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シカマルが好きなんですけど、トリップしたら結婚した後でした



最っ悪だ


私の第一声はこの言葉に限る

「まじかよありえな」

なんの為のトリップよカミサマ?
おいこらまじでなんなん?
ことの発端はよく分からないけど、ある日突然神様と名乗る人が現れ、私の愛読書であるNARUTOの世界にトリップさせてやると言いだしたのだ
もちろん喜んださ、それはもう、大いに
いや、喜んだっていうよりは驚いた
まさかこんな夢小説みたいな出来事が本当にあるんだと思ってもみなかった
最初は嘘だろうと相手にしなかったのだが、瞬間移動的なのをさせられて信じるしかなかった
さらに神様は特典もあるけど、それは着いてからのお楽しみねーと楽しそうに笑うと私を飛ばした
目が覚めると目の前には青空が広がり漫画でよく見慣れた景色が広がっており、私は泣きそうになった
それから私は宛てもなくぶらりぶらりと木の葉の街並みを歩いていた
暫く歩いていると、少し離れた所に会いたいと思っていた人物がいた

「奈良、シカマル…?」

聞こえないと思って思わず呟いたが、シカマルと思われる人物は聞こえたのかこちらを振り向いた

「…?お前誰だ?親父の知り合いか…?」

…ん?親父??
あれ、おかしいな目の前にいる人物はシカマルだと思うんだけ…ど…

あ、この子息子のシカダイやわ

「最っ悪…」

「はあ?お前何言ってんだ?てかこの辺で見ない顔だな?…まさか、他国の忍か?」

ああー…よく見ると目がテマリさんにくりそつですね
もうこれなんてフラグ?
え、これトリップした意味ある?
おいこら神様聞いてないよこんなのふざけんなよちくしょう
まてこんなフラグ求めてないあれこれ夢?夢だよね?
ドリームノベルおっけい?
ぱーどぅんだわなんなんまじでさあ…

「おい、聞いてんのかめんどくせえやつ」

あーもう…まんまシカマルやん…
泣いていいっすか?

「や、ごめん、人違いだった」

「は?だってお前親父の名前…っておい!!」

逃げるが勝ちということで逃げます全力疾走です
目に浮かんだ水なんて走ってるうちに全部吹き飛んだよ



「はぁ、はあ、まじ、かよ本当にもう!!」

何とかシカダイから逃げ切った私は火影像の上に逃げていた
木の葉の里全体が良く見える

「これなんてフラグー」

その場に座り込み間の抜けた言葉を零す

「聞いてないよーあーあー神様のばかやろー!今度会ったらぶん殴ってやるー!」

誰も聞いてないことをいいことに、私は全部吐き出す
いや誰かは聞いているかもしれないが今の私からしたら何もかも意味がないので気にしない

「なんで全部終わったあとなんだよ!意味ねえよ!!何の為のトリップだよ!こんなんじゃあ特典なんてなんの役にも立たないじゃん!ばーかばーか!!」

全部全部、吐き出す
声の続く限り叫ぶ

「確かに夢だからアカデミーに通って同じ班にならないかなとか思ったよ!挙句の果てにはフラグへし折って恋人にならないかとも思ったよ!!
でもさあ!これはちょっと酷過ぎじゃないの神様ねえ!!聞いてんなら答えろやこらああああ!!」

「全部終わった後なんて、聞いてねえんだよこのやろおおおお!!!」

大声を出したせいか、息が切れる
でも全部吐き出したせいか、少しだけすっきりしている

「おいおい、シカダイから話を聞いて探してみればなんか叫んでるし…」

ふと後ろからした声は聞きなれた声で、画面の向こうでよく聞いた声だった

「おい、お前見ない顔だが何処から来た?返答次第じゃ拘束するぞ?」

一瞬、これが特典の力か?と思ったがそんな馬鹿な、と座りながら頭を振った

「あー…えーと、ちょっと遠いところから…」

これどうするべき?
目の前に居る人物はシカマルご本人で、私は混乱するのと同時に嬉しさが湧き上がって来た
しかしシカマルは私を警戒しており、これはちょっと不味い状態だ
シカマルと私の距離はおよそ1m

「遠い所、ねえ…木の葉に何をしに来た?…見る限り、男を追っかけて来て振られた、ってところか?」

はい?
男を追っかけて来て振られた?
ええ、そうですよその男は目の前に居ますがね

「いや、少し違いますね…追っかけて来たのは間違いないです」

「じゃあ…」

シカマルから見たら私は前を見ながら俯いているように見えるだろう
私はシカマルに気づかれないように靴を片方だけ脱ぐ

「振られる前に…全部終わってたんだよこんちくしょおおお!!」

投げた靴はシカマルの顔に見事にヒットした
当たるはずなんてないと思っていたから自分で投げておいて吃驚した
ぼとり、と靴はその場に落ちた
シカマルの顔を見ると鼻の辺りが少しだけ赤くなっていて、私は少しだけ笑う

「っこの…!」

シカマルが影真似の術で私を捕らえようとするがその前に私は火影の像から勢いよく飛び降りた
不思議と恐怖はなかった

「っな…!」

「私が追っかけて来た男は貴方だよシカマル!!」

「っ…!」

最後に大声でそう叫び、にっ、と笑ってやった
シカマルは驚いており、動揺していたように思う
そのまま落ちる、と思っていた私の体はだんだん透けて、そのまま消えた

シカマルが好きなんですけど、トリップしたら結婚した後でした
…いや、一目会えて言葉を交わせただけでもいいかー

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