和解







「親父もやっとおじいちゃんだな」
「はは、一気に老けた気がするよ」

10ヶ月も待っていた俺の愛しく新しい命の誕生を祝う夜。久しぶりに俺は親父の嬉しそうな顔を見た。

酒は進む。
親父のグラスに酒を注ぐと、コポポッという音がリビングに響いた。



「俺さぁ、親父ぃ」
「なんだ」
「俺、昔親父のこと大嫌いだったわ」
「知ってるよ」

親父は笑った。
笑うと目尻のシワが優しくあらわになる。
笑いシワ。
俺もこんな風に歳を重ねたい。


「でも俺も親父みたいな父親になるよ」


恥ずかしくて大きな声では言えなかったが、親父にはちゃんと聞こえていた。
親父は古い古いアルバムを開き懐かしむような表情を見せた。

「そうか」

親父はそうぽつりと一つ相槌を零し、さっき注がれた酒を飲み干した。


「まあぜってえ嫌われるけどさ」


熱くて、苦くて、どこか柔らかい、そんな物質で身体が満たされたような感覚。もっと素直に伝えたいのにもどかしい。

それでも、また親父は「生意気を言うようになったなあ」と笑うのだ。

熱い暑い、
きっと酒のせいだ。


差し出された空っぽのグラス。
またコポポッと音が響いた。








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