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- ナノ -


僕には、心臓が二つある
一つは普通に僕の心臓
もう一つは誰にも見えないし聞こえない、私の、心臓
これで、二人分だ


「なんでっお前がこの術を…!」

激しく動揺している奈良上忍に、僕は誤摩化すように微笑んだ

「っ!またそうやって誤摩化すのかよっ!!」

睨みつけながらそう叫ぶ奈良上忍に、僕は少しだけ嬉しくなった
でもやっぱり、二人分はちょっときついな
いくら心臓が二つあると言っても体力は元々生身の僕の方に全部ダメージがきている
徐々に命が消えてゆくのを肌で感じ取っていた
怖いという気持ちももちろんないと言えば嘘になる
でもさ、好きな人と結ばれないと分かっていて好きな人の一番の役に立てるってとても気分がよくないかい?
たとえそれが好きな人の大事な人でもね
だって、僕と私という意思は消えるかもしれないけれど、好きな人の大事な人の一部として生きて行くんだよ?
大事な人だから、きっと大事にされるさ
はは、ちょっと気持ち悪いかもね

「シカマルッ!ナマエ!!」

その時、奈良上忍と僕の名を呼ぶ声に顔を上げた

「ナルト!」

声は火影様で、その後ろには上忍数名とボルトやその仲間達もいた

「飛段は倒したってばよ!なんとかまた穴に戻してやった!」

得意そうな顔で奈良上忍に自慢げに言う火影様
後ろに居た上忍もぼろぼろだが得意そうに笑っていた

「それで、シカダイは…」

「ナマエ!?あんた、なんでその術を…!?」

声を遮ったのは、医療忍者のサクラ上忍だった

「…ははは、唯一の取り柄、とでも言っとこうか、な」

誤摩化しながら苦笑いでそれに答える

「っあんたね!その術がどんな術なのか知ってるんでしょう!?」

「ああ、よく知っているよ」

「じゃあなんで…!!」

「好きな人の大事な人達を助けて何が悪い?」

「「!?」」

いきなりの爆弾発言に周りは驚いていた
どうせ死んで行く身だし、これが理由だから

「それでもどうしてお前が!!
やめろ…やっと、お前と仲良くできると思っていた所なんだ!」

「…嬉しいです、やめてくれ、なんて言ってくれるんですね。
こんなことならもっと早く告白しとくんだったなぁ…
でもきっと、心のどこかではやめないでくれって思ってるはず。
最愛の息子と奥さんを死なせてしまい、生き返らせると言われたら何を犠牲にしても生き返らせたいはずです。
それが家族ってもんです」

「でも、なんで!よりにもよってお前なんだよ…!」

「ありがとうございます、奈良上忍。
長年貴方を避けてきたにも関わらず、大事な仲間と認識していてくれた事、一生忘れません」

ああ、もうそろそろだ、

「待て!まだお前と将棋を指しても居ないし返事も返してないぞ!」

「返事は断られるから要りませんよ。
将棋は、親子水入らずでシカダイと指してください。」

もう、きれる


「シカマルさん」


まだ色々言ってくれているが、名前を呼んだ途端ぴたりと止まった

「次に生まれる時には、一番に好きって言います。…毎日、一日一回は言います。
たとえそれが前世であっても来世であっても、必ず、…あなたが……す、き……」


ああついにきれてしまった


白い光はだんだんと小さくなり、ナマエの体はその場で崩れ落ちる
その体を、シカマルは受け止めていた
その顔はとても綺麗とは言えないが笑っている

「ほんとに、お前ら俺の事好きすぎんだろ…」

その顔はだんだんと歪んでいき、いつの間にか涙が溢れていた

「くそっ…めんどくせー奴らだ…ばかやろー」




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