背後の大魔王、荒木慧






懐かしい思い出はいつまでも暖かい。はずである。


「あんときはさー、草太がおねしょして泣いててさー」
「あー、あったなぁー。お前一人っ子なのに、俺じゃないとか言ってた」
「待って。お前らもっと他のこと思い出せよ!」
「あのあと、なんかあたしの家まで行って大喧嘩になったよね。」
「だな、あれ?そっからどうなったっけ?」
「えーと?……あ、いや!思い出さない方がいいよ!」
「は?………って、あぁ…。うわぁ…嫌な記憶というか恐怖だな」
「俺も思い出した。やっべ、今でもちびりそう」
「あんたがちびりそうなら、あたしなんてほぼ毎日」
「唯、ストップ」
「ちッ」
「いやまあしかしあれはなかなかのインパクトだったよな」
「あれでお前の兄ちゃんの恐ろしさを知った」


ぎゃあぎゃあ喧嘩していると、バンと勢いよくドアが開いた。そしてそこにいたのは鬼のような形相をした唯の兄ちゃんだった。第一声は「うるせぇ」なんて温いもんじゃなかった。
「おい、口の中にハンカチ詰めてガムテープで塞いで接着剤で固定すっぞ。黙れ。」
青ざめる幼稚園時代な俺たち。
そこからさきは、ご想像にお任せします。
セルフサービス!


「兄貴、怖いわー。名前は可愛いのにね、けいちゃんてー、ぷくく」
「今、大学生だよな?」
「まあねー、あんな性格悪いのに大学行けんのよ、世も末」
「あはは!確かにだな!」
「お前ら、それ慧さんの前で言うなよ」
「「ばっか!言うわけないじゃん」」




「いやー、見事に俺の真ん前で言っちゃってるけどなあ」






背後の大魔王、荒木慧





「お前らそこに正座しろ」
「「「ハイ」」」







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -