ばいばい、ヒーロー
※多分違う学校の手続きとかしてくれるんだろうけどそうではなかった場合の話。
※胸糞悪いかも
私にはとても憧れているヒーローがいる。
名をイレイザー・ヘッド。
知名度は低いが個性を抹消できる個性を持っているなんともチートみがかかったヒーローだ。
私の個性なんかとは比べ物にならないくらいの希少な個性だと勝手に思っている。
私の個性は物を浮かせられる個性で、自分の体重より重い物は浮かせられない。
しかし努力をすれば立派なヒーローになれるのだと、あの憧れのイレイザーに会えるのだと信じて雄英へと入学した。
しかし、現実はそう甘くなかった。
「お前は除籍処分だ。」
この一言で私のヒーローへの道は全て絶たれてしまった。
この他にも数名除籍された人達がいたけど、その時はそれどころではなかった。
何故、が頭を埋め尽くし、気が付けば校長先生と一対一で説明を受けていたところだった。
「ごめんね、せっかく入学してくれたのに…でもね、相澤君もしたくてしてる訳じゃないんだ。
ヒーローになるには常に命の危険が付きまとう、…相澤君は未来を見据えて君を除籍にしたんだよ。
彼を悪く思わないでくれ、」
そう言われた私は何も答えられなかった…のと同時に憎しみと喜びとが一気に押し寄せてきた。
何故?私はヒーローになりたくて、貴方に少しでも近づきたくて…何で…どうして…
いや、相澤先生は私の事を考えてそういう結果を出したんだ、見た目に反してとても優しく人だ。
この二つの感情が体から離れることはなく、私はこの感情によって人生を左右される事になる。
除籍を言い渡されたその日、両親に恐る恐る説明をした。
案の定、私は怒鳴られながら責められた。
両親はとても厳しい人で、小さい頃から勉強ばかりさせられていた。
友達と遊ぶ事をあまりよしとせず、時間があるなら勉強をしろという人達だった。
しかし私が雄英に入学した時にはとても喜んでいた。
これできっと将来は安心ね、なんて…笑えるような事ばっかり言っていた。
手を出すような人達ではなかったが、世間体をよく気にする人達で、噂をされるのが嫌だったのか母方の実家へと引っ越しした。
そこからが地獄だった。
田舎という田舎でもなく都会ほど人はいないがそれなりの場所だった。
しかし、人間というのはどこから嗅ぎつけてくるのか、私の除籍の話はすぐに噂になった。
それからというもの、私は除籍女、というあだ名をつけられ孤立し、いじめられた。
両親に相談するも自業自得、という言葉で済まされ取り合ってくれなかった。
担任には言おうにも言えず、毎日一日一回は保健室へと逃げる事になる。
いじめられている時、私は毎回毎回相澤先生の事を考えてしまう。
…彼は、こうなる事も予測していたのだろうか…?
あの人が除籍さえしなければ、
…いや先生は私の事を思って除籍にしたんだ、
…きっと私にヒーローの素質すらなかったから除籍にしたんだ、
…違う、先生はそんな人じゃない…
…ああ、考えるの、疲れたや。
気がついたら廃屋の屋上に立っていた。
何もかもがどうでもよくなっていた。
ヒーローしか道はないのかと聞かれればいいえと答えられるが、私が除籍を告げられた事に嘘偽りはない、これはきっと一生付きまとう。
「もうどうでもよくなっちゃった、」
相澤先生、貴方は確かにヒーローでした。
きっと私の事を考えてくださったんだと思います、…でも、どうしても貴方への憎しみも消えてくれないのです。
もうこの二つの感情に振り回されたくありません…いいえ、もしかしたら憎しみの方が強くなってしまったのかもしれません。
だってどうしてこんな事になってしまったのでしょう。
酷くなるいじめ、話を聞いてくれない両親、近所の人達の視線、もうこれらに耐えることができません。
…こんな弱い心で、ヒーローになんか、なれませんよね?
…こんな弱い心でも、ヒーローに、なれますよね?
