな瞳を、一度ぱちりと、瞬かせる。
特にこうだという理由もないが、目の前に扉があるなら、開くべきだろう。
ためらう素振りもなく開こうとしますね。
GM:あなたが開こうと手を掛けると、扉はいとも簡単に動いた。
何処からか、ピアノの旋律が聞こえてくる。
GM:これといって変わったところのない邸の内装が目に入る。
真っすぐ通った廊下の向こうは白々と明るく、また廊下を挟むようにして幾つかの部屋が並んでいる。
柾:ふむ。では聞き耳と嗅ぎ分けしたいです。
聞き耳は、ピアノの音の出所を探りたいから。嗅ぎ分けは癖です。(癖です
GM:聞き耳をすると、ピアノの音は廊下の先の、白くぼやけた空間から聞こえてくることが分かる。
そこも何かしらの部屋ではあるようだが、光が強すぎてこの位置からでは詳しいことは分からない。
GM:嗅ぎ分けをすると、廊下の一カ所に青い芥子の花が飾られていることが分かるだろう。
柾:了解です!
青い花の存在に気付くも特に興味を示す様子はない。そのまま、廊下の先にある白い空間のほうへ向かいます!
GM:あなたは廊下を進んでいく。その先は酷く眩しく、近付いても一向に輪郭がはっきりとしない。どうやらそこも、部屋ではあるようだが、……
近付いていく。朝日を思い出す。夜を裂いて陽が目を射るような、……
GM:とうとうあなたは部屋の入り口に立つ。そこは、温室だった。
グランドピアノのそばに、一人の青年がいる。
柾:「まぶちい…………」 朝はだめぽ
う゛ー……と小さくうなりつつ、まぁ取りあえず青年の方へてぽてぽ寄って行きましょう。
GM:彼はピアノの前の椅子に腰掛け、軽やかな手つきで鍵盤を弾いていた。
つややかな黒髪に、真っ白な肌、青い瞳、……どうやら西欧人のようだ。
GM:あなたの動きに気付いたのか、彼がふと、こちらを見やる。鍵盤が止まった。
羽化師の青年:「……おや、……お客様ですか」
柾:「やっぴー」 へら、と笑って軽く手を振る。 「オキャクサンー?」 青年の言葉には首を傾げますね
GM:青年は貴方の言葉に、そっと微笑みを返す。
席を立って、背後の丸テーブルへとあなたを促した。自らもまたそこへ腰かけ、テーブルに置いてあった白磁のティーカップを手に取る。
GM:その中身は、透明だった。やがてどこからか青い蝶が舞い、彼が口付けるティーカップの縁へ、二羽、三羽と留まる。
羽化師の青年:「やあ。……ここは、僕の、邸です。僕の庭」と青年は告げた。
柾:「そーなの?へー。……あ、お邪魔してまぁーす」 テーブルのほうへ促されたから歩いていこうかな
羽化師の青年:「そう。君が、ここへ来たということは、……君はきっと、僕のことが、必要な人なのでしょう」
羽化師の青年:「……あなたは、……《終わる》のと《終わらせる》のだったら、どちらが、よいですか」
柾:「終わるのと終わらせるの?」 首をかしげながら、テーブルに空いてる椅子があるなら腰掛けますね。
羽化師の青年:「……僕の仕事は、“羽化師”です。繭から、蝶が飛び立つ、……あの羽化」
柾:「うか」
羽化師の青年:「人の痛みは、繭になるんです。身体の中に、心の奥に、……糸を吐き、渦巻いて」
羽化師の青年:「痛みはやがてその人の中で、育ち、蝶になり、翅を伸ばす。宿主を食い荒らして飛び立つ」
羽化師の青年:「そうなる前に、……穏やかに羽化させて、解き放つのが、僕の仕事だ」
GM:青年はそう語り、ティーカップを傾けた。……中身はどうやら砂糖水らしい。縁に留まる蝶たちも、またそれを飲んでいる。
柾:甘い匂いがしそう。
GM:するかもしれませんね。
柾:「ふぅん」 机にあごを置くように、体を机の上に伏せる。青年の言葉についてぼんやりと考えてみる
羽化師の青年:「……僕の役目は、痛みを羽化させること。痛みを管理すること。痛みを、人が乗り越える、その手段になること」
羽化師の青年:「……人が痛みを飲み込むために、何をするのか、知っていますか?」
柾:「さー、我慢するんじゃなあい?ぼくは、なんかよく分かんないけど」
羽化師の青年:「物語を、作るんですよ」
