短編 | ナノ
atro-ala

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いつわりのしあわせ

*日←月←黒





「センパイは今しあわせですか」



センパイには聞こえなかったと思う、でもセンパイは此方を見た。



「どうかしたか?」

「いいえ、なにも」



ボクは言う、ボクは笑う。でもそれもこれも曖昧に。

センパイはまたあの人に視線を戻した。センパイ、センパイは今しあわせなんですか。



「かわいそうな人ですね」

「え?」



あぁ、今度は聞こえてしまったらしい。センパイは少しだけ眉を潜めてボクを見た。ボクはどうしたものかと一瞬悩んで、なんでもないですよと、やっぱり曖昧に笑って見せた。



「変なの。別にいいけどさ」



あぁ、センパイ。ボクに言わせてみれば、変なのはセンパイですよ。

センパイはまたあの人に視線をやって、悲しそうに笑っている。そんな顔をするなら見なければいいのに、あの人に話しかけられたら悲しさなんて微塵も見せずに笑って返すんだ。

センパイ、そんな泣きそうな笑顔しないでください。



「センパイは今しあわせですか」



大好きな筈のあの人の親友として、そこで笑い続けるだなんて。そんなの、しあわせな筈ないじゃないか。



「俺はしあわせ者だよ」



呟くようにボクに返された言葉に、ボクは奥歯をぎりりと鳴らした。





偽りのしあわせ

(親友を演じ続ければ)

(俺は隣にいられるんだもの)



15分で書き上げた謎の病み文。……現実逃避やめて原稿してきます、うっす…。

20120428








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