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「なんだ、なんだ?何事だ?」

フィルチ、ダンブルドア、そして数人の先生がやって来た。先生たちは壁の文字を見て深刻な表情をし、フィルチは愛猫の哀れな姿を見て嘆いた。

「わたしの猫が!ミセス・ノリスが!」

ダンブルドアは猫を調べ、マクゴナガル先生は生徒を追い立てて寮に帰らせた。カレン、ハリー、ロン、ハーマイオニーは残るよう命じられたのでその場にじっとしていた。

「(今年のハロウィーンも無事に終わりそうにないなぁ…)」

カレンは心の中で呟いた。

「アーガス、猫は死んでおらんよ」
「死んでない?それじゃあ…」
「石になっただけじゃ。しかし何故石になったのかはわからぬ」
「あいつだ!あいつがやったんだ!」

フィルチはハリーを指差して怒った。

「二年生がこんなことをできるはずがない」

ダンブルドアはきっぱりと言った。

「校長、一言よろしいですかな」

スネイプが進み出た。その目が意地悪くギラリと光った。

「ポッターも友人も、運悪くこの場に居合わせただけかもしれませんな。とはいえ一連の疑わしい状況が存在する。だいたい我輩は、パーティーの席でポッターを見なかったが?」
「それは私のせいなんです。ハリーのお茶をしていましてね」

ロックハートがいつものスマイルを浮かべて言った。スネイプの眉がピクリと動いた。

「あの…それで、ロンとハーマイオニーと私とでハリーを探しに行ったんです。そしてハリーを見つけて……」

カレンはちらりとハリーを見た。ハリーにしか聞こえない声を追いかけていた、なんて言えるはずがない。

「それで、お腹がすいていなかったので談話室に戻ろうとしたんです」

ハリーが続きを言った。納得していないようだが、スネイプは口を閉じた。

「あの…猫は元に戻せるんですか?」
「もちろんじゃ。スプラウト先生がマンドレイクを手に入れたのでな、成長したら薬が作れる。それでは四人とも、帰ってよろしい」

四人はできるだけ急いで談話室に戻った。

「あの声のこと、言った方が良かったと思う?」
「いや。誰にも聞こえない声が聞こえるのは、魔法界でも狂気の始まりだって思われてる」
「でもハリーは…」
「僕だって、ハリーが気が狂ってるとは思わないよ」

時計が真夜中の0時を示す鐘を鳴らし、四人は急いで寝室に入った。

***

それから数日はミセス・ノリスの話題で持ちきりだった。ジニーはこの事件に大きなショックを受けているようだった。そして「ホグワーツの歴史」が全て貸し出される、という前代未聞の事態が起こった。

「きっとみんな『秘密の部屋』について調べてるんだわ」
「『秘密の部屋』って何なの?」
「まさにそれなのよ。『ホグワーツの歴史』には何も書いてないし、他のどの本にも載ってないの」

四人は「変身術」の教室にいた。授業が始まって間もなく、唐突にハーマイオニーが手を上げた。

「先生、教えていただきたいんです。『秘密の部屋』について」

クラス中が息を潜めた。マクゴナガル先生はその空気を感じて、咳払いをすると話し始めた。

「………仕方ありませんね。
皆さんも知っての通り、ホグワーツは1000年以上前に四人の魔法使いと魔女によって創設されました」

ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリンの四人だ。四人は魔力を持った若者をこの城へ誘い、教育をしたという。

「しかし、やがてスリザリンと他の三人との間に亀裂ができました。スリザリンは、魔法教育は純粋に魔法族の家系のみに与えるべきだと考えたのです。
この問題を巡ってグリフィンドールとスリザリンは争い、そしてスリザリンは学校を去りました」

グリフィンドールとスリザリンの仲が悪いのは昔からだったのか…

「スリザリンは学校を去るとき、この城のどこかに隠された部屋を作ったと言われています。それが『秘密の部屋』です。
伝説によれば、スリザリンは『秘密の部屋』を封印し、この学校に彼の継承者が現れたとき再び『部屋』が開かれるようにしたと言います。そして継承者はその中にある恐怖を解き放ち、学校にふさわしからぬ者を追放するのだと…」
「その恐怖とは何ですか?」
「なんらかの怪物だと信じられており、スリザリンの継承者のみが操ることができるそうです」

沈黙が流れた。先生は授業を再開したが、カレンは聞いていなかった。

「秘密の部屋」はどこにあるのか?
そもそも、本当にあるのか?
怪物とは一体何なのか?

そして、スリザリンの継承者は誰なのか?

***

その夜、四人は談話室の隅で宿題を片付けていた。

「だけど何者かしら?スクイブやマグル出身者を追い出したいって思ってるのは誰?」
「それでは考えてみましょう」

ロンがわざとらしく言った。

「我々の知っている人の中で、マグル生まれはクズだと思っているのは誰でしょう?」
「それってドラコのこと?」
「モチのロンさ!」
「マルフォイがスリザリンの継承者?」

ハーマイオニーは鼻で笑った。

「でもドラコの家系は全員スリザリンだって言ってたよ」
「可能性はあるよ。マルフォイに聞けたらいいんだけど」
「……私、聞いてみよっか?」
「直接聞くのはまずいわ。他に良い方法がないか探してみましょう」

ドラコに話を聞いて、何かがわかるといいな…

ふと、カレンはドラコに会う理由ができたことを嬉しく思っている自分に気が付いた。

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