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煙草の煙に包まれて  



背伸びをして吸ったマルボロの赤。肺に回る煙に頭がくらくらして、今では全てが曖昧だ。

一本ちょうだいと言ってあなたにもらった12mg。火をつけてもらうなんて初めてで、煙草を持つ指が震えた。

あなたの吸う煙草が嫌いだった。何もかも、思い出さえも苦く染め上げた。吸っている時の後ろ姿だけが唯一の甘い思い出。

煙草が嫌いなあなただったから頑張って禁煙したの。久しぶりに吸った煙は何も満たしてはくれない。

煙草の煙に包まれてあなたを思い出す。あなたが煙草を吸う時に私を思い出してくれたらと願いつつ。



漂う煙は空気に混じって消えていく。





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