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 呑まれた後には・後編【ユリフレ・甘】帝涜さまからの頂き物です



家に帰るまでのタクシー内で、フレンはユーリの怒りなど全く知らずに甘えてきた。抱き着いてきた彼に対応せず、そのまま放っておいた。運転手の奇異の目など気にしない。
構ってくれないユーリに拗ねたフレンは、抱き着いたまま黙り込んでしまった。そうしていられるのも今の内だと、ふつふつと湧き上がってくる怒りを抑えずに思った。
店に来た時、バイト先の人達の手がフレンに伸びかかっていた。それだけではなく、電話をした後もアシェットと彼はくっついていたらしく、距離が近かった。非常に許し難い事態であった。
再び背中にフレンを抱え、運転手に金を払った後家の中に入る。鍵は辛うじて閉めていたが、灯りやテレビはそのままだ。衝動的な行動だったとはいえ、笑える光景であった。今は笑えなかったが。

「フレン、起きろ」

「んむぅ……」

ソファにフレンを座らせ、彼の隣座り身体を揺らす。今まで元気だった反動か、彼は夢の世界に片足を突っ込んでいた所であった。そうはさせないと、耳元に唇を寄せて囁く。今までの怒りの感情を、全て乗せて。

「さっさと起きねぇと犯すぞ、フレン」

「……!」

普段とは大違いの声色に本能的に気付いたのか、フレンの瞳がゆるゆると見開かれていく。緩慢な動きでユーリの顔を見た時、彼の酔いは少しだけ飛んだ様だ。揺れる空色の瞳が、多少の恐れの色を持っていた。

「ユー、リ……あの……」

「随分お楽しみだったみてぇじゃねぇか、フレンさんよ。楽しかったか? 飲み会」

飲み会という言葉を態と強調すると、完全にフレンから酔いが消えた。目の前にある薄っぺらな笑みに、唇を震わせていた。

「ユーリ……その、ごめん」

「何に対して謝ってるんだ?」

「……約束破って、お酒飲んだこと」

「それもそうだが、違うな」

謝っても怒りを鎮めてくれないユーリに、フレンはだんだん眉根を下げていった。どうしたら良いのかわからなくて、涙目になってくる彼を見ることも良いが、今はそれが目的ではない。分からず屋な彼に、きっちり説教することが大前提だ。
どうしようと困惑しているフレンの顎を指で持ち上げ、顔を近付ける。濡れている空色の瞳を見据えながら、ユーリは唇に啄むだけの口付けをした。ねっとりと唇を舐め上げ、笑みを深くする。

「ちゅーしてあげる、だっけか? オレ以外の奴に、キスしようとしやがって」

「そ、れは……ごめん。電話でも、ユーリが居ることが嬉しくて……」

酔っている間の記憶は曖昧だがあるフレンは、頬を僅かに羞恥で赤くして謝罪をした。そう、ユーリが一番怒っているのはアシェットに口付けをしようとしたことだ。例えそれがどこであっても、一瞬にして沸点を超えるだろう。
可愛いフレンの姿を見て、満面の笑みの彼から口付けて貰う。その相手が自分以外だったことを想像して、腸が煮え繰り返る思いであった。普段なら謝って済む怒りも、中々引っ込まない。
今のフレンの一言で少し怒りは冷めたが、まだユーリの怒りは収まらない。彼の瞳を捉え、にっこりと笑いかけた。

「だったら、フレンの大好きなオレには何してくれるんだ? まさか、ちゅーだけじゃねぇよな?」

「な、何を言っているんだ君は! だ、大好きだなんて……!」

「あぁ、そっか。嫌いなオレには、ちゅーも出来ねぇってことか。あー、寂しいなー」

突っ込むポイントがずれているが、ユーリは構わずフレンを追い詰める。ぐっと真っ赤な顔で押し黙った彼は、ユーリを涙目で睨み上げていた。
酒の所為でフレンが素直で甘えたになり、自分以外の人に絡むことは仕方ないとは思っている。だが、どうしても許せないことは許せないもので。
棒読みで寂しいや辛いという言葉を連呼するユーリに、フレンはきっと眉を吊り上げて彼の襟首を引っ張った。噛みつく様な口付けであったが、急にされたことに驚き見開いた彼の瞳を見て、少しだけ気が晴れた。
謝っているのに何時までも許してくれない上に、ユーリはフレンを虐めてくる。いつもは恐怖を抱くのだが、今日はあまりの態度に腹が立ってきていたのだ。悪いのは全面的には自分なのだが、これは仕様がないとフレンは言い聞かせた。

「……説教してる間に、随分と挑戦的な目になったな。フレン」

「確かに僕が悪かった、約束を破ったこともアシェットにキスしようとしたことも。けど、ここまで酷く当たらなくて良いじゃないか!」

「お前はなぁ、自分の可愛さがわかってねぇからそんなこと言えるんだよ! 逆の立場で考えてみろ!」

「君の言っている意味がわからないし、そんなの嫌に決まっているだろう!」

説教から言い争いに転じていき、埒が明かないと踏んだユーリはフレンの身体を押し倒した。いきなりのことに目を白黒させている彼の首筋をなぞり、至近距離で微笑みかける。それはもう、凶悪な表情で。
「オレとしたことが、すっかり忘れてたぜ。お前に説教するなら、手っ取り早い方法があるってことを」

「な、何……!」

「ちゃんとお仕置きしてやるよ、お前の身体にな?」

「ゆ、ユーリ! ちょ、やめ……ん、んぅっ!?」

一気に顔を蒼褪めさせたフレンの抵抗を余所に、ユーリは服の裾から手を差し入れる。煩い口は自分のそれで塞いだ。舌を差し入れて大人しくなった彼に、たっぷり仕置きをしようと内心でほくそ笑んだユーリであった。
結局、怒った大魔王に捕まった可愛い天使が解放されたのは、朝方の頃だったとかそうではないとか。




【後書き】
ユリフレの話です。

相互して頂いた璃鴉様への捧げ物です!お持ち帰りは、璃鴉様のみでお願いします。

ユーリにS気を加えてみたら…あれ?ただ怒ったユーリに…?
Sって何だろう、教えてユーリさん←
というか、これで本当に良かったのか心配になります…!
気に入らなかったら返品可です!また違う話書いて出直してきます…!

【帝涜さまへ
素敵ユリフレ小説ありがとうございます…!!更新が遅れまして大変失礼いたしましたっっ(泣)
Sなユーリさんがエロカッコイイやら、天然フレンちゃんがお酒で立派なエロにゃんこに進化を遂げていたりと…!!大変美味しくいただいちゃいましたユーリさんにシバかれてもいいから飲み会の場に居て、フレンちゃんでにゃんにゃん遊びたかった…!!(←変態ですみません;)
そして最後になりましたが、こんな駄サイトと相互をしてくださった帝涜さまの懐の大きさとミラクルに心から感謝です…!!



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