05
「着いた!!海軍基地の町っ!!」

シャオリー、ルフィ、コビーの3人は、目的地である海軍基地のある町、シェルズタウンに到着した。

「今回は漂流しなくてよかったね」
「コビー、お前すげェな」
「当たり前ですよ!航海術を身に付けるか、航海士を仲間にしないと…」
「そのゾロって人が仲間なれば大丈夫だよ」
「まだそんなこと…!」

3人は、海軍基地の正門前までやって来た。近くで見ると、大きくて立派な建物だ。

「行かないの?コビー」
「ま、まだ…その、心の準備が…!」

ルフィが塀に飛び乗って、中を覗いた。

「魔獣はどこかなァ」
「見えるところには居ませんよ。きっと奥の独房とか…」
「いや!向こうに居るぞ!ゾロって奴かも」

ルフィが走り出したのでシャオリーとコビーも後に続き、3人で塀の向こうを覗いた。

「あの人?」
「ほ…本物だ…本物のロロノア・ゾロです!!」

黒い手拭いを頭に巻き、緑の腹巻きが特徴的な青年だ。年も、シャオリーやルフィとそんなに変わらないようだ。
彼は磔にされている。両腕と腹を縄で縛ってあるだけ。

「あの縄ほどけば、簡単に逃がせるよな」
「ば、ばかな事言わないで下さいよ!あんな奴逃がしたら、みんな殺されますよ!!」
「大丈夫だよ、ルフィは強いからねー」
「おうっ!」
「(こ、この人たちは〜〜〜!!)」

そのとき、コビーの横に梯子がかけられて、一人の少女が現れた。

「しーっ」
「?」

シャオリーたちに向かって、口に人差し指を当てて静かにするよう示すと、少女は磔場の中へと入っていった。

「あ…!危ないよ!!お二人とも止めて下さいよっ。あの子、殺されちゃいますよ!」
「自分でやれよ」
「あの子、何か持ってる…」

少女はゾロの前まで行くと、持っていた包みを開けた。丸いおにぎりが2つ、並んでいる。

「私、おにぎり作ってきたの!お兄ちゃん、ずっとこのままでお腹空いてるでしょ?」
「ハラなんか減っちゃいねェ。そいつ持ってとっとと帰れ!」
「でも…」
「ロロノア・ゾロォ!イジメはいかんねェ。親父にゆうぞ」

磔場の門が開き、いかにも金持ち風の男が入ってきた。

「あれはきっと海軍の偉い人ですよ…」
「キノコだ、キノコヘアー」

「おやおや、お嬢ちゃん。差し入れかい?」

キノコ(仮名)は、少女のおにぎりを1つ取って、一口食べた。しかしすぐに、吐き出した。汚い…!

「ぷへェっ、まずぅっ!!砂糖が入ってんぞこりゃ!こんなもん食えるか、ボケッ!!」
「ああっ、やめて!やめてよ!」

少女が叫ぶのも構わずに、キノコ(仮名)はおにぎりを地面に投げつけ、グシャグシャと踏み潰した。おにぎりはグチャグチャに潰れ、泥まみれになってしまった。

「ひ…ひどい…あの子がせっかく作ったのに…!」

「……ひどいよ!わたし…一生懸命つくったのに…!!」

少女は涙をたくさん貯めて、俯いてしまった。

「っ、ちょっと!そこのキノコ!」
「誰がキノコだァ!ヘルメッポ様と呼べ!あとこの髪型はお洒落だー!!」

シャオリーが怒ると、まるでツッコミのように返事が返ってきた。まるで、普段から言われ慣れているかのように…

「……なんか、ごめん。ヘルメット様?」
「ポだ!謝られたのがなんかムカつく…!
おい、このガキ、塀の外へ投げ捨てろ!」

キノコ、もといヘルメッポがお付きの海兵に命じた。海兵は、こんなことしたくないのに、といった表情で少女を放る。

「いやあああ!」
「わっ」

飛んできた少女をシャオリーが受け止め、そのシャオリーをルフィが抱き止めた。

「ルフィありがとう。大丈夫?」

少女はまだ涙で目を濡らしている。

「家まで送ってあげましょうか」
「そうだね。……ルフィ?」

ヘルメッポが立ち去り、ルフィは磔場の中へと入っていった。

***

「ほんと!?」
「ああ!1つ残らずバリバリ食ってたよ」
「嬉しいっ」

少女リカを家まで送ると、ルフィがやって来て、一部始終を話してくれた。
踏み潰されて泥まみれになったおにぎりを、ゾロが全部食べたのだそうだ。「うまかった。ごちそうさまでした」という伝言付きで。

「やっぱりいい人なんだねー、ゾロって」

最初にリカを帰らせようとしたのも、リカを守るためだとシャオリーはわかっていた。

「1ヶ月あのまま生きてれば…か。私だったら無理。絶対死んじゃう」
「おれも無理だなァ。メシ食えねェのは無理だ」

「ひえっひえっひえ!頭が高ェっつってんだろ」

先ほど聞いた声がまた耳に入ってきた。ヘルメッポ様のお通りだ。

「三日後、ゾロの奴を公開処刑にする。見せしめだ、楽しみに待ってろ!」
「三日後!?」
「1ヶ月の約束はどうしたんだ!」

ヘルメッポの行く手に立ち、ルフィが問う。

「そんな約束、ギャグに決まってんだろ!ひえっひえっ」

ヘルメッポは小馬鹿にしたように笑って答えた。

「それを本気にする奴もバカだけどな」
「ッ、」
「!!!」
「キャーーーっ!!」

殴った。
ヘルメッポの胸ぐらを掴み、ルフィはその拳でヘルメッポを殴り飛ばした。

「ルフィさんっ!やめてくださいっ。海軍を敵に回す気ですか!?」

コビーが慌ててルフィの腕を押さえる。

「海軍は元々敵だよ。ルフィも私も海賊だもん」
「あ…そうでした」
「決めたぞ、シャオリー!コビー!おれはゾロを仲間にする!!」

ルフィは、一度決めたことは絶対に変えない。

「やったー!ゾロが仲間になったー!」
「喜んでる場合じゃないですよっ」

殴られたヘルメッポが、目に涙を貯めて叫んだ。

「おれは海軍大佐モーガンの御曹司だぞ!親父に言いつけてやる!!」

お供の海兵に支えられて、ヘルメッポは帰っていった。

「どどど、どうするんですか!ただじゃ済みそうにありませんよ!例の大佐が怒って、下手したら…」
「その時はその時だ。おれ、ゾロに会ってくる」

ルフィはスタスタと磔場へ向かっていった。ゾロを仲間に誘うのだろう。

「シャオリーさんっ早く逃げた方がいいですよ!」
「どうして?」
「どうしてって、海軍が動いたら本当に危ないですよ!?いくらお二人が強くても…」
「大丈夫、大丈夫。だって、ここの海軍おかしいでしょ?恐怖で人を支配するような人なんかに、私は負けないよ」

シャオリーがそう言って笑うと、コビーはハッとした表情を見せた。

「私たちもゾロのところに行こっか」
「はい!」

コビーの目に、もう迷いは無かった。


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