壱
この牢屋で目が覚めるのも何度目のことだろう。
監禁状態の私は何をすることもできず一日中、竹中が考えているであろう戦について考えていた。
(私の頭と戦力を求めているのは間こ違えない。
だけど何故、竹中は先を急ごうとするの‥?)
ゆっくり確実に天下統一を目指すならもっと違う手段があるはずだ。
それに今の竹中は何かに追われているようにも感じる‥
「考え事かい、雨宮くん」
牢屋の扉が開き、竹中が入ってくる。
相変わらずこちらに笑みを向けてくる彼を睨みつけ顔を背ける。
「さて、今日こそ君にいい返事をしてもらいたいんだけどね」
「私は元親以外に忠誠を誓うつもりはないし刀を振るうつもりはない。‥これが答えよ」
すると竹中は目を細め、こちらを睨んだ。
「‥それなら嫌でも協力してもらうよ」
"入ってくれ"と外に声をかけると
「貴方は‥!」
「やぁ鬼の姫。久しぶり‥とでも言っておこうか」
入ってきた男は松永久秀。
長曾我部軍は彼に大きな借りがある。
それにこの男が現れる時は奪いたいものがある証拠。
「何故、ここに貴方が?」
「彼は豊臣の一員さ。そして今日から君の主になる」
そう言うと竹中は薄紅色の液体が入ったガラス瓶を取り出した。
それを軽く振りながら妖しく笑う。
「この薬で君も‥
豊臣に仕える一員になるんだよ」