リレー小説 | ナノ

「…何、見てるんですかぁ。」

その視線に気づいたのは、いつものように折原さんを追いかけているとき。
女の、人。
やだやだやだ、女の人が折原さんを見ている。折原さんを視界に入れている。
だめ、折原さんを見ないで。折原さんを視界に入れないで!
折原さんは私だけのものなの!

「折原さんのこと見ないでくださいよぉ。
 折原さんのことを見ていいのは私だけなんですからぁ。」

包丁をゆっくりと構え笑顔で近づく。
ああ、こんな女、殺してしまえばいい。
そう思って包丁を振りかざせば、女はいきなりしゃべりだす。

「違います、あなたの包丁を見てたんです!」

「…包丁?」

「それ、すごくいい包丁ですね!」

振りかざしていた包丁に目線を移す。
私が毎日研いで大切にしている、私の包丁。
多分折原さんの次ぐらいには大切なもので。まぁ、代替品は家に何本かあるけれど。
でも、大切なものがほめられれば私だってうれしい。折原さんは除くけど。
いつもより笑顔十パーセント増しで女の人の言葉に答える。

「…えへへぇ、毎日研いでるんですよぉ。
 大切な私の包丁なんですよねぇ。」

「大切にしてるんですね。
 …もしかしてその包丁、鮪包丁ですか?
 その包丁って、大きいから二人で扱うんじゃありませんでしたか?」

「一人でもがんばれば扱えますよぉ。
 でも、いつもはクレーバーを使ってるんですよねぇ。
 そっちのほうが丈夫ですしぃ。」

「あぁ、クレーバーは丈夫ですよね。
 なんてったって、関節を叩き切っても大丈夫なように作られてますし。」

…楽しい、なぁ。
久しぶりに折原さんと接する以外で楽しいと思った気がする。
もっと、話してたいなぁ。

「…あのぉ、そこの喫茶店にでも行ってお話しませんかぁ?」


包丁談義


(あれ、そういえば折原さんを追わないといけないんでしたねぇ。)

(うっかり、うっかりぃ)


あとがきもどきの懺悔

黒様の夢主はこんな口調で…いい、よね…?
とりあえず敬語。そして包丁談義。
包丁についての知識はwiki大先生から。
ちなみに鮪包丁が頑張れば一人で扱えるようになるかは適当。