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なんて日だ!頭の中で某芸人が叫んでいる。まさしく今の私の気持ちを代弁してくれる言葉だ。ほんと、なんて日だ!

どういった経緯で噂が私の所に届いたのかは割愛させて頂くとして、西谷が誕生日ということで田中がAVを貸したらしい。別にAVなんて見たらいいじゃんと普段なら思っているのだが、なんとあの潔子さんに激似の女優らしいのだ。潔子さんは私の憧れの人であり、西谷の女神様だ。潔子さん潔子さんと普段騒いでいるのは構わないし、あの美しさの前では夢中に成らざるを得ないので致し方ないけれど、潔子さん似のAV女優となると話が変わってくる。西谷にとって『手の届かない素敵な人』だからこそ妬かずに済んでいるというのに、そんな生々しいものを見られては私なんてただのカスでしかないだろ!ダン!と机を叩くと思いのほか大きな音が出てしまい恥ずかしさに顔を伏せた。

「せっかくオシャレしてきたのに…」

じわりと涙が浮かぶ。前髪を斜めにした時に褒められて同じにしてきたのがバカみたいだし、せっけんの匂いもつけたけどムダになりそうだし、色つきリップだって珍しくつけてみたけど腫れぼったく見えるし。それに、とカバンの中にしまってあるおやつ代節約とお年玉を足して買ったプレゼントだって。

「どんな顔をして渡せばいいんだよバカ」

鼻の奥がつんとする。このまま泣いてしまおうか、そう思った時に頭の上から声が降る。

「花田帰らねえの?」

誕生日は一緒に帰ろうぜと西谷から誘ってくれた。それで迎えに来てくれたのだ。潔子さん似のAVを持って…。

「…帰るけど……」

「おう、じゃあ行こうぜ」

素直にうんと言えない私に機嫌でも悪いのかと心配そうな西谷。今日の主役は私の事を気遣ってくれる。でもカバンの中にあるであろう潔子さんのAVの事が頭をちらついて別に、とかかわいくない返事しかできないなんて本当にかわいくない。西谷はそうか、なんて首を傾げて不思議そうだ。そりゃそうだよね。喧嘩した訳でもないのに私が不機嫌な理由なんて想像つくわけないもん。悪いなって気持ちとでもなんで今日なのよって気持ちが入り混じってぐちゃぐちゃだ。西谷だって男の子だしエロイ事考えるななんて言わないし、100歩譲って潔子さん似のAVだって見てもいいけど、なんで今日なの?よりにもよって。田中なんて禿げて一生童貞でいればいい。

「あぁ、そうか!」

西谷は何かを思いついたみたいでパッと顔を輝かせてグッと近づいてくる。

「今日お前の唇いつもよりピンクでうまそうなんだな」

そうかそうかと満足そうに笑う彼は、どうやら違いに気づいてくれたみたいだ。それが彼のためにしたオシャレだとまでは気づいてくれなかったけれど自分の唇をツンツン、として人の唇を見てうまそうだ、なんて。

「それになんか今日いい匂いだ」

すん、と首回りを嗅がれて一瞬縮む肩も、な?と邪気なく言われては素直に頷くしかない。

「せっけんの香水、つけたし」

唇が尖っているのが自分でもわかる。本当に可愛げのない女だ私は。なのに彼はそっか!といつも通り過ぎてふて腐れている自分が馬鹿馬鹿しくなる。

「そのななめの前髪も俺が気に入ってるからしてくれたのか?」

ありがとな、と言われて恥ずかしくて手でくしゃっと前髪を隠した。ダメだちゃんとななめにしとけよと怒られた。乱れた前髪を手櫛で直しながら『これ』とぶっきらぼうに渡す。

「…プレゼント」

「…いいのか?」

「ん」

弾ける笑顔とはまさしくこんな感じではないだろうか。西谷は私の手からプレゼントを受け取るとうおおおおおおと感激している様子が伺えた。

「花田ありがとな!」

「ううん。誕生日おめでとう西谷。」

「おう」

「ふて腐れててごめんね」

ようやく謝る事が出来たけど、今度は西谷に理由を聞かれた。仕方なく潔子さん似のAVを借りたんだって?と聞くとあぁあれな!とカバンから引っ張り出してきた。

「龍が誕生日だからって特別に貸してくれたんだ。一緒に見るか?」

「え!見ない!」

「え?見ないの?」

一緒に勉強したかったのになと言われて何をなんて恥ずかしくて聞けたかった。




20141009

ノヤフライングはぴば!!
ちなみに田中に借りたAVは教師もの。タイトル考えたら友人に年バレるからやめとけ言われたのでやめときますw
そんで結局二人はこのあと一緒に見ていちゃこらすればいいよ。この彼女の設定も友人の設定からぱくりましたwごめんなさいw
ちなみにすぎて申し訳ないですがこの彼女は王様ゲームの時の彼女っていうどうでもいい設定。
mae ato
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