どうも俺は、彼奴絡みやと強気らしい。

今日も、俺は控えめにあの子を見る、話し掛けても良えけど、何話せば良えかも分からんし、第一あの子と俺の接点なんか一つもあらへんし、いきなり話し掛けても迷惑になるんが落ちや。

俺は机に肘をついてぼーっとあの子を見ていたら、背後から肩をぽんっと叩かれる。

今、あの子の事見てんねん、誰や。

俺がだるそうに振り返ると、其処には白石がおった、俺は少しだけ驚いたが、直ぐ何時もの顔に戻した。(何時もの顔なんか分からへんけど)


「何や、謙也。最近ぼーっとし過ぎやで。何か有ったんか?」

「いや、別に何でもないで。」


白石の問い掛けに曖昧に返すと、白石はニヤッと笑った。

何や何時も思うんやけど、白石って何でこうも何もかも見透かした様な顔するんやろ、俺、顔に出やすいんか?

俺が考えていると、白石はまた俺の肩をぽんっと叩いた、まだニヤニヤしとる、何やムカつくわ。

俺が、何ニヤニヤしてんねん、と云うとと白石は口を開く。


「謙也、自分好きな子でも出来たんやろ。」

「んなっ!?」


俺がかなり動揺していると白石はケラケラ笑いながら、図星やな、と云った。

やっぱり白石には敵わんな、とか気持ち悪いことを考えつつ熱い頬を擦った。

白石はそんな俺を無視して、こそっと「誰なん?」と聞いてきた。

阿呆、誰が其処まで話すかい、それでもなしに、好きな奴がおるっちゅー弱味握られとんのに、第一、相手が相手なんや白石に云える訳無いやろ。

俺は白石を少しばかり睨み付けた、しかし白石は睨み付けた事なんか気にしぃへんと、ウザったい位眩しい笑顔で聞いてくる。

ホンマ、イケメンやからって何でも許される思たら大間違いやぞ、俺は態とそっぽ向いたった。

何や、今白石の事見たないわ、ちゅーか白石よりあの子ん事見とった方がずっと有意義や。

そう考えた俺は白石に、関係無いやろ、と云って黙った、すると白石はフッと鼻で笑いながら話した。


「差し詰、名前っちゅー所か。」

「ぶーっ!!」


俺はぐるんっと白石の方に向き、口を阿呆みたいに開けた。

何、で、何で、バレてんねん。

俺は何か喋ろうとしたが、声にならず只口を鯉みたいにパクパクさせとった、俺が何も云わへん事を良い事に、白石は一人で喋り始めた。


「まぁ、謙也見とったら誰でも分かるわ。」

「や、やっぱり、俺、顔に出てるんか!?」

「いや、出てるっちゃー出てるけど。大部分は違うんや。」

「な、何や?」

「謙也、暇有ったら直ぐ名前ん事目で追ってるで。」


白石には最初から完全にバレとったみたいやった、動揺を隠せない俺は、何か云おうとしたが何故か言葉が出て来なかったが、何とか奥の方から絞り出し声を発した。


「う、そ、」

「やないで。」


俺がしどろもどろに言葉を紡ぐと、すかさず白石が否定の言葉を云う。

確かに、名前の事見てたんは認める、せやけど、そんなに見てたんか、俺、全然そんな気ぃ無かったんやけどな…。

俺が一人考え込んでいると白石はまた話始めた。


「ま、見るんは人の自由や。そんなん当たり前やんな。」

「何や、白石…。」


俺は意味深な白石の言葉を不審に思い、問い掛けた、すると白石は妖しく笑ってこう云った。


「名前は俺のや。手え出したら、幾ら謙也やゆうても、容赦はせえへんで?」


ホレ、見てみい、せやから嫌やったんや、白石に話すんは…嫌な宣戦布告やし、ホンマ。

せやけど、やっぱり俺も名前の事好きやねん、やから、此方も譲る気は有らへん、真っ向勝負と洒落込もうや、なあ。


2011/05/12
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