透明人間の愛し方





―――普通の人間の愛は発達しているらしい。




見つからない。見つからない見つからない見つからない。


冷たい雨が身体の中を通っていく。それが無性に悲しい。
泣いても叫んでも、街を行き交う人は誰も気付いてくれない。見向きもしてくれない。

それでも、ただひたすらに走る走る走る。






「なにか、お探し?」

どこからかの声。
後ろを振り返ると、若い女が立っていた。
叫ぶようにして答える。



見つからないんだ!
「なにがですか?」
か、身体が
「それはどうしてなくしたのですか?」

女は問うた。

…最初からないから?
「あら、無い物ねだりね」
う、…
「身体さえあればいいの?」
違う
「違うの?」
声も欲しい
「それは何故?」
俺だけ持ってないから
「…貴方は身体を見つけたかったわけじゃないのね」
どういうことだ
「貴方は、貴方自身を見つけて欲しかったのよ。だから、私が見つけた。」


差しのばされたその手。
やっぱり、どうやっても掴むことはできない。
でも、俺の存在は確かにそこにあるのだ。





透明人間の愛し方



―――見つけてもらえるだけで愛だと感じるなんて




BGM/JPOP Xfile






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