コスモス陣営は森の中に見付けた広場にテントを張り、皆で小休止を楽しんでいた。
丸く座ってそれぞれの武器を手入れしているのは偵察から帰ってきたばかりのフリオニール、セシル、クラウド、ティーダの四人。
「セシルは?元の世界のことどれくらい覚えてるッスか?」
話題にのぼっているのはどうやら元の世界の記憶のことらしい。
「うーんそうだなぁ…カインや兄さんのことは大体思い出したけど、まだはっきりしてないことも多いよ。」
セシルは感慨深げに頷く。ついこの間、親友にまつわるあれやこれやを思い出して一騒動あったばかりだ。カインがそれを聞いて勝手に拗ねただけだ(とセシルは思っている)が。
「やっぱ知り合いがいると思い出しやすいッスね。オレもユウナとオヤジのことはだいたい思い出したッス!クラウドはどうなんだ?」
クラウドの世界からはたくさん来てるよな、ザックスにエアリスにティファも、と彼を除く三人で頷き合う。
「そうだな…俺はほとんど覚えてる。騒がせてすまなかった」
この世界でザックスとエアリスに初めて会ったときのことを思い出したのか、恥ずかしそうに項垂れるクラウド。クールキャラのクラウドとお姉さんポジションのティファが揃って泣きだした時には、感動の再会に慣れてきたコスモス陣も流石に目が点になったものだ。
しかもその後暫くクラウドのキャラが迷走し「行こうよ、みんな」とか言い出したので更に驚いた。
確かにアレはびっくりしたッス、と爆笑するティーダをフリオニールが小突く。
「ティーダが言うなよ。おまえこそユウナの時大変な騒ぎだったじゃないか」
「あ、あれは…」
「仕方ないよ、二人とももう二度と会えないと思っていた人と再会できたんだから」
セシルの思い出し笑い気味なフォローを受けて二人は更に小さくなった。
「確かにそれは嬉しいことだろう…け、ど……」
急に止まってしまったフリオニールを三人が慌てて覗き込む。
「どうした?」
「おい、大丈夫か」
さっきイミテーションと戦ったよな…とフリオニールは心ここにあらずと言った調子で呟いた。
「ああ」
「エアリスのホーリーとミンウのアルテマが同時に来たときはひやっとしたッスよ」
「もしかして、何か思い出せそうなのかい?」
カインのイミテーションと戦っている最中に記憶が戻った経験のあるセシルが首を傾げる。
「…ミンウが……」
思い出した!叫ぶやいなや勢いよく立ち上がるフリオニールに、三人は良かった、と言おうとしたがその前に凍りついた。
「ちょ、いきなり泣くなよ!」
「落ち着け、何を思い出したんだ」
この間号泣してた二人に言われたくないだろうな、と思いながらセシルも彼を見守る。
「そうだ…ミンウは…!ミンウ!」
大粒の涙をぼろぼろ溢しながら(おそらくミンウを探して)走り去ったフリオニールを三人は口を開けて見送るしかなかった。
「あ、おいフリオー!」
「心配だ、追い掛けよう」
「ああ」

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