リレー小説 | ナノ
あれから金髪バーテンダーさんと共に病院に行った。
ついてこなくてもいいですよ、と行ったのに彼はついてきてしまった。
救急車の人は彼を見た時にまたか…的な顔をしていたのは気のせいだと思いたい。
「あの…ありがとうございました」
彼は一瞬きょとんとして、少しだけ悲しい顔になった。
「俺は、礼を言われることはしてねえよ。逆に俺があやまるべきだ」
「…あなたは、私が追われてると思ってやってくれたんですよね?」
「…………ああ」
「なら、あなたはあやまる必要なんてないんです」
「でも…俺はっ……」
「本当にいいんです。………あなたは優しい人なんですね」
私がそう言うと彼は目を見開いて、それから少しだけ頬染めた。
表情が豊かな人だなあとふと、思った。
♀♂
「本当にすいませんでした」
あれからおじさんは病院に運ばれ見てもらえば、腕の骨にひびが入っただけで済んだ。
彼は目が覚めたおじさんにずっと謝っていた。
「いいよ、気にしないで。
私が久しぶりに会えて嬉しくなって我を失っていたのが悪かったんだ…」
(我を失いすぎたよ…おじさん)
「……君の名前を聞いてもいいかい?」
「…平和島静雄です」
「君が…あの平和島くんか」
おじさんが呟いた言葉に少しだけ引っかかった。
“あの”って……?
なにはともあれ
(おじさんが優しかった)
遅くなってすまねえ!