「ユウジ。」

「何や。」

「好き。」

「…は?」

「何、その間は。」

「いや、今自分何て云うた…?」

「だから、好k「だあああぁぁぁあああ!!?」


ユウジはそう叫ぶと私の言葉を遮った。


「ちょ、ちょお来い!」


そして私はユウジに連れられ教室から出た。

人気の無い所で、やっと歩くのを止めたユウジ。

向こうを向いていた体を此方に向け、真剣な顔で私を凝視したかと思うと急に赤くなり、繋がっていた手をパッと離した。

行き場を失ったユウジの左手は、少し宙をさ迷い、そのままズボンのポケットに押し込まれた。

少し間が空く。

…気まずいなぁ。

そう思い、私が何か云おうと口を開こうとした時。


「…さっき。」


と、蚊の様な声でユウジは呟いた。


「何?」

「…な、何でさっき、あ…あないな事云うたんや…っ。」

「あないな事?」

「せやから、教室で俺に云うた……!す、すすすすすすす……きて、」


ユウジはそう云い終わると顔を反らした。

風が髪を靡かせて、ユウジの髪から覗く耳は、先まで真っ赤だ。

そんなユウジを見てかは分からないが、私の心臓は少し早く打ち始めて、其れをユウジに悟られ無い様、平常心を演じながら話す。


「あ、あぁ。アレはー…。何て云うか、ウン…。」


どう表現しようか、必死に言葉を探す。


「何か普通に出ちゃったー…何て…。」


気まずい。

流石にこの理由は無かったか…私の心臓はさっきよりも遥かに早く鳴っている。

何とかこの場を乗り切ろうと何か話しだそうとすると
急にユウジに手を捕まれ、驚いて顔を見ればそれはもう真っ赤で。


「…れ…や、」

そう、途切れ途切れだがユウジが云った。


「俺、も好きや…っ!」

「なっ!」


今度は私の方が赤くなる。

頬が熱い、此れは真っ赤になってる気がする。

そんな私を見てユウジは


「さっきの仕返しや。」


と、少し照れながら笑った。


2011/04/07
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