億泰とバスト当てゲーム


『虹村億泰クーン、名前さんがお呼びでございまーす』
「おお、悪い!」
教室の扉から呼び掛ければすぐに返事がきた。連れ立って歩く女の子に軽く手を振って視線を戻せば、何も入ってなさそうなくしゃくしゃの鞄を抱えた友人が此方に向かってくるところだった。
「仗助どしたよ」
『今日は家の用事で先に帰るとさ。いいねェー美人のお母さん持ってる奴はよォ』
「おっ、オメー人妻好きかよぉ」
『俺の恋愛対象は25歳以下です』
そこからは下世話な会話になったので省く。


帰り道の途中にはアイスクリームの屋台があるのだけれど、今日はそこに一人の女性が立っていた。服装からして大学生のコかな……それにしても羽織ったボレロから伸びる曲線美がこう……イイ。
「名前オメー、何見て おおッ!?俺あの子タイプよ〜ッ」
アホ面を晒して笑う億泰を無視して再度女の子に目を向ける。買ったのはオレンジシャーベットみたいだ。二人して道路の向かいから様子を観察すると、代金を払い終わった彼女が不意に横を向いた。

! あれは世紀の大発見じゃあないのかッ!?
『お、おい、今の』
「おお、さっきのねーちゃんはデカかったな」
手で大きく丸く円を描く友人にそうそい、こーんな感じだよなと自分も真似をする。二重三重と手を動かしていると、向こう側に数人の女の人が連れ立って歩いているのが見えた。今度も大学生みたいだ、さっきのコと同じ所なんだろうか?中々美人揃いで今日はラッキーだ。
と、隣の奴もその集団に注目していることに気づいた。

『よし!じゃああのコはどうだ!』「あれはBだろ」
『あのコは?』
「あれは……Cか」『いやオレはDと見たね』「ホントかよォ〜?」
アイスクリームを買う順番に見て当てていく。最初から順にチョコミント、小豆、ストロベリー。オレとしてはキャラメルクリームの子が一番タイプだ。
『ホントホント、オレ人を見る目には自信あんのよォ。そして……オ!』
辺りをもう一度探れば、俺たちと同じ学校の制服を着た女の子が一人視界に入った。

『おい相棒!ありゃあ山岸さんじゃあないかッ!来たぜ上玉ッ!』
「オレの相棒はオメーじゃねえっての、ってゲッ由花子ォ!」
大袈裟に後ずさるそいつを鼻で笑い、早速チェック。ふむ、デカくはないがあのプロポーションなら慎ましい方が釣り合いがとれるか。とすれば……まじまじと見て考えを巡らせている最中なのに、さっきからグイグイ引っ張ってくる億泰がうざったくて仕方がない。
「お、おい、アイツはヤベーってっ!彼氏いんだぞッ!」
『可愛い子が売れるのは早いってのはマジだな。その彼氏に胸見たってバレたらコワイの?』
「そうじゃなくて「億泰君に名前君、きみたち何してるの?」」
そこでオレの意識は途切れた。




「億泰に名前よォ〜……おめーらは本当にバカだな」
次の日、康一と山岸さんから事の顛末を聞いたらしい仗助から、“反省しろ”の文字とおどろおどろしい髪の毛がひっついた俺たちの写った写真を渡された。
「……俺ァ今回のことで一つ……分かったことがあるぜぇー、名前」
『んだよ』
見たことの無い澄んだ瞳で空を見上げ、彼はこう言った。

「オンナのいる男はよ、強ェえんだよなぁー……」








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