ごちゃ混ぜ | ナノ


02



「ナルト!おま、何処行ってたんだよ心配すんだろ!!」

「いやー悪い悪い!ちょっと大事な用を思い出して超特急で片づけて来たってばよ!」

「ったく!せめて一言くらい言えよめんどくせえから!」

「悪かったってばよ!今度なんか奢るから許して欲しいってば!」

あの後、探されては困るのですぐにシカマルの元へと戻った
きっと不自然なことはお互い分かっている
でもきっとシカマルは私が話そうとするまでは何も聞いてこない
これはナルトの問題じゃなくて私の方の問題だから
だから、ごめん
話すつもりもないし君達の前ではちゃんとナルトでいるから
やっと私と思わせるものを思い出したんだ、ごめんね

「ほら、もう仕事戻るぞ!」

「えー!!俺ってばまだラーメン食べ足りないってばよ!!」

「用事を残してたお前が悪い!さっさと仕事する!」

「えええー!!」



「火影様!!大変です!!」

「…どうしたってば?」

午後、仕事をしていた私の部屋に突然中忍の忍びが入って来た

「アカデミーの生徒が何人か人質に取られました!!」

「なっ…!…それで、主犯は誰だってばよ!?」

「恐らくどこかの里の抜け忍何人かによる犯行です!」

「分かった、俺が行くってばよ」

「しかし…!火影様がわざわざ出て行かれなくても…!」

「この里に、俺の家族に手を出したやつをほってはおけねえってばよ!行くぞ!」

きっと、ナルトならこう言うんだろう…助けなければ



「ここか…!」

瞬身の術で飛んだ私は人質が捉えられている場所へと降り立った
主犯は籠城をするつもりのようで、建物の周りには既に上忍が何人かおり、中を窺っている

「火影様…!何故ここに!」

「知らせを聞いて飛んで来たってばよ!…それで、中の様子は?」

「音沙汰なしです…主犯も、何が目的なのかさっぱり分からず…」

「そうか…シカマル」

「ああ」

後ろに居たシカマルに声をかけると分かっていたように指示を出す
その時、建物の中から一人の男が出て来た
辺りは一気に緊張が走る

「…お前が火影だな?」

「ああ、人質を返してほしいってばよ」

「ふん、それは出来ない相談だな」

「…目的はなんだってばよ」

「ふふふ…あははははは!!」

何がおかしいのか、男は急に大声をあげて笑いだした

「何が可笑しい」

「ははははっ!悪い悪い、いやあ、何、本当に火影様か?、と思ってな」

「…どういう、ことだってばよ」

「くくく、七代目火影は男であるはずだろう…?」

「…っ」

ざわり、と何かが這った音がした

「何を訳分かんねえこと言ってるんだこいつは…!」

「そうだ!男も女も関係ない!七代目火影様はこのお方だけだ!」

「おい!挑発に乗るな!」

周りの上忍は口々に否定の言葉を口にし、それをシカマルが制している
その様子を見ながら男は楽しそうに口を歪めた

「はは、愛されているな、七代目火影様?」

「うるさい、何が目的だってばよ」

「ふっふっふっ、その言葉も言動も、ナルト、に近づけているつもりか?」

どくん、と心臓が一際大きく鳴った
変な汗が背中を伝う

「…っ!?黙れ!何が言いたい!!」

ついカッ、となり声を荒げてしまった

「はっはっはっ!化けの皮が剥がれたな!図星なのだろう!?お前は本来ここには居ない存在!ここでは生まれることのなかった存在!!本来の七代目火影は女ではなく男!そしてお前の本当の名前は…」


「黙れ」


地を這うような声に、その場に居た忍は指一本たりとも動かすことは出来なかった

「ははは…図星じゃねえか…」

男も、先程までの勢いが全くないがそれでもなお、挑発してくる

「黙れ、と言ったのが聞こえなかったのか?それ以上なにか喋ってみろ、貴様の命はない」

「う、うるせえ!お前なんかぁあ…」

言葉の続きは聞き取れなかった
ぶつり、という低い音と共に男の頭と胴体は真っ二つに斬る
ぶしゃっ、と血しぶきを浴びながら、私は男を見降ろした

「黙れ、といったのが聞こえなかったのか?お前の耳は飾りか…ああ、もう、聞こえないか」

今までに見たことがない冷たい目で、先程の男を見降ろすナルトはまるで別人のようだ、とシカマルは内心思っていた
口調も、空気も、オーラでさえ、今まで見て来たナルトとはまったく違い、どう声をかけたらいいか分からなかった
きっと周りの上忍達も同じ気持ちだろう
完全にキレたナルトは今までに何回か見て来たが、これは今までに見たことがない
本当に別人かと思われるほどに違う


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