皆でテントをはっているとは言えたいして広くもない空間だ。フリオニールが名前を叫びながら走っているとミンウはすぐに見つかった。
最初に話していた三人と途中声を聞いた仲間も何事かと集まったので、結果的にコスモスほぼ全員がミンウのところにやってきてしまった。
一緒に魔法談義でもしていたらしいティナが驚愕の目でフリオニールを見つめる。涙で顔がぐちゃぐちゃだからそりゃ驚くだろう。
「フリオニール、何事だい?」
ミンウ自身も目を丸くしている。
「な、何じゃないだろ!ミンウ、おれ…っ!」
ぶるぶる震えていたフリオニールがついに感極まったらしくタックル、にしか見えない抱きつきかたをしてミンウが尻餅をつく。
デカイ図体なので割と洒落になっていない。ティナが更に目を大きくしておろおろするほどだ。
「フリオ落ち着けって!大丈夫かミンウ!?」
「ああ、私は大丈夫だけど…」
「ううっ…ミンウ…っ!あいたかった…おれ、あいたくて…っ!」
クラウドの時よりは衝撃が少ないが、ミンウの肩口に顔を埋めて泣きじゃくっているフリオニールに皆呆然。泣きかたが完全に子供である。帰ってこいよ好青年。
「そうか、思い出したんだね」
ミンウもミンウでよしよしとフリオニールの頭を撫でているので、なんともいえない有り様だ。
「フリオが…」
「これは恥ずかしいな」
「いつもミンウの前ではちょっと子供っぽかったよ」
心配で追ってきた三人も半ば驚き、半ば呆れ。しばらくネタにされることだけは間違いない。
「フリオに全力で抱き締められたらミンウ折れないか?」
「い、嫌な音がしたら引き剥がそうぜ」
(既にだいぶ苦しそうな気もするが…)
声を聞き付けて来たバッツ、ジタン、スコールがひそひそ話しながら見守る視線もかなり生暖かいです。

「…ずっと、ずっと…あいたかった……ミンウ…!」
ほら顔をあげて、そんなに泣くものじゃないよ。微笑みながらミンウはフリオニールの頬を両手で包み涙を拭ってやっている。
「ここが戦場だとしても、また共に時間を過ごせるなんて神々に感謝しなくてはね…」

「ミンウってさ……フリオのお母さん?」
「ヴァン君、違うと思うぞ〜」
一応突っ込んだラグナだが半分くらいそう見えてきた。すごく…お母さんです。


フリオニールが泣き止むまで皆で見守り、その後も夕食の席でさんざんからかった。彼はこれでもかというほど真っ赤だったが、決意を込めた瞳で頷く。
「でも俺、今度は絶対ミンウを守るよ。世界が平和になっても、ミンウが居なきゃ意味ないんだ!」
「ふふっ、ありがとうフリオニール」

「段々のばらが忠犬に見えてきたッス…」
「もうお母さん通り越して飼い主だな」
「僕もよしよしして良いかな……」
「いや、あれはミンウ専用アビリティと見た。」


「ミンウー!またレベル上がったんだ!」
「本当かい?よく頑張ったね」


「「「……………」」」
微笑ましいような妬けるような、でも結局は幸せそうなフリオニールに目を細める三人なのだった。

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