羽化師の青年:「理由を、道筋を、終わりを設ければ、人は痛みに納得できる。悲しみを受容できる。苦しみに耐えることができる。言葉が生まれて以来、人はずっとそうしてきました」
羽化師の青年:「……無意識にしろ、……意識的にしろ、ね。……僕にはその手助けができる。必要なければ、それでもいい」
羽化師の青年:「だから、……あなたは、《終わりたい》ですか? それとも、《終わらせたい》ですか? 物語を作る手段として、僕がいる。好きな方を選んでください。……僕はその選択の、手伝いをしましょう」
柾:難しい話は好きじゃないなと思った目が、ゆるりと右に向かって逸れていく。
終わりたいか、終わらせたいか。と聞かれても実感がわかないのが正直なところだ。
終わりがくると、意識する必要がなかったから。
柾:「んー、むずかしーね。それ」
柾:「“終わりが来る”なんて思ったことなかったなぁ」
羽化師の青年:「そう? そうかもしれないね」今の言葉は、来る客全てに投げかけているフレーズだったようだ。先ほどとは違い少し砕けた調子で、彼は言葉を返してきた。
柾:不揃いな記憶の中でも、自分が死なない存在なのだということは理解できていただけに。
羽化師の青年:「もし、君が、《終わり》を望まないなら、……僕から君にしてあげられることは、ほとんどないだろう。でも、……ここへ来た、ということは、……」
羽化師の青年:「……僕は、君の生きる世界の理とは、少し違うところで生きている。 君の世界では叶えられなかった願いでも、手が届くかもしれない」
柾:「まじで」
柾:「えーやばめ〜〜〜」
羽化師の青年:「《痛み》と《終わり》に、関することならね」あなたの台詞にまた、くす、と笑う。
柾:「あのねぇ、僕その、いたみーとか、終わりーとか、そゆのからいちばーん遠いとこにいるのね」 へらりと笑いながら言う
羽化師の青年:首を軽く傾げた彼の耳許へ、一羽の蝶が飛んでくる。
羽化師の青年:何か、囁くように傍で羽搏く。彼もまた耳を傾けるように視線を流す。内緒話をしているみたいだ。
羽化師の青年:……やがて、青年は貴方に目を向けた。
羽化師の青年:「なるほど、あなたは、“死ねない”のですね」
柾:「そー!すごいね!僕しなないの! 指パッチン
羽化師の青年:「望みがないのなら、僕からは何もしません。……というより、できない、が正しいね」
羽化師の青年:「それなら、ここへは“辿り着いた”というより“迷い込んで”しまったのでしょう、……元いた場所へ、すぐに送りますよ」
羽化師の青年:「そうでないなら、僕は僕の、仕事をするだけ。……自由に決めてください」
柾:目を瞬かせて、またふにゃりと、笑うだろう。だけどどこか、困ったような、色を滲ませて
「……そう急かさないでよ」 と小さく言葉を紡ぐ。
柾:机に伏せていた体を起こして、椅子の上に三角座りする。膝に顔をうずめたあと、背を丸めて黙ってしまうだろう。
羽化師の青年:「ふふ、……そう。君にもまだ、分からないのなら、……ゆっくり悩むといい」
柾:自分の中の答えが決まっているのはうすうす感じ取っている。
柾:でもそれを今、ここで、言ってしまったら。
柾:なにかドロドロしたものが流れて出して、そのまま止まらなくなる気がした。
柾:……あぁ、でも、望むなら、叶うなら、
柾:「…………《終わりたい》、かなぁ」 ぼそりと、呟く
羽化師の青年:「そう、……」予想していた通りの、答えだったのだろう。驚いた様子もなく、落ち着いてかれは言葉を紡ぐ。
羽化師の青年:「どんな風に?」
柾:「消えたい」
柾:「骨のいっぽんも、血のいってきも、残さずに」
柾:「風に、溶けるみたいに消えてみたい」
柾:「誰の記憶にも、残らずに」
GM:青年は席を立つ。小さなテーブル越しに、そっと、あなたに顔を近付け、頬に手を伸ばす。
柾:膝に顔をうずめてるから、伸びてきた手に気付かない。
席を立った音のあと、ワンテンポ遅れて、顔を少しあげてようやく、気付くのだろう。
羽化師の青年:「……分かりました。それが、貴方の望む《終わり》なら」
羽化師の青年:する、と彼の指があなたの、輪郭を撫でようと動く。
羽化師の青年:「……あなたが望む通りの《終わり》を、あなたに、贈りましょう」
