クズ工の英雄




何が悲しくて、俺は地元の工業高校なんかに入ってしまったのだろうか。

気がつけば受かっていたのが、このマリー藻屑工業高校だけだったんだ。

通称「クズ工」。でも一部の生徒には「マリ工」なんて呼ばれている。

つまり、「クズ工」とは蔑称なのだ。

もう一度言う。何が悲しくて、男に囲まれた糞の巣窟で、全く興味の無い機械を弄り、汗と油にまみれ、周りから「クズ工」と蔑まれなきゃならない。

そんな不満が重なって爆発したせいか、俺らの怒りの矛先は他校に向いた。
常に戦争状態だ。
高校とはいえ、生き残るのもコレ戦争。
相手を殴り、失われた名誉を取り戻す。
そして俺らは相手の女を奪う。
これは勝者の特権である。
男しかいない工業高校の獣共には、多少のブスでも可愛く見える。
理由は至って簡単。

女だからだ。

上に膨らみが二つあり、下に穴が二つある生き物だからだ。
顔なんて最早必要ない。
皆が性欲処理の為に女を抱く。
中には強姦まで働く者もいる。
これが「クズ工」と周りから言われる由縁だ。

馬鹿で人間のクズの溜まり場。
俺もその一人。
俺は対して何も考えず、欲望のままに生きている。しかし女にありつけた事はない。

何故なら、この俺が「クズ工」きっての戦争の鉄砲玉だからだ…っ!

名誉の死闘によって誰よりも早くクタバり、俺が目覚めた時には戦場の跡と屍(気絶した者)だけが残る。

仲間は既にいない。
戦争に勝ったかどうかも分からない。
多分、戦争には勝ち、仲間は女さらったりさらいにいったりしてるんだろう。
鉄砲玉の俺を置き去りのまま行っちまうなんて、白状な奴らだ。

しかし、それも俺が勢いだけで喧嘩が弱いから仕方がない。
だから、俺は未だに童貞。
こんな事恥ずかしくて周りの奴らには言えないけど。
大体、俺が女に近寄っただけでキャーキャーと悲鳴を上げられる。
なにぶん顔が悪いもので。
不細工な奴はお近づきにもなれないらしい。
しかし性欲は溜まる。
だから、専ら俺の右手が恋人というところだ。
…俺の性事情は置いといて。



俺らの仲間に悪魔がいるらしい。
何でも、他校との戦争に出たのは過去一回。
その一回とは、クズ工を世間に有名にした大々的な戦争だった。
俺らの中では「血の惨劇」と呼ばれている事件だ。
最早、悪魔一人による「狩り」だった。と、その場に居た者は言う。








戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -