君の手を握りたいのです。


向日君の場合


「名前ー!」
「ん、岳人じゃん。何かあったの?」
「別に何もねぇけど。」
「ふーん。」
「っつーのは嘘。今日、跡部ん家で皆で夕飯食べに行くんだけどよ、名前も一緒に行こうぜ!」
「え、何で?」
「何だよ、嫌なのか?」
「うーん…嫌じゃないけど、私が行って良いのかな…。」
「良いに決まってんだろ。跡部だって名前の一人増えた位でどうこう云いやしねぇよ。」
「そう?」
「そうそう。」
「それなら、私も行こうかな。」
「よしっ!じゃ、行くかー!スイーツスイーツっ!」
「岳人、そんな引っ張らないでよ、ちゃんと着いてってるから。」
「遅いぞ!スイーツが逃げちまうだろ!」
「逃げないけど…!」


芥川君の場合


「ジロー、ジロちゃんやーい。」
「…んー…、俺の事呼んだ〜?」
「あ、ジロちゃん発見。」
「どうしたの〜?」
「跡部がね、部活に出ろって怒ってたよ。」
「どれ位?」
「鬼の角が見える位!」
「はははっ!名前ちゃんの鬼の真似、可愛いC〜。」
「ありがとー。って、そうじゃなくて…。ほら、ジロちゃん起きて!」
「まだ眠たいC〜…。」
「二度寝するなー。また跡部に怒られちゃうよ?」
「じゃあ起きるから名前ちゃん手ぇ貸して〜。」
「はいはい。」
「んー…名前ちゃんの手、お日様の匂いがするC〜。」
「そう?」
「うん、俺の好きな匂いー…。」
「寝るなー!」


鳳君の場合


「名前先輩、今日も寒いですね!」
「うん。でも長太郎は全然寒くなさそう。」
「そうでもないですよ?」
「そうなんだー。」
「…。」
「…。」
「…あ、あのっ!」
「何?」
「や、あの…名前先輩、寒くないですか!?」
「いや、さっき寒いって云ったじゃん。」
「…そ、ですよね…。」
「…。」
「…。」
「…手が、寒いかな。」
「へ?」
「手が寒いかなって云ってるの。」
「あ、の…、」
「何?」
「手、握っても良いですか…?」
「ちゃんと暖めてね。」
「はいっ!」
「痛たた!力強いよっ!」
「ご、ごめんなさい…!」


宍戸君の場合


「宍戸っ、」
「名前遅いぞ、激ダサだぜ。」
「うっさいわ!足の長さが違うんだから私の歩く速度に合わせやがれコノヤロー!」
「そ、そうか。そりゃ悪かった。」
「や、別に本当に謝られても困るっていうか…。」
「それならつべこべ云わずに歩けば良いじゃねぇか。」
「宍戸は乙女心の『お』の字もないのか!」
「は?」
「普通の女子だったら男には自分の歩幅に合わせて欲しいって思ってるモンなの!」
「名前は普通じゃねぇだろ?」
「〜っ!宍戸、最低っ!」
「冗談に決まってんじゃねぇか!そんな怒んなよ!」
「知らん。宍戸なんかもう知らん。」
「おい…。」
「…………。」
「…おら、行くぞ!」
「ちょ、手握んなっ!てか、ちゃっかり恋人繋ぎだし。宍戸、顔真っ赤だし。」
「うるせぇ!こうでもしねぇと云う事聞かねぇだろ。」
「(普通に握るだけで良いじゃん。)」


忍足君の場合


「名前、ちょお此方来てえな。」
「…。」
「そないに警戒せんでも良えやんか。」
「何にもしない?」
「おん、何にもせんから。ほら、おいで。」
「ん、」
「手ぇ出してくれへんか?」
「手?」
「せや。良え子やな…。」
「侑士の手大きい。」
「まぁ、一応男やからな。名前の手は細くて綺麗やで。」
「そうでもないよ。結構荒れてるし。」
「それも引っ括めて綺麗や。」
「ば、か…じゃないの…!」
「照れとる名前も格別に可愛えなぁ…。」
「うっさい!離せ変態関西人っ!」
「嫌や。」
「何にもしないって云ったじゃん…!」
「そうやったっけ?」
「しらばっくれんなっ。」
「相変わらず名前は面白い反応するなぁ。病み付きになりそうやわ…。」
「ぎゃあああっ!腰撫でんなああっ!跡部助けてえええ!!」
「アカン、何や興奮してきてもうた。」
「うわああああ!!」


日吉君の場合


「名前、早くしないと置いていくぞ。」
「わか、待って…!」
「全く…。名前は準備に何分掛ける気だ?」
「1時間は欲しいな。」
「なら、何で早く起きて支度をしないんだよ。」
「だって眠たいんだもん。」
「眠いんだもんじゃねぇ。あのな、相手を待たせないのはマナーの基本中の基本だぞ。」
「でも、わかは待ってくれてるじゃん。」
「あんた、俺以外にも人を待たせてるんじゃないよな?」
「…そんな事ないよ。」
「そういう嘘は俺の目を見て云え。」
「…。」
「…まぁ良い。ほら、行くぞ。」
「うん。わかの手大きいし暖かくて好きー。」
「ふーん。」
「あ、勿論手だけじゃなくてわかの全部好きだよ!」
「…勝手に云ってろ。」
「勝手に云ってるっ。」


跡部君の場合


「景吾ー。」
「何だ?」
「寒い、暖めて!」
「返事する前に抱き着いてんじゃねぇよ。」
「駄目だった?」
「そうは云ってねぇだろ。」
「じゃあ景吾もぎゅってしてよ。」
「…お前はよくそんな事を恥ずかし気もなく云えるな。」
「だって、好きな相手に云ってんだから恥ずかしい訳ないじゃん。」
「お前のそういう所はそれなりに尊敬するぜ。」
「跡部も変わんないと思うけど。人前でキスしてきたり肩抱いたり、結構見せ付けたがるよね。」


「当たり前だろ。名前は俺のモンだ。俺のモンに何しようと関係ねぇ。」
「じゃあ景吾は誰のモノ?」
「名前が俺のモンなら俺は名前のだ。」
「そういうの一回云わせたかったんだよね。」
「相変わらず変な奴だぜ。」
「でも、景吾はその変な奴が好きなんだよ?」
「お互いに物好きだな。」
「景吾程じゃないけど。」
「俺も名前も程じゃねぇ。」
「…やっぱりお互い変だね。」
「そうだな。名前みたいな可笑しな奴は俺様以外面倒見切れねぇだろうよ。」
「景吾みたいな俺様ナルシも私以外は皆疲れちゃうよ。」
「なら俺の側から離れるんじゃねぇぞ。これから先ずっとだ。まぁ、離す気なんて最初から無いけどな。」
「知ってる。離さないでね?」
「当たり前だ。」


2012/01/31
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