アヴドゥルさんと11/11


※管理人の推しキャラとポッキーの日in2017
アヴドゥルさん推しでない貴方はそっとブラウザバックしましょう






『と言うわけでポッキーゲームしましょう』
まず見たのはアヴドゥルさんの呆けた顔だった。


ポッキーゲームとは棒状の菓子を主に男女二人が両端から食べ進める遊びで、途中で折れたらアウト、唇が触れてしまったらアウトなどその場でルールは変化するが根本的に大人数のパーティーゲームとして用いられる。
つまり手っ取り早くイチャイチャするためのそれだ。

『ということでやりましょう』
一通り説明を終えてアヴドゥルさんに迫ると、さりげなく手で制された。
『なんでですか!ちょっとドキドキするだけで至極健全な遊びですよ!』
「男女二人という制約がついている時点で健全とは言えないだろう……」
困り果てた顔も素敵だ!じゃなく、お国柄そして仕事柄そういった俗な遊びは嫌忌の対象なんだろうか、ポルナレフとまではいかなくとも少しも乗り気ではないみたいだ。

だけど11月11日は一年に一回しかやってこない。アヴドゥルさんの事情と比べれば漬物石とヘリウムガスぐらい差のある理由だけれど、恋愛というものは熟しやすく腐りやすいものだ。加えて彼と私とでは国籍も宗教も年齢も違う。一年後私がこの人の側にいられるなんて保証はないのだ。

暫く無言の応酬が続き、真剣な私の表情を見てどうやっても引き下がらないと察したのか彼は眉根を寄せてはいるが諦めたように溜め息を吐いた。
「……スタンド同士であればまあ、直接ではない分許容できなくもない……事にしておこう。ただし一応唇が触れないようには気を付けてくれ」
ここまで硬派な彼から妥協を引き出せたのは奇跡に近い。鼻息を荒くしないよう気を付けて頷けば、アヴドゥルさんはマジシャンズレッドを出してくれた。
気が変わらないうちに私もスタンドを出し、両端をそれぞれくわえる。

『……』
さく、ぱき、ぱり、ぽり。
「……」
むしゃ、ごくり、かり、もぐ。
『……』
なんとも異様な光景だ。スタンド使いである私達はともかく、見えない人たちにとっては宙に浮いたポッキーが独りでに食べられているのだ。それでも二つの人型をとった精神体は黙々と食べ進め、もう半ばまで来ている。
『あ、あのですね、アヴドゥルさん』
「?」
『ここまで来てなんですがこのゲーム……その、目を閉じてするのがルールなんですが、どうします?』
欲が出たわけではない、いやちょっとはあるが、別に彼を困らせたいわけでは無い。よりにもよってこのタイミングでルールの存在を思い出してしまったのだ。
『い、いや目を閉じたいだなんてそんなんじゃあなくてですね、やりたくないのならそうしますし万が一の危険性も含んでいるというかあのその』
「……目を、閉じなさい」

ちょっと意味がわからない。
「目を閉じてしまえば、そうだな……“例え何か不慮の事故が起こっても”言い訳がつくと思うのだが、どうかね」

「ン?」
『え、あ、はい、お言葉に甘えて』
思考が停止していて返答にタイムラグが発生してしまった。アヴドゥルさんはそういうことを言う人だっただろうか?いや目の前の彼はどこからどう見ても「彼」だ。赤くなった顔を見られているのが耐えられなくて、精神ごと視界を閉ざした。



その後私達がゲームをクリアできたかは、ご想像にお任せする。








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