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2011/07/03 03:25

RB同棲パロ



「アレ?」

何となく空腹感を覚えて冷蔵庫を開けてみれば、何時買ったのやら全く記憶になかったが兎に角食パンを発見した金曜日の20時。
ビニールの袋に“5”と書かれたシールがでかでかと貼ってあって、どうやら五枚切りだったらしいが一枚しか残っていないので別にそれはいい。何枚に切ろうと腹に入れば同じ事だ。
それより問題なのは食パンの色で、何やら青紫のものが食パンの白を塗りつぶしている。

「ブルーベリージャム……いや、レーズンパン?」

見てくれはブルーベリージャムをたっぷり塗った食パンだが、ジャムを塗ったまま袋に戻す物好きなどそうそういないだろう。かと言ってレーズンパンにしてはやたらに色が鮮やかであるし、生地にレーズンを混ぜて焼き上げたというよりも食パンにレーズンを盛ったように見える。

「ふーむ……他に食べるものないですしネェ……」

冷蔵庫がピーピーと文句を言い始めたがそれは無視して、食パンの袋を摘み上げながら考える。この青紫がブルーベリージャムだろうとレーズンだろうと今食べたいのはイチゴジャムなので刮ぎ落とせば何とかなる、気がする。

「バターナイフで刮いじゃえばズルッと落ちますよネ、多分」

20時12分、そう予想を立てて、文句を言うことを既に放棄していた冷蔵庫を閉めた丁度その時、

「ザークシーズ、今帰った」

と、美味しそうな匂いを漂わせる可愛らしい小さな箱と鞄を持ったレイムが帰ってきた。ワイシャツがほんのり汗の匂いも漂わせている。

「お帰りなさい、レイムさん。それなんです、ケーキ?」
「分かっているくせに聞くんじゃないバカザクス。…それより、お前の持ってるそれはなんだ」

ネクタイをぐいと緩めてソファに腰を下ろしたレイムに冷たい麦茶を出しながら、ブルーベリージャムパンまたはレーズンパンですヨ、とにこやかに見せてみる。

「…お前、これは」
「ハイ?」
「………カビじゃないのか」


冷蔵庫過信に注意!
(どう見たってカビだろうが!)
(エ、冷蔵庫に入ってたのニ………!!)



20110703









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