フェンスを登り、一歩歩き出そうとした時だった。
「おい、お前死ぬのか?」
背後から突然聞こえた声。
これから死のうとしている人間にかける声色ではない。
振り返った私は少し驚いた。
だって全身に手がくっついている。
「死ぬのかよ。」
「そうですね、…邪魔するんですか?」
「いや、邪魔はしないさ、…ただ、その自殺先延ばしにしようぜ。」
「…はい?」
これが彼、死柄木弔との出会いだった。
彼は敵連合軍のリーダーで、近々雄英高校へと奇襲をかけるらしい。
へぇ、と思ったけど私はもう死ねれば何でもいいや、と大人しくしていた。
そして奇襲日が来た。
やっと死ねると思った。
もう何も考えなくていい。
もうこの感情に左右されなくて済む。
…そうして私はワープゲートを潜った。
「ゲームオーバーだ…あーあ今回はゲームオーバーだ、…帰ろっか、」
死柄木は今、黒霧が雄英の生徒を一人逃し、イラついていた所だった。
「あ、そうだったイレイザー・ヘッド、お前にプレゼントがあるんだよ、喜べ!」
しかし思い出したかのように黒霧にワープゲートを繋げた。
「っ…?」
脳無に抑えられ一方的に攻撃を食らっている相澤は痛みに耐えながら何事かと顔を顰めた。
「さあナマエ!ようやく死ねるぞ!!」
「っ!!」
ワープゲートから出てきたのは、かつて相澤が除籍処分をしたうちの一人だった。
「…、」
黒いモヤを通るとそこは戦場で、多分雄英高校の何処かの施設であろう場所へと出た。
「おっ…前っ…!」
小さい呻くような声が聞こえた。
よく見ると、まさかこんな場所にいるとは思わなかったが相澤先生だった。
しかし以外にもそんなに動揺はなかった。
多分、今日こそ死ねるからだ。
まさか死柄木は相澤先生の目の前で死ねと言うのだろうか。
なんて滑稽だろう。
「ナマエ、手を出せ。」
…ああ、どうやらそうらしい。
「やっめろ…!!」
必死に叫んでくれる相澤先生。
「随分な演出するんだね、」
手を伸ばしながら私は死柄木に問いかけた。
「さいっこうなショーの間違いだろ?
さあ、イレイザー・ヘッド!お前の目の前で救えない命に絶望しろ!!」
とても楽しそうな声で死柄木は私の手を握った。
「やめろっ!!」
彼は声の限りに叫んだように見える。
「ふざけるな!!くっ、そ!!」
所々で個性を使ってくれているのが分かる。
しかしそれも一瞬で、私の体はゆっくりと崩れていく。
「せんせい、」
「っ!」
もう無駄だと言う意味も込めて私は先生の名を呼んだ。
「貴方の前で、こんな風に死ぬつもりはなかったんですよ…もう、死ぬつもりでしたから、」
右腕が無くなる。
続いて両足。
「先生、いえ、先生ではないですね。
イレイザー・ヘッド、私は貴方を尊敬しています。
…でも、同時に貴方が憎い。」
「!」
右腕、お腹。
「私はもうこの感情に左右されたくない、もう疲れたんです。
でも決して貴方のせいではありません。
貴方は多分私の為を思っての判断だと思っています。
悪いのは私です。
この個性に生まれ、大した努力もせず、きっとヒーローになってもすぐに死んでたと思います。」
胸。
「大丈夫、だって現場に出ても救えない命は沢山あるのでしょう?
私もそれらと同じです。」
首。
「イレイザー・ヘッド、…私、次に産まれてくる時は、個性がない世界に産まれたいなぁ…、」
そして世界は暗転する。
よく分かんなくなったけどいつもの書きたいシーンだけ書くスタイル←
ただ除籍言い渡された子が相澤先生の目の前で死ぬというシチュを書きたかっただけ。
後最後の台詞も言わせたかった←
うーん、これ読む限り相澤先生が悪いように見えるけど、本当に相澤先生のせいにはしていない(設定)です。
何というか愛と憎しみは紙一重的な?
憧れもちょっとの恋心もあるけど、怨恨と絶望も同じようにあるって感じ?
どちらも同じようにあるから疲れちゃって死を選んだ的な?
ちょっと難しかったんで暫くこういうの書かない←
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