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「…………〜♪」
君が「寂しい」と、一人声を潜めて泣く夜は、その泣き声に俺が音符をつけてあげるよ。
「……♪〜〜……♪〜……」
君の「寂しい」に音符をつけて、一緒に歌を歌おう。
一人ぼっちで背中を丸めて、抱え込んだ膝頭に涙を落とす君の傍。
俺も君の「寂しい」を一緒に歌うんだ。
ほろりと涙が零れそうな夜は、星屑を集めて掌で叩いてみようか。
きっと、煌めきは掌でぱちぱちとぶつかり合って、きらきらな音を奏でてくれるよ。
少し物足りない時には流れ星を掴まえて、効果音のアクセント。
君の「寂しい」をいっそそのまま、星々のオーケストラに変えてしまおう。
だからもう、一人で泣かなくったっていいんだ。
寂しいもいつの間にか「楽しいね」って。
君を取り囲む360度に、俺がきらきら星を輝かせてあげるよ。
「♪〜〜……♪〜……」
君が「会いたい」と心細くなったその時は、鏡を見てウィンクしてごらん。
そんなに可愛い仕草をされたら、居ても立ってもいられなくなって、鏡のこっち側で俺はきっと真っ赤っか。
俺は急いで靴に翼をつけて、空に虹を架けて君の元へ。
窓を開けて、空を見上げた時。
空の青が白く弾けてしまうんじゃないかって、それくらいにお日様を眩しく感じたその時は、それは俺が君に会いに来た証拠だよ。
少しくらい髪のセットが乱れてたとしても、そこは目を瞑ってね。
それだけ、君に早く会いたかったっていう事なんだ。
「♪〜〜……♪……」
君が俺を好きだと思ってくれるその時は、俺はそわそわそわそわ、落ち着かない。
君を抱き締めたくて、
君にキスしたくて、
その向日葵みたいな笑顔に会いたくなって、きっと凄くもどかしい。
だから、
俺は星空を駆けて、君に歌を届けるよ。
星屑を叩いてカスタネット代わりに、流れ星の走る音色をシンバル代わりに。
君に会いたいと願う想いを乗せて、君に愛の歌を歌うんだ。
「んー〜……♪」
抱き締めたくても抱き締められない、笑顔も届かないこの距離をもどかしく思うだろう。
だから、
俺はお日様に姿を変えて、君の元へ。
「ん〜〜……♪〜〜……」
君が「好きだよ」ってウィンクをしてくれたなら、きっときっと、俺は耳まで真っ赤っか。
君の「好き」を受け止めたいから、お気に入りのこの靴に翼を生やすマジックを。
温かい毛布のように、
柔らかな指先のように、
窓を開けて微笑む君に今、姿を変えて陽射しとなって、キスを。
……―――キスを。
「ん〜……んん〜〜……♪」
「随分と機嫌が良いようですが、何かおありになられたので?」
「うん?何言ってるの?俺はいつだって上機嫌だよ?」
「嘘おっしゃい。スケジュールがかつかつだと言って、さっきまで拗ねて不貞腐れていたのは何処のどなたです?」
「ええ?俺じゃないよ?」
「しらばっくれるならまだしも、その簡単に記憶をすっぱ抜ける事の出来る器用さは、最早大した特技ですよ、全く……」
「んん〜…♪……ん〜〜……♪」
「……何の歌ですか?綺麗な曲ですね」
「ん?これ?」
瞳を閉じて、耳を澄まして。
聴こえる?
俺から君に贈る、愛の歌。
聴こえたなら、届いたなら、ほら笑って。
俺はいつだって君のその笑顔の為に此処にいる。
君のその笑顔の傍に行きたくて、此処で愛を歌っているんだよ。
「茉莉の歌。作詞作曲バ〜イ、ロベルト・バトン……ってね!」
……―――7月7日、
確か今日はタナバタ?って言ったっけ。
今日もこの世界を飛び出して、君の元へ。
四角い画面から抜け出して、このままの姿で君に会いに行くよ。
だから、今日は君と俺の間にシナリオはいらない。
特別、これと言って「じゃん!」って出てくるスチルも無い。
だって、必要ないじゃない?
「アル、知ってる?今日ってさ、このままの俺の姿で堂々と茉莉に会いに行ってもいい日なんだって。……てな訳で、ちょっと茉莉に会いに行ってくるから、後の事はよろしく〜」
「は?ちょ……ちょっと、ロベルト様!お待ちなさい……!」
ゲームの中だけの恋はもう止めよう。
今夜、
星降る世界を越えて君にキスをしに行くよ。
だから、部屋の鍵は開けておいて?
「……茉莉、迎えに来たよ!」
プロローグの必要の無い、本物の恋を俺としようよ。
神様、
この人と私を隔てる次元の壁に、お願いだから少しくらいの風穴をくださいよ!
2014/〜七夕〜
ロベルトに会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて、でも会えなくて。
そんなプリンセスと同じように、ロベルトも想ってくれていたならいいな〜って思ったので、衝動に駆られて書いた七夕話。
2次元だとか3次元なんていう、つまらない柵はそろそろ終わりにしましょうや神様。
一年に一度だなんて足りないよ。
365日のロベルトが欲しいよ…
((((((;ω;)
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