狭い門からあふれる様にたくさんの人が出てくる 全員が同じ服を着ているのはここが学校だから
面倒でかったるい授業が終わって学校からやっと解放された生徒達 楽しそうに寄り道の相談をする者(これが大多数)、急いでバイトに向かう者、早々に帰宅の途へつく者など様々だ
その若々しい姿を門から少し離れた場所から恭は眺めていた
20分ほど経つ頃にはあふれ出る生徒はだいぶ減り、先程までの騒々しさもなくゆったりとしている その頃になって漸く恭の待ち人が門から出てきた
「………さて、ここに俺がいると李玖は気付くかな」
もし気付かずに通り過ぎてったらお仕置きしてやる ………………何しようか
恭が脳内妄想パーティーしてたら妙な気配を感じたのか、李玖が恭に気付く
「………あ」
李玖が気付いたことに恭も気付く 案外早くに気付かれたのが少し悔しい
「……え、恭さん…何でここに…」
「李玖を待ち伏せしてた」
一歩間違えると変質者扱いされそうだから今度からやめて …………………なんて口が裂けても言わない
下校のピーク過ぎてるから人は少ないのに視線が痛いという時点で既に手遅れかもしれないけど俺は言わない
そんなことを言ったが最後 俺は今夜眠らせてもらえなくなり、明日腰の鈍痛で苦しむことになるだろうから
「て事で行こうか」
「どこに」
「ついて来れば分かる」
「あ、ちょっと!」
腕を掴み、はてなだらけの李玖を恭は自分の車まで引き摺って行き助手席へ放り込む
すかさず文句を言おうとするが、聞く耳持たずな恭の様子に諦めた ………………もっとも文句をいったところで何の効果も無いが
取り敢えず恭の楽しそうな雰囲気からしてひどい目に遭う訳じゃ無さそうだ
これで邪な気配を感じれば、とっくに李玖は全力で逃げさせてもらってる ……………多分逃げ切れないけど
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