柾:「……ほんとに?」 笑ってみせた。しかし、疑うような、どこか縋るような、表情は隠しきれなかったのだと、思う。
GM:ふ、と彼は笑みを返す。それが、僕の役目だから。……そう、呟いた、
次の瞬間。
GM:彼は、あなたに口付けた。
GM:彼の唇から、あなたの唇へ、何かが蠢く、……それは、蝶だ。黒い縁取りに、青い鱗粉を輝かせる、蝶。
蝶の翅が咥内で割れる。鱗粉がざらりと、舌を撫ぜる、あなたの脳裏に、とある情景が浮かび、それはあなたの全ての感覚を支配した。
GM:(雨だ、)
GM:(貴方は心地よい暗闇の中で、冷たい雨に打たれている)
GM:(雨の滴があなたの身体の、温かさを呼び起こす。冷えた肌と、内側の熱を、貴方は同時に感じている)
GM:(ふと、貴方は指先を見る。)
GM:(爪の先からゆっくりと、あなたの身体は消えていっている)
GM:(驚きと同時に、安堵を感じながら、貴方は身体のあちこちに目を遣る。)
GM:(滴に打たれた場所から、順に、溶けるように、けれど混ざらずに、跡形もなく、全て消えていく)
GM:(いつものように、全てが“何も無かったような”元の姿に戻ることはなく、)
GM:(少しずつ意識が無くなって、)
GM:(最期に、見上げた空からひとつ、)
GM:(泣きたくなるほど透明な、美しい、滴が落ちた)
GM:……
GM:……
GM:……
GM:幻覚は、ゆっくり、覚めていく。
GM:あなたが瞬くと青年は、その手に小瓶を持っている。
底の方は黒く、上澄みにつれて青色に変化する、透きとおった液体の揺れるその小瓶をあなたの手に握らせ、彼はそっと呟く。
羽化師の青年:「これは、夢です。あなたが見たものは、まだ、あなたの望みでしかない」
羽化師の青年:「けれど、……あなたがいつか、終わりに相応しい瞬間を、得た時は。この小瓶の中身を飲んでください」
羽化師の青年:「きっと同じ死に方ができる。……僕が、そのように、しましょう」
柾:「…………」
指先から消えていく幻の余韻から、あの甘美な感覚から、抜け出したくないともがくように、苦しげ笑みだけを浮かべる。
それでも、小瓶を、落とさないように握り締めて。 分かった、と、応える。
羽化師の青年:青年は貴方の言葉に、慈しむような笑みを浮かべると、貴方に席を立つよう促した。
羽化師の青年:「さあ、……もう、夢も覚める頃だから」
柾:「ん、……そうなの?えぇー、残念だなぁ」
柾:言葉とは裏腹に、へらっと気の抜けた顔をして席を立つ。
羽化師の青年:「ふふ。君が望むなら、……きっとまたここへ来られるよ」
羽化師の青年:「だから、……またね。気を付けて、帰って」
柾:「そっかぁ。じゃ、またねぇ……、……」 ふと、青年の名を知らないことに気付く。首をかしげて問うてみよう
「うかしのオニーサン、名前はないのぉ?」
羽化師の青年:「……名前?……そうだね、伝えてなかったな」
羽化師の青年:「僕の名前は、ミアオシュン。三つの青に、俊足の俊と書いて、……三青俊」
柾:「みあおしゅん」 「しゅんちゃん」 と、呼んでいい?というニュアンスで反対側に首をかしげる
羽化師の青年:楽しそうに笑う。
羽化師の青年:「うん。……次きた時には、そう呼んで。 柾くん」
GM:青年がそう告げた刹那、あなたの意識はふっと遠のく。
GM:倒れていくあなたの背をまた、無数の蝶が抱きかかえ、柔らかく床に降ろしていく。
その心地よい浮遊感に、まどろむように、あなたは瞼を閉じた。
GM:……
GM:……
GM:……
GM:朝日が眩しい。
GM:目覚めたあなたの手には、見慣れぬ小瓶がある。黒と青の透きとおった液体が瓶の内側で揺れていた。
柾:「まぶちい……」 目をごしごし。
そうして、ベッドに身を預けたまま、手の中の小瓶を掲げて朝日に透かしてみる。
……なぜか。焦がれるような、気持ちになって。はにかむように笑いながら、その瓶に口付けた。
GM:誰かに、何処かで、出会ったような、……そんな感慨も、夢が消えていくと同時に自然と霧散していった。
窓を見る。日の明るさは、夢の中で見た白と、同じ色をしている気がした。
GM:おめでとうございます、シナリオクリアです!
