「私はそうだなー…真面目な人が良いかなー。」
部長等に混ざって話をしとる名前さんの声が耳入った。
真面目な、人…え、俺、当て嵌まらへん、かも、授業もようサボるし、部活は、まぁ、出るっちゃー出るけど、手抜く時もあるし…真面目とは正反対(もしかしたら、そうでもないかも知れへんけど)な人間やん、うわー、もうアカン、完璧対象になってへんやん、アウトオブ眼中やん…いや、まだ直せる、俺、やれば出来るし、後、天才。
「財前君、お疲れ様ー。」
「っ、お、疲れ様、です、」
一人で考え込んどったら、何時の間にか隣に名前さんがおって、口から心臓が出そうになったけど、何とか耐えて返事をする。
はい、と差し出されたタオルを受けとれば、にっこり笑う名前さん、う、眩しい…。
名前さんの笑顔の眩しさに顔をそらすと、名前さんが話し掛けてきた。
「今日も暑いねー。財前君、ちゃんと水分補給出来てる?」
「あー、まぁ。」
「財前君は頑張り屋さんだから心配だよ。」
「…ッス、」
何やねん、この人、愛しい、鼻血出そう。
俺が鼻を押さえながらきょどきょどしとると、名前さんは不思議そうに見てきたけど、部長に呼ばれて慌てて俺から視線を外して返事をしていた。
「呼ばれてしまった…。」
「名前さんも大変っスね。」
「まぁ、ね。でも、頑張ってる皆を私なんかが支えられるって思えば全然平気なの。」
にか、と太陽にも負けない程の笑顔で答える名前さんに見惚れていれば、特にね、と言葉が続けられる。
「財前君が一生懸命になって頑張ってる姿を見るのが、一番好きなんだ。」
…え、それは、どういう。
何て俺が聞くよりも先に、軽く手を振って向こうに駆けていく名前さん。
え、え、何なん、あれ、俺、期待しても良えんか、ホンマにするで、おい。
兎に角、どんどん上がる熱を冷ますために、ぱたぱたと手で頬を冷ました。
(絶対名前さんに見合う男になったる)
(何か、私、勢いでとんでもない事を財前君に云ってしまった気がする)
2013/09/09