ごちゃ混ぜ | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


吐き出しそうになった言葉は、無理矢理飲み込んだ



※アルスラーン成り代わり
※女だということを隠している
※15話の最後のところ
※転生トリップ知識あり


夜空に散りばめている星を見上げながら私はペシャワールの塔の上に居た
キュウゥゥ、と鳴きながら夜空をかけるアズライールに私は腕を差し出す

「…」


「あの方を殺せば、パルス王家の正統な血が絶えてしまう…っ!!」


バフマンが最後に言っていた言葉が胸に突き刺さる
少しだけ羽をばたつかせて大人しくなったアズライールを撫でながら、私は考えていた

「(…まず、アルスラーンですらない私は何者なのだろう…)」

考えても考えても、答えは出なかった
     
「(やはり、ここに来るべきではなかった)」

前の私を殴ってやりたい、いや…殺してやりたい
軽はずみな言動と行動で貴方の代わりを務めようなんて、なんておこがましいのだろう
パルス王家の血どころかこの世界の者でない私は、最早誰でもない

「(ああ、今すぐにこの場で死ねたらどんなに楽なことか)」

それはとても幸せなのだろう
しかしそれだけは許されない…許されるはずがない
それが、軽い気持ちでアルスラーンの代わりに生まれた私への罪と罰

「(分かってる…でも…)」

考えれば考えるほど、今はマイナスなことしか思い浮かばない

「殿下、冬の夜風はお体に障ります」

その時、ふと後ろから声が聞こえた
…ダリューンだ

「そろそろお休みになられては?」

「…ダリューン、」

全部を、話してしまいそうになる
私がアルスラーンであるからもあるが、ダリューンは優しい
アルスラーンもダリューンを心の底から信頼していたに違いない
そのくらいこの人はとても優しくて強い

「私は、一体何者なのだろう?…私は、王家の子ではな…」

「殿下のご正体は、このダリューンが存じております」

…嘘、
じゃあ、私が女だってことも知っているの?
本当の名前は?
私が、別の世界から来たってことも、…知っているの?

「ダリューン…」

私がそう呟くと、ダリューンは地面に片膝をついた

「殿下はこのダリューンにとって、何よりも大事な主君でいらっしゃいます…それではいけませんか、殿下?」

「…嘘だ、」

「殿下?」

待って、やめろ、これ以上はだめだ

「私は…」

やめろ、やめて話したって何の解決にもならないし寧ろ危険だ
やめろ、やめろ…やめろ!
ぎゅう、と涙を流しながら唇を噛む

「っ…なんでも、ない…ありがとう、ダリューン」

全部ぶちまけて楽になりたい
しかしそれは同時に死を意味することになる
これから、こんな重いものを抱えて生きていくのか
…吐き気がする
でもこれが罪であり罰である
私は顔を見られないように後ろを振り向いた
涙は、拭けなかった
こんなこと、

「(絶対に、言えないけれど、)」

助けて、ダリューン…

prev / next

[back]