「…………」
「………………」
視線が酷く痛い。
自分の視線は確実にバスケ雑誌に向かっているが、彼はそうじゃないらしい。緑間は流石に気になって、視線をそちらへ流してみた。
見られている。いや、それは分かりきっていたが、穴が開くほど、これでもかというほど見られている。
「………なんなのだよ」
流石にバスケ雑誌に集中を戻すことは出来なくなって、緑間はそれを机に放って高尾に向き直った。綺麗な燈をレンズ越しに見つめてやると、耐えられなくなったのかふいと顔を背けられてしまって、結局何がしたかったのかさっぱりだ。
「高尾、用があるなら言うのだよ」
「……別に、用とかないけど、さ。…ただ、真ちゃんが、」
俺を見ないのがさみしくて
(耳まで赤くして紡ぐものだから)
(唇を食んで塞いでやった)
20111124