爆弾投下少女、荒木唯
ズボラ、飄々、マイペース。
あいつを表現するのにだいたいピッタリな言葉だ。
朝は3人で毎日登校する。と草太が小1の時に決めた。まあここまで続くとは思わなかったわけだが。
「お、唯来た!おーはーよー!」
うるさい草太の声にマンションの入口に目を向ける。
上の3つの言葉でほぼ構築できる幼なじみは欠伸をしながらやってきた。10分の遅刻なのに重役出勤のようだ。
「おはよう」
「はよ」
短く挨拶を交わした唯は眠そうだ。きっと15分前くらいに起きたのだろう。こいつの寝起きの機嫌は最悪だ。
「ふぁ」
「欠伸よくすんな」
「いやねー、草太の話がつまんなくてさー。」
「たしかに。」
「ひでえ!」
いつもの会話パターン。飽きてはいるのだが、ずっとずっと変わらない。草太はいじけだした。毎回毎回よくそんなに落ち込めるなぁ。面倒だから放置だ。
「そーだ、亮」
「ん?」
「昨日、夜コンビニいたでしょ?」
「あー?…部活帰りに。ってなんで知ってんの?母さんから聞いた?」
部活が終わったのは9時である。母さんから聞いたか?と一応の期待を込めて言ったが、それは無意味だった。
唯はフフンと鼻を鳴らして、偉そげに言った。
「あたし立ち読みしてたの。亮も雑誌コーナーにいてさー。全然気付かないの。」
「9時過ぎの話だろ。」
唯はしまったという顔をした。しかしもう遅い。
「夜遅くに危ねえ。ダメ。俺が許さない。これからその時間に出る時は俺か草太連れてけ。」
「ちぇー。ほいほい」
「昨日だって帰りだけでも俺に声かければよかっただろ?」
「あー…、それはねぇ」
唯はちょっと顔を赤らめて爆弾発言した。
「亮がエロ本買うとかだったら迷惑かなって!」
爆弾投下少女、荒木唯
「エロ本!?」
「うわー、草太ー。そこに反応するとかないわー。」
「唯、お前の発想もねえよ!」
こいつらといると、ほんとにペース乱されます。