山本武がお兄ちゃんだったら

『武兄ー!!ファイッ!!』

『「オー!!」』

武兄と円陣を組み、お決まりの言葉を声の限りに叫ぶ。
今日は武兄の試合の日です。
しかも今日勝てば優勝という大事な大事な試合です。

「サンキューなのな、名前」

ニコッといつものように笑うとくしゃくしゃっと頭を撫でてくれる武兄。
私はこれが大好きだからついにこにこしてしまう。

「やっぱ、名前と円陣組むと気合い入るわ」

『うん!!武兄、頑張ってね!!』

「おう!!」

また、武兄が頭を撫でてくれる。
やっぱり武兄に撫でられるのは好きだなぁと思っていると…。

「おーい、山本ー!!」

誰かに名前を呼ばれ、私と武兄が同時に振り返る。
苗字が一緒だからしょうがないよ。

「よぉ、ツナ!!獄寺!!」

「よかったぁ、間に合ったぁ!!」

息を切らしながら走ってきたのは茶色の髪の男の子と銀色の髪の男の子。武兄がよく話してるツナと獄寺って人らしい。

「ん?もしかして山本の妹さん?」

「おう。そういや、ツナ達と会うのは初めてだったな」

武兄がほら、と私の背中を押す。
どうやら自己紹介しろということらしい。
私は二人の顔を見て、ペコリと頭を下げる。

『はじめまして、山本名前です。二人のことは兄からよく聞いてます。』

「礼儀正しいんだね。俺は沢田綱吉。…って山本、俺のこと何話してんの!!?」

沢田さんはなんかオロオロしてる。
武兄はすげー奴だって言ってたからきっとすごい人なんだなと思ってると…。

「…」

私のことをすごい顔で凝視してる銀色の髪の男の子。この人が獄寺さんなんだろうか?武兄曰く、面白い奴らしい。

「…獄寺隼人だ」

ぶっきらぼうに自己紹介するとそっぽを向いてしまう獄寺さん。
照れ屋さんなのかな?

「おっ、そろそろ時間だな」

武兄が思いついたように言う。
そうだ!!試合の応援に来たんだった!!

『武兄!!頑張って!!』

「おう!!ぜってー勝ってくるからな!!」

私の頭をくしゃっと撫でると沢田さん達に声をかけてグランドに向かって走って行った。

「じゃあ、俺達も行こうか」

「はい、10代目!!」

『…10代目??』

「あぁ!!名前ちゃんは気にしないで!!」

『??』

頭に?を浮かべながらも沢田さん達とグランドに向かった。

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9回裏。
得点は10-7!!
並盛は負けているけど二死で満塁のサヨナラチャンス!!

『武兄ー!!ファイトー!!』

「山本ー!!頑張れー!!」

バッターは武兄。
武兄はこの時を楽しんでいるように見えた。
のんびりそうに見えて実は意外と負けず嫌いでどんなことにも本気で向かっていく。
そんな武兄が私は大好きだし、憧れていた。

「名前ちゃんは本当に山本が好きなんだね」

『うん!!私の自慢のお兄ちゃんだもん!!』

そう言うと山本がちょっと羨ましいや、なんて沢田さんが笑った。

『私、沢田さんも好きですよ?もちろん、獄寺さんも!!』

「え!!?///」

「なぁ!!?///」

あれ?二人共、顔が真っ赤だ。
どうしたのかな?熱中症?
あ、それより武兄は?
慌てて武兄に視線を向けると武兄と目が合った。
武兄は楽しそうに笑うと、帽子の鍔(つば)の部分をくいっと少し上げる。
ちゃんと見てろよ、っていう私と武兄だけが知ってる合図。

その瞬間。

カキーン!!!

心地いい音と共にボールが空に向かって飛んでいった。
グランドがわっと歓声に包まれた。

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『武兄ー!!!』

勢いに任せて思いっきり武兄に抱きつく。
武兄はうおっ!!と驚きながらもしっかり私を抱きかかえてくれた。

『おめでとう!!武兄!!』

「サンキューな、名前」

武兄は優しく笑いながら頭を撫でてくれる。やっぱり私はこの瞬間が好きだ。
武兄は何やら沢田さん達と話していたけど、その間も私は武兄の腕の中にいた。

「あっ、そういやーまだ片付けがあるんだった」

武兄はそう言うと私から体を離し、私の目の高さまでしゃがむと自分の帽子を取り、私の頭にのせた。

「これ持って待っててくんねーか?すぐ終わらせてくっからさ」

『うん!!分かった!!』

「よっしゃ!!んじゃ行ってくるわ。ツナ、わりーけど名前見ててくれるか?」

「分かったよ、頑張ってね」

「おう!!じゃああとでな!!」

そう言うと武兄はグランドに走って行ってしまった。
私は頭にのせられた帽子を手にとり、抱き締めると小さな声で呟いた。

お兄ちゃん大好き!!
 


〜あとがき〜

皆さんこんにちは又はこんばんは!!愛です!!

兄妹シリーズ、第1号は山本さんでしたー!!

やっと兄妹シリーズ1号です!!
いやー長かった!!←

兄妹シリーズを始める前から山本さんは恋人とかもいいけどお兄ちゃんになって欲しい!!と由詩さんとよく話しておりまして。

特に頭くしゃくしゃって撫でて欲しいという愛の願望からできたお話です。

まぁ、山本の妹ちゃんですからもちろん天然です!!

ツナさんと獄寺さんは非常に心臓に悪い(いい意味で)でしょうが(笑)


リクエスト、ご感想等ありましたらお気軽にどうぞ!!

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