04
カレンは新品のローブに着替え、みんなと一緒に汽車を降りた。

「イッチ年生!イッチ年生はこっちだぞ!」

モジャモジャの髪と髭の大男が、ランプを片手に一年生を呼んでいた。

「すっげぇ…」
「お、大きい…」

ロンとカレンは大男を見上げてそれぞれ感想を述べた。

「ハグリッド。僕の友達だよ」

ハリーが二人にそう言った。
一年生はハグリッドに続いて湖まで降り、小舟に乗ってホグワーツを目指した。たくさんの明かりで照らされたホグワーツ城はとても美しかった。

「綺麗…!」
「素敵ね」

小舟を降りた一年生は、城の階段を上がっていった。階段の上には一人の魔女が立っていた。

「ホグワーツ入学おめでとう。まもなく新入生の歓迎会が始まります。大広間に入ったらすぐに組分けの儀式が行われます」

組分け、か…
たしか私の家系は代々グリフィンドールだった、ってお母さんが言ってたっけ。それに、悪の道に堕ちた魔法使いたちは皆スリザリンだったとも。

「さあ、行きますよ」

一年生はマクゴナガル先生に続いて大広間に入っていった。
大広間はとても広く、何千ものろうそくが宙に浮いて4つの長テーブルを照らしている。天井は、魔法で本物の空のように見せている。上座にもテーブルがあり、教師陣が座っていた。そのテーブルの前に椅子が置いてあり、ぼろぼろでつぎはぎだらけのとんがり帽子が乗っていた。組分け帽子だ。

「名前を呼ばれたら、この椅子に座って帽子をかぶってください。帽子が寮を決めてくれます」

マクゴナガル先生が名前を呼び、呼ばれた生徒は順番に寮を決められていった。ハーマイオニー、ハリー、ロンはグリフィンドールに、ドラコはスリザリンになった。
ブレーズ・ザビニがスリザリンに決まり、カレンの番が来た。一番最後だった。カレンは緊張しながらも椅子に座り、帽子をかぶった。

「(ああ…ルーチェ家の子だね。君の入る寮はもう決まってるよ)」

頭の中で組分け帽子の声がした。

「(寮が決まってる!?ど、どうしよう!スリザリンだったら…私…!)」
「(安心したまえ、君の入る寮は…)」

そこで帽子は一旦言葉を切り、そして大きく叫んだ。

「グリフィンドール!!!」

グリフィンドールのテーブルから大歓声が上がった。カレンもにっこり笑顔になって、グリフィンドールのテーブルへ小走りで駆け寄った。

「やったわ!カレンと同じだわ!」

ハーマイオニーが飛び付いてきた。後ろにはハリーとロンも見えた。

「やっぱりカレンと僕は赤い糸で繋がってるんだね!」
「センス0の冗談ね、ハリー」

笑顔で対峙するハリーとハーマイオニーをスルーして、一人の生徒が手を差し出した。

「僕はパーシー。監督生だよ、よろしく」

パーシーは赤毛で、すぐにウィーズリー家なのだとわかった。ロンのお兄さんだ。

「おいおいパース、ナンパか?」
「この子はパースにゃもったいないぜ」

両側から同じ顔がひょっこりと現れた。この双子も赤毛だった。

「驚いたぜ…まさかあのロニー坊やにこんな可愛い友達がいたなんてな」
「俺たちはロンの兄貴でパースの弟の、フレッド・ウィーズリーと…」
「ジョージ・ウィーズリーだ。よろしくな!」

そう言って双子は左右からカレンの頬に軽くキスをした。

「!!」
「よ、よろしくね」

それを見たハリーとハーマイオニーは固まり、カレンはちょっと頬を染めた。
そのときダンブルドア校長先生が立ち上がったので、大広間は静かになった。豊かな銀色の髪と髭を輝かせて、ダンブルドアは口を開いた。

「新入生の諸君、ホグワーツ入学おめでとう!歓迎会を始める前に二言、三言、言わせていただきたい。ではいきますぞ。
そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!」

そしてダンブルドアは席についた。

「………変わった人ね」
「面白い先生だねー」

ハーマイオニーとカレンが同時に言って、同時に笑った。
目の前の皿がたくさんの料理で溢れた。どの料理もとても美味しかった。
カレンはふと視線を感じて、周りを見回した。カレンの目が教職員テーブルの方に向いたとき、カレンは一人の教師と目が合った。黒くねっとりとした髪、土気色の肌、大きな鉤鼻…その男はただじっとカレンを見つめていた。

「(なんだろう…?)」

その生はしばらくカレンを見つめていたが、やがて目をそらして、隣のターバンを巻いた先生と話し始めた。しかし、カレンはその先生のことを見つめ続けた。

なんだろう…よくわからないけど、

「(あの人の、目)」

とても哀しい目をしていた…

カレンはしばらくその先生を見ていたが、先生が二度とこちらを見ることはなかった。
デザートも終わり、再びダンブルドアが立ち上がった。しかしカレンは、今朝早起きしたことと満腹感によって睡魔と格闘していた。

「(うー…眠い……)」

ダンブルドアの言葉も右から左で、いきなり大広間が騒がしくなったのには驚いた。

「あれっ…終わり?」
「カレン、半分寝てたでしょ?ほら、行くわよ」

ハーマイオニーが呆れたように笑った。
グリフィンドール生は、パーシーの後に続いて大広間を出て廊下を歩いていった。ピンクのドレスを着た婦人の肖像画の前に立つと、パーシーが言った。

「カプート ドラコニス」

合言葉が無いと寮には入れない。グリフィンドールの談話室は全体的に暖かい雰囲気だった。寝室は階段を上がった先にあった。カレンはハーマイオニー、パーバティ、ラベンダーと同室だ。
カレンはパジャマに着替えてベッドにもぐった。

「(ふかふか…)」

今日から、ここが私のもう1つの家だ…
そのまま眠気に身を任せ、カレンは眠りについた。

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -