短編 | ナノ
atro-ala

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君と二人、日向ぼっこ

「眠い」
「寝ればいいじゃあないですか」
「お前と一緒にするな」

陽の臭いがする真っ白なシーツに顔を埋めながら、ザークシーズはくつくつと声をたてて笑った。
窓の外で青々とした葉が心地よさげに風に揺られている。さわさわ、そんな音を左耳で聞きながら、右耳ではがりがりと万年筆が羊皮紙を引っ掻く音を聞いていたザークシーズは、その釣り合わない音の共演に、やはりくつくつと笑う。

「何がおかしいんだ」
「いえ、なんでも。……っふ」
「こっちは真面目に仕事してるってのに、少しは手伝え!」

真面目に仕事してる人は眠くなんてないですよ、今さっき自分が言ったこと忘れましたか。
そう挙げ足を取ってやると、反論すら思い付かないのか、ギルバートはいかにも一本とられたような顔をして此方を見るものだから、情けないその表情がおかしくてまたくつくつと溢した。その状況をどうにか打破しようと頭を回して、ギルバートは結局諦めたらしい、溜め息を一つ溢して机に向き直った。

「こぉんなにいい天気なのに羊皮紙とインクがお友達だなんて、最近の若者は駄目ですネェ」

もう構う気がないのか、がりがりがりがり
羊皮紙を引っ掻き続けるギルバートの背後に音もなく近付いて、耳元にふぅと息を吹き掛けてやる。大袈裟に跳ねる肩に今度は爆笑しながら、後ろから手を回して抱き締めた。

「ねぇギルバートくん、外にいきましょうヨ」

ギルバートの首筋に鼻先を埋めて、うにうにと猫のように甘えてみる。その仕草から猫を関連付けて想像していないのか止めはしてこないものの、先より大きな溜め息を一つ溢して愛用の万年筆をかたりと置いた。

「だから、オレには仕事があるんだよ」
「だから、少しだけ、ネ?」
「だから、そういう問題じゃなくて」
「お仕事の効率を上げるためのお昼寝ですよ、悪くないでしょう?」

そう言えば、反論の余地を見出だせないのか、はたまた合理的な睡眠時間の確保に惹かれるのか、黙り混んでしまったギルバートを内心だけで笑いつつ、ぐいと右腕を引いた。

「お日様がお待ちかねですから、早く行きまショ!」
「まったく…」


君と二人、日向ぼっこ
(文句を言いつつ一緒に居てくれる)
(そんな君を好きになった)



火染 吟音様へ相互記念です。相互してから随分経ってからリクエストし合いました…リアルでも仲良くさせていただいているので、その辺りぼんやりしておりました(笑)
ギルブレで日向ぼっこ、如何でしたでしょうか。吟音様のみお持ち帰りやら返品やら受け付けてます。
改めまして、相互有り難う御座いました!

20111119








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