部長っ!




「だから、あそこはファイラでも行けたんだってっ」

「いーや、バイオだね。バイオ万能説。」

「MP無くなったら、進藤のせいだからな…」

「だから、街でテント買っときゃよかったんだ」


俺と純くんは、今2人で攻略を目指しているゲームについて討論を繰り広げている。


昼飯を平らげた後なので、元気が有り余り討論も白熱していく。


「次、青魔になろっかなぁ」


俺がそう言いながら、チラリと目線を横にやると寂れた体育倉庫が目に入る。


「あ。」


そこには不安気な顔をしている部長がいた。


「…部長。」


HR後に部長と会う約束をしていた事をすっかり忘れていた。


既にHR終了から1時間は経過している。


「部長?進藤もう部活入ってんの?」

「…いや。純君わりー、俺用事思い出したっ」


俺は純くんにそれだけ告げ、体育倉庫までダッシュする。


後ろから「進藤〜…」と、純くんの切なげな声が後ろ髪を引く。













体育倉庫前にいる部長は大きく息を吸い込み、盛大に溜め息を吐いた。


「部長っ、遅れてごめんなっ」


俺は大げさに息を切らしながら急いで来ました感をアピール。



「…進藤くんっ!遅かったねぇ、何かあったのか?」


部長は俺を見た途端に顔がパァッっと明るくなった。体はデカいが妙に可愛く思える。



「いや、普通に忘れ…」

「え?」

「いや、違う違う。…実家にいる飼い犬のペスが…1時間前に亡くなって、…それで今まで黙祷を捧げていました。」


最後に「くぅっ」と大きく鼻をならす。


「…進藤くんっ」


部長は既に目に涙を浮かばせている。

涙脆い奴だ。純真というか単純というか。



「それは、辛かったね…」


そう言って、部長はその厚い胸で俺の頭を抱いた。


プッ…単純っつーか、ただのバカだ。


俺はそれをいいことに、部長の胸に頭をグリグリと擦り付ける。


「〜…やっ」

「バッタのペスは、俺の小さい頃からの親友だったんです。」

「わ、わかった、わかったからっ」


部長が俺の頭を離すと、今度は俺から部長に抱きつき、胸グリグリ攻撃を続ける。


「ちょっ…」

「部長ぉ〜っ」


俺の頭攻撃により制服の布地で擦れた部長の乳首は今、ピクンッといやらしく主張している。


「んぅっ」

「カメのペスは…カメのペスは…」





口からつらつらと出てくる嘘に、我ながら感心する。


「し、…進藤くんっ、分かったからぁ…そんな今の君にこんな話をするのもアレなんだけど…」

「そういえば、話って?」


俺は一時休戦をして、顔を上げる。








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