GM:【ED】
柾:ありがとうございましたあああああああああああああああ
GM:お疲れさまでしたああああ
柾:楽゛し゛か゛っ゛た゛で゛す゛
GM:やったーうれしい!! わたしもたのしかったですえへへ
柾:ロールゆっくりやらせてもらえてよかった……ありがとうございます……
GM:報酬は『Poison for M』となります! 最後に渡した小瓶ですね!
「誰の記憶にも残らないで」と指定があったので、その効果もフレーバー程度に入れようかなと思ってるんですが、
1:セッション時に使用すると、そのセッション時の柾千年の記憶は関わった全てのPC/NPCの記憶から消える。記憶を残すアイテムを使ったとしても柾千年のことを覚えておくことはできない。
2:使用すると、柾千歳のことを記憶できる人間が居なくなる
GM:のどっちがいいです?
柾:ワアアアアアイ!!毒薬だ!
2を選ぶと、セッション内外問わず柾のことを忘れる上に記憶できなくなるっていう、ことですかね?
GM:そうですね!!
GM:正直交流できなくなる気がします(思いついたから言ったけど
柾:ヒュウやばい!!!wwwwwwwwwですよねwwwwwwwwwwwwwwww
柾:あ、えっと。毒薬って基本一回きり用のものだと思ってたんですがあってますか?
GM:あってます!
GM:消耗品ですね。
GM:俊くんは、「本気で死にたいなら」庭を出てからの使用をおすすめするそうです
柾:間違いない(間違いない
GM:庭の中はまた違うルールで動いてるから、リスボンしちゃうから
庭の外でならマジで死ねます(パロ世界感
柾:あれですよね、「庭を出てから」ってダンジョン内外とかじゃなくてそもそも庭から帰ったあとってことですよね。
GM:いえす(いえす)
柾:使うとしたら帰るときかなって思ったので、正直2でも私はいいかなって……
柾:あれ……お庭から帰るときって持ち物なくなるんだっけ確か…… 使って帰らなきゃ……?!
GM:おっ じゃあ2でいっちゃう? いっちゃう?
GM:多分マジでパロ世界的に使うんであれば俊くんが持っていくと思いますよ
GM:ぱたぱた
柾:まじかよ俊くんさん様
柾:ぱたぱた〜〜〜
GM:それがおしごとだから……(ぱたぱた
柾:えっとですね、
GM:ういうい
柾:柾の「死にたい」とか「消えたい」のニュアンスが、実は二通りあってですね
セッション中にも言ったとおり、骨も血も記憶にも残さずに文字通り「消えたい」、存在を終わりにしたい。っていうのがひとつ。
もうひとつ、が、普通の人間みたいに死にたい。人々の記憶から、いつか消え行く故人のように、ゆるやかに死んでいきたい。
ただ、普通の人間ではそもそもないので後者は正直期待してないし望むのもなんかなっていうのがあって
だから、せめて跡形もなく消えてしまいたい、っていう。RPでどうしてあげればいいか分かんなくて手間取ったのがここでした。
GM:なるほろ
柾:それを踏まえて(踏まえてるのか分からないけど)2番がいいなって思いました。
GM:それじゃあ2番の効果でいっちゃおう
柾:ありがとうございます……ありがとうございます……
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