甘美なキスを貴女に
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「おい、絵茉」

『なんですか、ザンザス様』

「…」

闇の独立暗殺部隊ヴァリアーのボス、ザンザス。
その誰もが畏怖するザンザスの部下である絵茉は深いため息をつく。
最近名前を呼ぶのに何も言わないことがよくあるのだ。

『何もないのでしたら私はこれで失礼します』

「…」

その沈黙を肯定と受けとり、ザンザスの部屋をでる。
ふぅと小さく息を吐くと胸に手をあて、騒がしい鼓動を静める努力をする。

『心臓が持たないよ…///』

もうお分かりの人もいるだろう。
絵茉は密かにザンザスに想いを寄せていた。最近何故か名前で呼ばれるようになっていたし、ザンザスと接する機会も増えていた。

『顔、赤くなってないかな…///』

少し赤い頬を冷ましながら廊下を歩く。
歩きながらまたザンザスのことを考えていた。
横暴で冷酷なイメージの強かったザンザスを意識し始めたのは数ヶ月前のことだった。
その頃のはザンザスが怖くてたまらなかった私。
でも…。

「お前みたいな女は嫌いじゃねぇ」

フッと口元を緩ませそう言ってくれた時、私の胸がトクンと音をたてた。
何が理由でそう言ったのかは分からなかったけど、ただ純粋に嬉しくて、もっと彼を知りたいと思った。
その時のことを思いだし、ボーッとしてると聞き覚えのある声が聞こえた。

「う゛お゛ぉぉい!!!聞いてんのかぁっ!!?」

『きゃっ!!』

驚きのあまり尻餅をつく。地味に痛い。
そして…こんな特徴的な声の人は一人しかいない。

『お、脅かさないでください、スクアーロ様』

「お、おぅ…すまねぇ…」

大丈夫か?と手を差し伸べるスクアーロ様はとても優しい表情。
本当に人って見かけによらないなぁ…。

『ありがとうございま……っ!!』

スクアーロ様の手を取ろうとしたその時、後ろから尋常じゃない殺気を感じた。
恐る恐る振り返ると憤怒の炎を手に灯したザンザスがいた。

『ザンザス様!!?』

「ザンザス!!?」

「…カッ消す!!!」

憤怒の炎がスクアーロ様に向けられた。
ヴァリアー邸にスクアーロ様の悲鳴(怒号?)が響いた。

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その後再びザンザスの部屋に強制連行された絵茉はビクビクしてた。
理由は分からないがあのザンザス様が怒っている。

『ザンザス様…?』

「…」

怒ってる。絶対に怒ってる。
どうしよう?

『あ、あの…ザンザス様…?』

「…と…べ」

『え…?』

「…ザンザスと…呼べ…」

へ?
…今、ザンザスと呼べって…??
え?ええぇぇ!!?

「…」

ザンザス様は私を見つめ、名前を呼ばれるのを待っているようだ。

『…ざ、ザンザス…?ってきゃあ!!?』

急に腕を引かれ、顔を胸に押しつけられる。ザンザス様の胸にすっぽりと収まってしまった私。
って、私…今、抱き締められてない!!?///

『ざ、ザンザス様…じゃなくてザンザス…?///』

「絵茉…好きだ…」

え?私のこと…が…すき?
低く優しい声が私の耳から頭の中に響いていく。
溶けてしまいそうなほど甘い響き。
腕の力を緩め、私の瞳をのぞきこむとフッと微笑み、私の唇に自分のそれをそっと押しつけた。

甘美なキスを貴女に
 
柔らかな唇に酔いしれた私はザンザスの首に腕を回す。
名残惜しそうに唇を離すとザンザスは不敵な笑みを浮かべて言った。

「俺の女になれ」


                           END

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〜あとがき〜
 
2500のキリリク、絵茉様に送ります!!!

ザンザス甘夢ということでしたが、お楽しみ頂けましたでしょうか??

愛も初ザンザス、初リクでしたので緊張しまくりながら書き上げさせて頂きました!!!

ぜひコメント・ご感想等、お聞かせください!!

今後ともひだまりをよろしくお願いいたします!!!
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