短編 | ナノ
atro-ala

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虫刺され


*会話文のみ
*ツイッター連載



「伊月ぃぃい!」

「なに?」

「体操服っ体操服貸せっ」

「え、ごめん次の次体育だから下に着ちゃってる。ズボンなら貸すけど」

「ズボンはあんだよ俺も!体操服の上だけ部室置いてきちまった体育次なのにっ」

「うわ、ご愁傷さま」

「ちょっとは何とかしてやろうとか思わねえのか!」

「なんとかって、コガは?」

「あいつんトコはさっきまで体育だったから今着替えてんだよ!」

「……ご愁傷さま」

「伊月ぃいっ」

「どうしようもないだろ、諦めて怒られろ」

「…………」

「たまにはそういうこともあるって、落ち込むなよ」

「………………よ、」

「え?」

「脱げ」

「脱げって……え、」

「大丈夫、お前が体操服貸してくれれば俺は怒られないしすぐ返せばお前も間に合う!」

「全然大丈夫じゃないだろ先生に怒られないだけで俺は今ここで体育でもないのに男に脱がされる危機じゃんかねえ日向ちょっと!」

「大丈夫だ、跡はつけてない。多分」

「おい!」

「日向、本当にだめっ」ヒソヒソ

「なんで、マジで間に合わねえんだけど」

「お前昨日鎖骨噛んだろっ」ヒソヒソ

「……あー、虫刺されってことにしとけ」

「無理に決まってんだろだーほっ!あっ」

「あとボタンいっこ…」

「ひゅーがっ!」

「っし、脱げ」

「無理だってば……!」

「お、なにやってんだ?」

「助けてくれ木吉っ」

「体操服借りようと思って、手伝えよ」

「あぁ、部室に置いてきたって言ってたもんな。日向の為に脱ごうな!」

「ちょっ、無理無理無理無理!ここ教室!女子もいるしっ」

「女子に人気の伊月が脱ぐんだぜ大丈夫だ」

「なにがだ!」

「よいしょ、」

「うわ…っ」

「体操服ゲット!体育行ってくるっ」

「おー、頑張れー」

「ばかひゅーがっ、だーほっ!」

「あれ?伊月ここどうしたんだ?なんか赤いけど」

「えっ、あ、…虫に刺された」

「そうか、早く治ればいいな」

「あー……うん」

「痒いのか?」

「ううん、大丈夫」

「そうか」

「(木吉が天然で良かった…)」

「伊月ー!」

「お?グランドからか?」

「日向だ、なんだよー?」

「肩甲骨も虫刺されてんぞー!」

「ッな、だーほ!ひゅーがのだーほぉぉおっ!」


虫刺され
(その虫を仕留める日は)
(永遠に来やしない)

20120812








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