「響きません。貴方の歌は私の心に。
確かに凄いとは感じました。
だけど一緒に歌いたい、笑いたいって思える曲ではない」


土方さんの歌にはあってジュニアにはないもの。
それは"相手への想い"だ。

超魂団の皆が同じ思いで歌っているわけではない。
だけど、伝えたい事や願いは同じ。


「私がギターを弾いたのは土方さんの頼みだったからだけじゃない。
彼らの思いを届ける手伝いをしたいと思ったから。
伝えようとすることに努力もしない貴方よりも、いつも上を目指して鍛錬し続ける彼がいい」


どの新選組ファンよりも長い間近くで土方さん達の歌を聴いてきた。
天歌に迷いを抱いていた時も、彼がロックを奏でると決めた時もいつも側でギターを弾いてきた。

彼は自分自身を、新選組を誇りに思っているが、それを周りに威張ったり慢心する事は一度もない。

近藤さんの意志を引き継ぎ、護るために歌う。

そんな彼に惹かれた。


「例え、日本中を虜にしても私は土方さんが好き。貴方のものにはならない。

今に見てなさい。
超魂団の皆がすぐにファンを取り返します。
首を洗って待ってなさい!」


今度はこちらからジュニアに宣戦布告をした。
沖田さんは面白いものを見るような目で私のやり取りを見ていて、桂さんと高杉さんは驚いた表情で見ている。

すると誰よりも早く


「詩姫やんの言う通りぜよ。
わしらは世界を手に入れるために歌っとるんじゃない‥
皆を笑顔にするために歌うんぜよ!」

「俺達はまだ負けてない。
この歌声を聴いて微笑んでくれるファンがいる限り」


土方さんと龍馬くんが加勢してくれた。
ジュニアはそんな彼らを鼻で笑い、私を指差す。


「オレのロックを聴いてトリコにならなかったレディは初めてだ‥
次のライブでユーを手に入れる。
それまで待ってな、マイハニー」


そのジュニアの目は今まで見てきた中で一番本気の目をしていた。
優雅に振り向き、ステージ袖へと多くの歓声を浴びながら戻っていった。


[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
[TOP]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -